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バッハ、神と人のはざまで

Masaaki Suzuki

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784276130197
ISBN 10 : 4276130190
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

世界的バッハの権威が楽譜と睨み合い、心に去来した様々な断片――マタイ、ヨハネ、ロ短調ミサ、カンタータ、指揮、オルガン、旅。

世界的バッハ演奏の第一人者、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)音楽監督の鈴木雅明、待望の単著刊行!
作曲家自身を超え、より崇高な価値へと世界中で再創造され続け、人々を惹きつけてやまないバッハの音楽。その音楽と、そこから溢れ出る恵みを我々に届けるために、楽譜と睨み合い、心に去来した様々な断片――マタイ、ヨハネ、ロ短調ミサ、カンタータ、指揮、オルガン、旅……。
BCJファンが毎公演楽しみにしている定期公演プログラム「巻頭言」から、自身の著作集所収にふさわしい原稿を厳選。編み直し、書き下ろしの「キリスト教音楽 曲種ノート」やバッハの価値を改めて定義した序文(はじめに)、未公開写真などを加え、1冊の本としてまとめた。


<目次>

はじめに

■レオンハルトとコラール〜マタイ受難曲二〇一二年
1.ヨハネ受難曲
語り終えたもの〜ヨハネ受難曲
ヨハネ受難曲のシンメトリー〜権威と十字架と
  復活祭オラトリオとヨハネ受難曲
■弛みなく流れる大河のごとく〜マタイ受難曲二〇一四年
2.ロ短調ミサ曲
  ロ短調ミサ曲〜隠された十字架
  二〇一一 ロ短調ミサ曲の旅
■バセットヒェンのアリア〜マタイ受難曲二〇一五年
3.教会カンタータ
  祈りのカンタータ BWV 12
  古きものと新しきもの コラール・カンタータ BWV1
  夕暮れと罪 BWV6、42
  カノンの放棄が意味するもの コラール・カンタータ BWV9
  教会カンタータ全曲演奏完結
4.世俗カンタータ
  バッハはオペラを知っていた 農民カンタータ BWV212
  パンとフェーブスの歌合戦 BWV201 オルテガの『大衆の反逆』
  時の刻みを逃れて バッハのカンタータが伝える希望 BWV198
5.モテット、クリスマス・オラトリオ
  葬儀のモテット〜死者に向けた希望の言葉
  クリスマス・オラトリオ〜創造と救いと真理の響き
■「ふたつを一緒に」Due Chori in unisono〜マタイ受難曲二〇一六年
6.バッハと楽器
  トランペットの名手マドゥフとの出会い
  狩のホルン
  クルスベルヘンのチェンバロ
7.バッハ、時代を超えて
  メンデルスゾーンのコラール・カンタータ〜バッハの継承者として
  永遠の光(ルクス・エテルナ) モーツァルトの美
■「何を見るか」「どこへ行くか」〜マタイ受難曲二〇一七年
8.オルガンと旅
  バッハの音楽を伝える旅
  荘重さGravitätへの傾倒〜バッハとオルガン
  光と闇の対立〜アムステルダムにて
■完全なる調和と秩序の象徴〜マタイ受難曲二〇一九年

◎キリスト教音楽 曲種ノート 鈴木雅明

おわりに

【著者紹介】
鈴木雅明 (記者)  : 指揮者、オルガニスト、チェンバリスト。1990年、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)を創設。東京と神戸での定期演奏会に加え、バッハのカンタータ全曲、オルガン、チェンバロ独奏作品など多数のCDを録音制作。またグループを率いて欧米の主要なホール、音楽祭に度々出演して高い評価を積み重ねている。近年はモダン・オーケストラとも頻繁に共演し、レパートリーを広げている。2001年ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章、平成23年紫綬褒章など受章。2012年ライプツィヒ市より「バッハ・メダル」、ロンドン王立音楽院バッハ賞を受賞。2013年第45回サントリー音楽賞をBCJと共に受賞。2015年ドイツ・マインツ大学よりグーテンベルク教育賞を受賞。神戸松蔭女子学院大学客員教授、東京藝術大学名誉教授、オランダ改革派神学大学名誉博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 バッハを、音楽を、歴史と芸術を愛する方...

投稿日:2021/08/19 (木)

 バッハを、音楽を、歴史と芸術を愛する方々に読んでいただきたい。元々バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会のプログラムに入っていた文章を再構成し集めたものらしいがどれも分かりやすい言葉で我々に語りかけてくれる。平易な文章で書けるのはバッハを深く理解できているからこそ。タイトルに「神」とあるがキリスト者でない私でも抵抗なく読むことができる。各人にとって「神」なるものが何であれ、バッハの音楽はあまねく我々に癒しと慰めを与えてくれ、さらに知覚の覚醒を促し、進むべき道を照らしだしてくれる…。つまるところ、著者の願いもそこに行き着くのではないだろうか。バッハというフィルターを通して世の中を眺め、「バッハの音楽に何ができるだろうか」を考えつつ実践している著者の今後のさらなる活躍を期待しつつ、愉しむことができる良書としてお薦めする。

うーつん さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom

    アーノンクール、クイケン、ビルスマ、鈴木秀美の各先生など古楽の専門家が書かれた本を読むと、論理的な精緻さにいつも感動する。本書の鈴木雅明先生にも、楽譜や楽器や歴史を考えに考え抜くという姿勢が共通している。マタイ受難曲とヨハネ受難曲の違い(共観福音書とヨハネ福音書の性格に由来)、バセットヒェンのアリアの意味、和声と対位法の相乗効果、オルガンのレジストレーションの重要性など、とても勉強になることばかり。マタイに人気が集まる中で、「ヨハネ受難曲はともかく辛い作品です」との一言に、演奏者としての万感が籠っている。

  • ムーミン2号

    バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)という古楽演奏団体の音楽監督である鈴木雅明氏が、BCJの定期公演プログラムの「巻頭言」に書き綴って来られたものを編集したのが本書で、ほぼ、バッハの音楽について書かれている。それは専門的すぎず、かと言って全くの素人相手のものではないもので、ワタシのような音楽は好きでも素人にほぼ近い人間でも理解はできる。理解はできても、やはり楽譜なり、対訳なりを見ながら書かれていることを検証しなければ、音楽ひいてはバッハの理解に近づくことはできない。そうすることで聴く楽しみは増すだろう。

  • おだまん

    BCJ創設者、鈴木雅明マエストロの、バッハに対するリスペクトの念に溢れた文章。心を打つあの素晴らしい音楽を奏でられるのも納得。

  • どら猫さとっち

    バッハを中心に、バロックからロマン派音楽まで幅広い曲目の演奏で、今年創立30年を迎えたバッハ・コレギウム・ジャパン。その創設者の鈴木雅明が、これまでのバッハの音楽の想いを綴った回想録。僕も彼の指揮と演奏はとても好きで、演奏会にも何度も行った。マタイ受難曲、ミサ曲ロ短調、カンタータに器楽曲など、自身のエピソードを交えながら語るのが面白いし、音楽に対する熱い想いが伺える。これを機に、バッハの世界に、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏に触れてみてはいかがだろう。

  • Sadahiro Kitagawa

    芸術である前に信仰であったからこそ、バッハの曲にはここまで多くの意味がこめられているにもかかわらず音楽としての完全性も備わることができたのであろうか。前に読んだフェルナン・ブイヨンの『粗い石』にいうところの「信仰のないところに美はない。」をそのまま音楽に当てはめるというのはこういうことなのだろう。『粗い石』は建築の話だったけれど。 1000曲以上あるバッハの曲をここまで掘り下げて研究すること自体もまた信仰と言えるのではないだろうか。

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