The Britannic Organ Vol.3 -Music on the High Seas : Die Welte Philharmonie Orgel (2CD)

ブリタニック号のオルガン第３集〜外海で

つい最近起きた（2012年１月13日）、イタリアの海難事故の例を挙げるまでもなく、あの「タイタニック号の悲劇」は永遠に人々の記憶からなくなることはありません。このシリーズで使われているオルガンが搭載されていた「ブリタニック号」はもともと、タイタニック号の姉妹船「ジャイガンティック号」として造船されたもので、本来は同じ形としてこの世に生を受けるはずでしたが、1912年のタイタニックの事故を受け、設計を大幅に変更し、船名までを変更し、ようやく1914年に就航したものの、結局は残念ながら海底に沈んでしまったという顛末を持った船でした。
　さて、この第３巻も貴重な音で埋め尽くされていますが、注目は、あの讃美歌『主よ御許に近づかん』の３つのヴァージョンの音楽でしょうか。これは「タイタニック」が沈没した時に甲板で音楽家たちが最後まで演奏していた音楽とされていますが、本当のところは、どの曲だったのかは記録が残っていないようです（1904年、カナダ沖でバレンシアの船が難破した時に逃げてきた女性が、その船で賛美歌が演奏されたと語っていて、この話が混同されている可能性もあるようです）。映画では、アメリカ人が一番好むメロディが使われたため、トラック２の「ベサニー」が最期を飾る曲として広く知られるようになったというわけです。（OEHMS）

【収録情報】
CD1
・J.S.バッハ：トッカータとフーガ ニ短調
・「主よ御許に近づかん」サラ・アダムズの詩による讃美歌のための3つの旋律（メイスン：アメリカ民謡から「ベサニー」／サリヴァン：イギリス民謡から「プロピオール・デオ」／ダイクス：ホーベリー（タイタニック号沈没の際に演奏された曲）（オルガン演奏：デヴィッド・ラムゼイ）
・ベネット：タイタニック号の思い出〜ヴェルテ・ロール1661（マスター）（オルガン演奏：ヨーゼフ・ベネット）
・ドビュッシー：沈める寺〜ヴェルテ・ロール1995（マスター）（オルガン演奏：バーナード・テン・ケート）
・ショパン：葬送行進曲〜ヴェルテ・ロール1006（マスター）（オルガン演奏：エンリコ・ボッシ）
・メンデルスゾーン：静かな海と楽しい航海〜ヴェルテ・ロール1476（マスター）（オルガン演奏：ハリー・ゴス＝カスタード）
・シューベルト：海の静けさ〜ヴェルテ・ロール512（マスター）（オルガン演奏：フランツ・フィリップ）
・ワーグナー：『さまよえるオランダ人』より〜ヴェルテ・ロール645（マスター）（フランツ・クアサヴァー・フランツによるハンドメイド・ロール）

CD2
・デュボワ：トッカータ ト長調（オルガン演奏：デヴィッド・ラムゼイ）
・ホフマン：舟歌 Op.46〜ヴェルテ・ロール1233（オルガン演奏：エドウィン・レマル）
・レンマン：大幻想曲ホ短調〜ヴェルテ・ロール1121（オルガン演奏：ハリー・ゴス＝カスタード）
・ウォルステンホルム：舟歌〜ヴェルテ・ロール1577（マスター）（オルガン演奏：ウィリアム・ウォルステンホルム）
・ドヴォルザーク：交響曲第9番より第1楽章〜ヴェルテ・ロール957（マスター）（ハンドメイド・ロール）
・ロシア民謡「ヴォルガの舟歌」〜ヴェルテ・ロール1920（マスター）（オルガン演奏：ポール・マニア）
・ランナー：古いウィーンのワルツ〜ヴェルテ・ロール384（マスター）（アルトゥール・シュナーベルのピアノ演奏による）
・ハンス・ホイザー・トリビュート（マルダーレン：夢のタンゴ〜ヴェルテ・ロール2067（マスター）／ブラウフックス：黄金の夢の島〜ヴェルテ・ロール2067（マスター）／ハイン：パウニー〜ヴェルテ・ロール2067（マスター）／P.フレイレ：Ting-a-Ling〜ヴェルテ・ロール2082（マスター）／P.フレイレ：クレオールのセレナーデ〜ヴェルテ・ロール2080（マスター）（オルガン演奏：ハンス・ホイザー）
・J.B.ダイクス：涯しも知られぬ青海原（オルガン演奏：デヴィッド・ラムゼイ）
・W.H.モンク：日暮れて四方は暗く〜ヴェルテ・ロール1154（マスター）（オルガン演奏：ハリー・ゴス＝カスタード）

　録音時期：2011年7月、8月
　録音場所：スイス、ゼーヴェン、自動演奏楽器博物館
　録音方式：デジタル（セッション）
　Musical Direction: David Rumsey
　Technical Direction: Daniel Debrunner
　Recording Supervision, Editing and Mastering: Andre Scheurer