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数えずの井戸 角川文庫

Natsuhiko Kyogoku

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041015964
ISBN 10 : 4041015960
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2014
Japan

Content Description

不器用さゆえか奉公先を幾度も追われた末、旗本青山家に雇われた美しい娘、菊。何かが欠けているような焦燥感に追われ続ける青山家当主、播磨。冷たく暗い井戸の縁で、彼らは凄惨な事件に巻き込まれる。以来、菊の亡霊は夜な夜な井戸より涌き出でて、一枚二枚と皿を数える。皿は必ず―欠けている。足りぬから。欠けているから。永遠に満たされぬから。無間地獄にとらわれた菊の哀しき真実を静謐な筆致で語り直す、傑作怪談!

【著者紹介】
京極夏彦 : 小説家、意匠家。1963年北海道生まれ。94年、『姑獲鳥の夏』で小説家デビュー。『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞、『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、『後巷説百物語』で第130回直木賞、『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 優希

    番屋皿屋敷といえば皿数えで有名な怪談ですが、それを大胆な解釈で新たな物語として息吹を与えていました。冷たく暗い井戸の淵で見たものが菊の亡霊を呼び出し、夜な夜な皿を数えている姿が儚くも美しかったです。足りないから、欠けているから永遠に満たされない想い。無間地獄に囚われた菊の静かな哀しみがひたひたと足音と共に迫って来るようでした。怖く、凄惨なはずなのに綺麗な調べが印象的です。講談のような語り口調が独特でした。

  • ケイ

    文庫での再読。気はいいが少し足りないところのあるお菊に、ほっとする人も、その愚かさにも拘わらず人を惹き付けるところに激しく嫉妬する者もいる。それが悪意や悲劇をうむのだが、数える、数えないでおこる不可解さは、この長いストーリーを支えるには少し弱くはないだろうか。解説を書いた道尾さんは、苦労したと思う。数ある京極作品の読み取りの深さと、『物語という器』という解説の題の付け方に脱帽。この本はわかりにくいが、京極さんは他の本でこんなにすごい事を言ってるんですと読者に伝えたかったのか…。

  • えみ

    何かが足りない。誰もがどこか欠けている。そんな空気が堪らず発露されたとき、透徹した悪寒に襲われる。世にいう番町皿屋敷、夜な夜なお菊が井戸で皿を数えるというあの有名な怪談が、凄惨で陰湿な人間の正体と儚く悲しい欠落の物語として再び甦る。足りない部分を埋める為にそれぞれが求めたものは何だったのか、その為に何が起きたのか…あの亡霊の真実は思いもよらない事件の裏にあり。理由ある死と言い訳のできる生。どちらも圧倒的に欠けていると感じたのは私だけではないはず。愛情、憎悪、憐憫、嫉妬…恐ろしいほどの情動が一瞬を支配する。

  • NAO

    とにかく、登場人物が多い。家宝の皿を割ったお菊、彼女を手打ちにした青山播磨の他にも、青山家の側用人、中間。青山播磨の遊び仲間。青山家に嫁ごうとしている娘、などなど…。そして、その片隅に、ひっそりと、ぽっかりと、井戸がある。本当に、こんなにたくさんの人物が登場する必要があるのだろうかと思いもするのだが、虚無を描くには、たくさんの人のたくさんの愚かしさが要るのかもしれない。『嗤う伊右衛門』同様、怪談をもう一段別の世界にひきあげた京極ワールド。

  • りょうこ

    長かったが不思議と苦痛では無かった。みんなそれぞれ何かが足りなかった。それをどうにか補おうとする者、奪おうとする者、ただ数を数える者、足りぬものはない見たままだという者、怪談番長皿屋敷についてここまで深く考えたことなど無かっただけに、ああっきっとこの結末が私の中で皿屋敷の怪異の結末になってしまうんだろうな。あの怪異談だけでこのボリューム!長かったが不思議な読書時間だった。

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