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数学する身体 新潮文庫

Masao Morita

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101213668
ISBN 10 : 4101213666
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2018
Japan

Content Description

数学はもっと人間のためにあることはできないのか。最先端の数学に、身体の、心の居場所はあるのか―。身体能力を拡張するものとして出発し、記号と計算の発達とともに抽象化の極北へ向かってきたその歴史を清新な目で見直す著者は、アラン・チューリングと岡潔という二人の巨人へと辿り着く。数学の営みの新たな風景を切りひらく俊英、その煌めくような思考の軌跡。小林秀雄賞受賞作。

目次 : 第1章 数学する身体(人工物としての“数”/ 道具の生態系 ほか)/ 第2章 計算する機械(証明の原風景/ 記号の発見 ほか)/ 第3章 風景の始原(紀見峠へ/ 数学者、岡潔 ほか)/ 第4章 零の場所(パリでの日々/ 精神の系図 ほか)/ 終章 生成する風景

【著者紹介】
森田真生 : 1985(昭和60)年東京都生れ。独立研究者。東京大学理学部数学科を卒業後、独立。京都に拠点を構えて研究を続けるかたわら、国内外で「数学の演奏会」「大人のための数学講座」「数学ブックトーク」などのライブ活動を行っている。2015(平成27)年、初の著書『数学する身体』で、小林秀雄賞を最年少で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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『 数学する身体 』風景はどこかから与えら...

投稿日:2021/07/30 (金)

『 数学する身体 』風景はどこかから与えられられるものではなくて、絶えずその時、その場に生成するものなのだ。環世界が長い進化の来歴の中に成り立つものであるのと同様に、風景もまた、その人の背負う生物としての来歴と、その人生の時間の蓄積の中で、環境世界と協調しながら生み出されていくものである。まるで風景に誘われるようにして、数学をするのだ。絶えず動き続け、変容し続ける数学の、果てしない可能性の方に目が向くようになったのだ。身体的確信を深めていくために関心を集めていくのが数学である。数学は身体の能力を補完し、延長する営みである。〜素晴らしい内容の一冊。

seigo-hk さん | 長崎県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    最初は数学史を踏まえながら、読者を徐々に「数」の世界に導いてゆく。知らなかったのだが、16世紀頃までは「=」の記号もなかったそうなのである。記号化をさらに徹底させて、「一般式」の研究にまで洗練させたのはヴィエト(16世紀後半)が最初であったらしい。ax(2乗)+bx+c=0のような一般式は彼を待って初めて生まれたのだそうだ。あまりにも当たり前のように思っていたが、数学史も奥が深いとの思いを新たにする。これに続いて登場したのがデカルトであり、ニュートン、ライプニッツ、オイラーと脈々と受け継がれていった。⇒

  • 南北

    読友さん本。知的好奇心を刺激してくれる好著。前半は数学史を外観したもので、負の数や虚数が当時の人々に理解できなかったのは、幾何学を起点としていたため、物理的にあり得ないものは認められなかったというのは腑に落ちた。後半は「数学は情緒である」で有名な岡潔の話が中心となる。天才が語る尖った言説のように感じていたので、積読本のままにしていたが、また読んでみようと思うようになった。「人間の認知は、身体と環境の間を行き交うプロセスである」という著者の言説が印象に残った。

  • 夜長月🌙新潮部

    数学にまつわる新奇な概念を伝える書。数学史、数学が生成する建築(例えば三鷹生命反転住宅)、数学→コンピューター→AI、数学的情緒。コンピューターを生み出した数学者チューリングの言葉。「学生が働き出すまでに20年かかるなら、思考するコンピューターにも20年いろいろな体験(登山、旅行、料理・・・)を積ませないとならない」。コンピューターが生まれるまでにすでにAI的な思考があったことを示します。

  • クプクプ

    著者はレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』の新訳をした森田真生さん。私は、新訳の『センス・オブ・ワンダー』を読んで、森田真生さんの専門は生物ではなく、数学の方なのかと仮定を立てて、『数学する身体』を読んでみました。私の狙いは的中し、『数学する身体』は面白く、そして懐かしさを感じました。懐かしさの正体は10年以上前に出版された、福岡伸一の『生物と無生物のあいだ』の読後感に似ているところから来ていました。『数学する身体』は著者が数学者の岡潔の本に出会い共鳴し、完成したエッセイで読み応え十分でした。

  • コットン

    若くて目覚ましい成果を上げた研究者である『独立研究者』という独特な立ち位置の著者による数学的歴史を追いながら身体能力と数学の関係性について論じている。数学者アラン・チューリングと岡潔についてスポットが当たっている。 余談としては自分の知識不足だが、近代哲学の父デカルトは記号代数の表記(未知数がx,y,zで既知数がa,b,c)を現代的な形に定着させた人だったとは知らなかった。

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