Dog Soldiers/Who'Ll Stop The Rain

1960年代に、英国で“フリーシネマ"および“怒れる若者たち"と総称される映画刷新運動を牽引した監督の一人カレル・ライスの渡米第二作。原作は、75年に全米図書賞を受賞したロバート・ストーンの同名小説。

71年ベトナム戦争の渦中にあるサイゴン。無意味な戦争に幻滅しきっていた従軍記者のジョン・コンヴァース(マイケル・もリアーティ)は、闇ルートを通じて大量のヘロインを入手し、この麻薬をアメリカへ密輸し金に換えようと考えていた。彼は海兵時代の友人で、現在は商船乗組員のレイ(ニック・ノルティ)に、サイゴンからサンフランシスコへの麻薬輸送を依頼する。二週間後、麻薬を換えてサンフランシスコに上陸したレイは金を受け取るためにジョンの妻マージ(チューズデイ・ウェルド)に電話連絡するが、彼女はジョンから何も聞かされていなかった。不審に思ったレイはコンヴァース家に押しかけるが、そこで二人組の男に襲撃される。おそらくヘロインの供給者の手先と思われる彼らの目的は、もちろん麻薬の奪還にあった。ひとまず二人組の反撃に成功したレイは、マージと共にロサンジェルス目指して逃亡の旅に出る･･････｡

戦争で疲弊し麻薬に溺れる70年代初頭のアメリカ合衆国を舞台に、時代に翻弄される人間たちを描いた犯罪心理劇である本作は、道ならぬ愛情で結ばれる男女の旅を描いたロード・ムーヴィーであると同時に、壮絶な銃撃戦が展開するクライマックスでは一種の戦争活劇を観る興奮を呼び覚ましてくれる。一筋縄ではいかない魅力を放つ異色作である。クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(CCR)の『フール・ストップ・ザ・レイン』他、60年代から70年代初頭にかけてのロックの名曲の数々が、印象的に画面を彩る。

【映像特典】
予告編

【封入特典】
解説リーフレット(川口敦子+遠山純生、36頁)

【スタッフ】
製作: ハーブ・ジャフ、 ガブリエル・カツカ
監督:カレル・ライス
原作: ロバート・ストーン
脚本: ロバート・ストーン 、ジュディス・ラスコー
撮影: リチャード・H・クライン
編集:ジョン・ブルーム
録音:クリス・ニューマン
音楽: ローレンス・ローゼンタール

【キャスト】
レイ・ヒックス: ニック・ノルティ
マージ・コンバース: チューズデイ・ウェルド
ジョン・コンバース:マイケル・モリアティ
アンタイル: アンソニー・ザービー
ダンスキン:リチャード・メイサー
スミティ :レイ・シャーキー
シャーミアン:ゲイル・ストリックランド
エディ:チャールズ・ヘイド
ベンダー :デイビッド・オパトッシュ
エンジェル:ホアキン・マルチネス