大音響によるコンサートの為のこけおどしのレクイエムではなく、あくまでも死者の為の鎮魂曲として、真摯にひたむきに心を込めて演奏している。バルビローリ卿の音楽はどの録音にも愛情が籠っており、一生手元に置いておきたい物ばかりだが、このディスクもその一つ。自分が死ぬ時はこの演奏を聴きながら旅立ちたいものだ。スコアの読みが深く、哲学・精神的でひたすらに宗教的で、彼岸の彼方をも視野に入れたような名演だ。モーツァルトのレクイエムはバレンボイム。これもまた落ち着いた慈しみ深い、透明感のある名演だ。同曲は沢山のディスクを聴いてきたが、心に残る物の一つである。是非、中古で探して手に入れて下さい。

私が持っている盤とは違いますが、このヴェルディ―の演奏は素晴らしいですよ。「怒りの日」でのトスカニーニやカラヤン他の荒々しさ激しさは有りませんが、死者を送る意味において、本当はこういう解釈が正解のような気がします。秀逸は空に消え入るように響く合唱の扱いでしょう。

値段でどうのこうの言いたくないが、うっかりすると価格で五倍ほどになるいわゆる定番・古典的名演に勝るとも劣らないクオリティ。それぞれのパートがすっきり浮き立つ録音技術もなかなか。「色々ありますけど、レウイエムって、概ねこんなもんです」と初心者に安心してすすめることのできる一枚。もちろん、通の人も安心して買えると思うです。

値段で偏見を持ってはいけません。ﾌﾞﾘﾘｱﾝﾄﾚｰﾍﾞﾙは優秀な企画がたくさんあります。これも目立ちませんがこの値段で本当にいいの？っていう感じです。ｺｼｭﾗｰのﾓｰﾂｧﾙﾄは最高です。ｳﾞｪﾙﾃﾞｨは初めてなのでもう少し聴きこんでみたいと思います。いずれにしても聴き得、お買い得です。