新鮮! 近代フランスの歌を自然に紡ぐ古楽器の響き
古のフランスの響きに馴染むアコーディオン
16〜17世紀のエール・ド・クールやフランス各地に口承で伝わってきた民衆歌など、ルイ14世の時代よりもさらに古いフランス音楽を高雅で自然に現代に蘇らせ、世界中から熱いまなざしを集めてきた21世紀のユニークな古楽グループ、ル・ポエム・アルモニーク。イタリア・バロックでも実績を示しつつ、中心メンバーの母語であるフランス語を歌詞とする音楽への適性はやはり抜群で、詩句の味わいを最大限に引き出す新鮮で薫り高い演奏解釈はどの時代の作品でも出色の仕上がりを誇ります。
その親和性が「古楽」の枠に縛られないことを立証するユニークな選曲のアルバムが登場。彼らと同じくフランス民衆世界の古謡を得意とするレ・リュネジアンの『うんざりだ、冬ってやつは』でも絶妙な妙声を聴かせたステファニー・ドゥストラックの味わい深い歌い口は、さりげなく織り交ぜられたバロック宮廷音楽と近代シャンソンを易々と行き来し、無理なく即興的な音を紡いでゆくアコーディオンと共に、時にはシャンソンを古楽のように、また古楽をシャンソンのように聴かせる巧妙さ。古楽器アンサンブルをバックバンドとして、サティやトゥルーズ=ロートレック、モディリアーニらが生きた1900年前後から20世紀中盤までの、古き良きフランスの芳香に満ちたシャンソンの名曲群をしなやかに歌いこなすそのセンスは、もはやクロスオーヴァーやジャンル越境などといった表現が陳腐に思えるほど、圧倒的に自然な「フランスの息吹」に貫かれています。
聴くほどに惹きつけられるその魅力に、主宰者デュメストルが学究性に閉じこもらないセンス抜群の古楽プレイヤーであることを改めて強く認識する1枚です。(輸入元情報)
【収録情報】
『青春時代』
1. テッド・グルヤ[1910-2000] &ジョルジュ・マルティーヌ:わたしの青春時代はなくなった
2. マラン・マレ[1656-1728]:人間の声
3. 作者不詳:うちの庭の暗がりで
4. 作者不詳:ルイ王の娘
『古い歌をいくつか』
5. ヨハン・フィーアダンク[1605-1646]:カンツォーナ ハ長調
6. クラウディオ・モンテヴェルディ[1567-1643]:わたしを死なせてください(歌劇『アリアンナ』より)
7. フランチェスコ・カヴァッリ[1602-1676]:ああ、わたしは生きている(歌劇『エジスト』より)
『いつかの恋景色』
8. ポール・マリニエ[1866-1953]:彼女からのお返事
9. ポール・デルメ[1862-1904]:小さい敷石
10. シャルル=アンドレ・カシャン[1896-1955]:恋人たちは何処へ
11. レイモン・ルグラン[1908-1974]:あるお嬢さんの夜
12. レオン・フォセー[1829-1877]:チロルの鴨の群れ
13. アンリ・コル(生歿年不詳、20世紀に活躍)、ラルフ・カルセル(生年不詳〜1968):圧巻のタンゴ
14. エミール・カララ[1915-1973]:サン・ジャンの私の恋人
編曲:ヴァンサン・デュメストル、ルカス・ぺレス、ヴァンサン・ブショ
ステファニー・ドゥストラック(メゾ・ソプラノ)
ル・ポエム・アルモニーク(アンサンブル)
フィオナ=エミリー・プパール、サンドリーヌ・デュペ(ヴァイオリン)
ルカス・ぺレス、アリス・トロスリエ(バス・ド・ヴィオール=ヴィオラ・ダ・ガンバ)
シリル・プーレ(チェロ)
ヴァンサン・レルメ(アコーディオン)
二コラ・ローゼンフェルド(バスーン、各種リコーダー)
マリー・ヴァン・レイン(クラヴサン=チェンバロ、オルガン)
ヴァンサン・デュメストル(テオルボ、指揮)
録音時期:2022年10月
録音場所:フランス北東部パ=ド=カレー地方アラス、タンデム
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)