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燕は戻ってこない 集英社文庫

Natsuo Kirino

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784087446258
ISBN 10 : 4087446255
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2024
Japan

Content Description

【第64回 毎日芸術賞受賞作】
【第57回 吉川英治文学賞受賞作】

この身体こそ、文明の最後の利器。

29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。
子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかった――。

北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。

『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。


頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。
こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。
――朝井リョウ(作家)

女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。
ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。
――小島慶子(エッセイスト)

新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。
被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。
――斎藤幸平(経済思想家)

読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。
それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。
――村田沙耶香(作家)

【著者略歴】
桐野夏生(きりの・なつお)
1951年、金沢市生まれ。93年『顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で第121回直木三十五賞、2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で第17回柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で第5回婦人公論文芸賞、08年『東京島』で第44回谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で第19回紫式部文学賞受賞。10年、11年『ナニカアル』で第17回島清恋愛文学賞、第62回読売文学賞の二賞を受賞。15年、紫綬褒章を受章。21年、早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。23年『燕は戻ってこない』で第64回毎日芸術賞、第57回吉川英治文学賞の二賞を受賞。

【著者紹介】
桐野夏生 : 1951年、金沢市生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で第121回直木三十五賞、2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で第17回柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で第5回婦人公論文芸賞、08年『東京島』で第44回谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で第19回紫式部文学賞受賞。10年、11年『ナニカアル』で第17回島清恋愛文学賞、第62回読売文学賞の二賞を受賞。15年、紫綬褒章を受章。21年、早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。23年『燕は戻ってこない』で第64回毎日芸術賞、第57回吉川英治文学賞の二賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 鉄之助

    「女を買うくせに、売る女を馬鹿にする男」。その通りで耳が痛い。代理母も男の身勝手の極地のような気もする。男にも、身につまされるフレーズが多くあって、あっという間に読み切った。

  • 道楽モン

    これがリアルの一形態だ。桐野夏生は現実社会の抱える問題に対峙し、与えられる選択肢から容赦なく最悪解を選び続ける。その執念深さは、パラレルワールドとして何通りもあり得るストーリーから、悪夢のような最悪の世界へと読者を強制連行する。登場人物は誰一人真っ当な選択が出来ず、言い訳と責任転嫁によって己の欲望にのみ忠実で薄っぺらな思考を原理とする。つまり、知性による思考を放棄した、感情と欲望と快・不快だけの基準に満ちた世界。これを作品化することで、現実社会を俯瞰させる試みなのだろう。楽しい読書ではないのが当然だ。

  • ピース

    代理母はなった時といざ出産となった時とでは心境が全く変わってしまうことが実際でもあるらしく大きな問題になるという話を聞いたことがある。最後にリキが取った行動には驚かされた。しかし他人事的に見れば合理的?草桶夫妻からみれば到底納得できないだろうが。ぐりとぐら、果たしてどちらの方が幸せになるんだろう?それぞれが違う形でありながらも幸せと思えればいいんだが。

  • マダムぷるる

    作品に引き込まれ夢中で読んだ。リキと悠子の揺れる想いが響く。ビジネスとしての生殖、現代では影に日向に進んでいるのだろうが、簡単に解決しきれない矛盾や問題がたくさんありそうだ。今作では代理母となるリキの本能や感情が草桶夫妻にもエージェントにも軽んじられているように感じた。故にリキの理解者となるりりこの存在が救いかもしれない。数ページ読んだらやめられなくなり一気に読了。これが作家さんの力量。初めての桐野夏生作品。面白かった。

  • みんみ

    非正規雇用のリキ。貧困、格差など負のループの中でもがき、元の不倫相手や自称セラピストとの関係も絶たない。そんなリキに危うさと不快感があった。そこは、桐野作品だなぁと思った。代理出産、不妊治療、知らないことがたくさん。それを否定するつもりは全くない。ぐらだけ連れて行くリキ。書類の愛蘑の名前に二重線を引いて訂正印。そこがまた、グロテスク。「女同士で生きていこう」と言うが、やっぱり、「子どもは誰のため?」と思ってしまう。

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