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[USED:Cond.AB] "Sym.2: Gielen / Swr.So +Schoenberg: Kol Nidre, Kurtag: Stele"

Mahler (1860-1911)

User Review :4.5
(7)

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Artwork
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Other Condition
:
2枚組み
:
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Item Details

Genre
Catalogue Number
93001
Germany
Format
CD
Other
:
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Product Description

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ギーレンの『復活』

これまでの“バーデン・バーデン・サウンド”は、良くも悪くも実演の印象そのままのストイックなもの(?)が多かったのですが、この“復活”では、広大な音場に艶やかな楽器の音が見通しよく立体的に配されて、とにかくブリリアントといった印象なのです。
 ちなみに弦楽器配置は左手から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、そして右手後方にコントラバスといういわゆる“両翼配置”です。以下、楽章別にまとめておきます。
 第1楽章。過激な冒頭主題から、興奮することなくその特異な姿形を克明に示すそのテンポ設定とフレージングは、同じユダヤ系ドイツ人指揮者、オットー・クレンペラーのそれを思い起こさせますが、ギーレンの場合はよりテンポが遅く、細部描出に凝っているのが特徴。
 第2主題部では、昔のギーレンでは考えられないような繊細な叙情美を聴かせてくれますが、こうした表現レンジの広大さは特にこの作品の場合には強く求められるものでしょう。 展開部後半、再現部になだれ込む激しいブロックでの2度のパウゼ効果は、クレンペラーやブーレーズ同様、きわめて克明に生かされており、続く強大かつ急速なクライマックス部分への布石としては効果も十分といえる仕上がりです。
 第2楽章。作品本来の美感を率直に引き出したなかなか美しい演奏で、特によく歌うチェロはギーレンらしからぬ(?)心地よい印象を与えてくれます。有名なピツィカートによるブロックも立体的な響きが実に心地よく、続くノスタルジックな部分ではこの指揮者としては異例なほどに情緒的に美しいアプローチが聴けるのがポイント。
 第3楽章。ノスタルジックな第2楽章に続くスケルツォ楽章は、快活でにぎやかな楽想の連続する構造を持ち、ときに喧騒や夢想を交えながら進行し、やがて予知夢よろしく、カタストロフィの訪れを告げるかのように第5楽章冒頭と同じ嵐の音楽が現れるというものですが、ここでもギーレンならではの采配の鋭さが聴きものです。解像度高いアプローチ&録音技術によって、表面的には牧歌的に聴こえる音楽が、いかに数多くの素材から構成されているか解き明かしてくれるギーレン一流の分析・解剖技術はそのままに、スケルツォ本来のパワフルな躍動感も少々野卑なまでに示されています。
 第4楽章。落ち着きある声質が魅力的なコルネリア・カレシュの独唱を、ギーレンがきわめて精妙に伴奏した演奏で、自然なテンポのなかに広がる叙情美がたまりません。
 第5楽章。 十分な激しさを持ちながらも各音がきちんと聴こえるという、どこか冷静なタッチで開始される楽章冒頭の処理は、続く大規模な作品構造を意識したいかにもギーレンらしいアプローチで、その後、弱音で示される数々の音素材呈示の明晰さがその効能を十分に物語っています。
 3分50秒あたりからのピツィカートの受け渡しの妙と完全にパラレルな管楽器の進行の部分など、舞台裏の音も含めて、素晴らしく繊細な音響効果に耳を奪われます。一方で、7分付近からの有名なコラール部分では直線的で力強いギーレンならではの音楽が楽しめますし、バーデン離れした壮麗な音響も含め、楽章前半のカタルシス構築に期待を抱かせます。
 ギーレンが凄いのは、こうした場面で必ずと言って良いほど用意されている、マーラー特有の邪悪でグロテスクな脇役音型への配慮も万事怠りが無いところであり、ここでもそれらの要素を適宜強調することによって、10分58秒あたりからの勇壮な展開にもブラックユーモア的な雰囲気をもたせることに成功しています。安手のヒロイズムに陥りやすいこうした個所で、常に冷静な統率ぶりをみせるギーレンの感覚の鋭さは脱帽ものですが、その後、盛り上がるどころかどんどん進行がぎごちなくなるのも作品に正対しているからにほかならず、その意味で実に信頼できるアプローチだといえるのではないでしょうか。
 そうした多層的な感覚は、続くバンダ(舞台裏楽隊)入りの前半器楽部分の終焉ブロックと、後半声楽入り部分の導入部という2つのブロックでも見事な成果を挙げ、場合によっては退屈に聴こえかねない導入部を、スリリングで活気あるインタープレイの場とすることで、期待感を募らせることに成功しています。
 近・現代音楽の強力な解釈家で理論家でもあるギーレンにとっては、意味不明の弱音効果の強調による“神秘的(?)”な演出など関心の外であるに違いなく、前述個所でのアプローチもまさにそれを証明するものでしたが、続く合唱の登場にはさらに驚かされます。
 人によっては、聴こえるか聴こえないかギリギリのラインで、まさに神がかった演出をするこの場面でも、ギーレンは弱音指定にこだわることなく、率直過ぎるほど率直に、その聖歌風な合唱のラインとハーモニーを美しく力強く描出してゆくのです。そうすることで、ソプラノによって導かれる天上的なブロックが、その前の合唱ブロックと“対”であることを聴き手に鮮明に印象付け、以下、基本構成要素はこの組み合わせの変容と反復であることを着実に理解させてくれます。
 29分24秒あたりからの最後の“対”、つまりコーダとその前段にあたる部分は特に感銘深く、聖歌的な合唱が、艶やかで肉感的な音楽に支配されゆくさま(右側の第2ヴァイオリン!)がなんとも魅力的に描かれるのですが、こうした部分でも興奮したテンポ操作など一切おこなわず、そこにある情報のすべてを聴かせようとするギーレンの姿勢にはひたすら頭が下がります。
 続くコーダはどんな演奏で聴いても感動的な部分ですが、この演奏では合唱の響きが濁ることが無く、また、連続的で情緒的な運びではなくブロック的・段階的な運びを演出することにより(例えば“sterben”の前のクレンペラーばりのパウゼ)、常に明晰な印象を与えながらもなお深い感動を与えることに成功しているのです。 新たな“復活”の名盤の登場です。

Track List   

Disc   1

  • 01. マーラー:交響曲第2番『復活』(1996年6月収録)

Disc   2

  • 01. マーラー:交響曲第2番『復活』(1996年6月収録)
  • 02. シェーンベルク:『コール・ニドレ』(1995年11月収録)
  • 03. クルターク:大管弦楽のための『墓石』(1996年1月収録)

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Comprehensive Evaluation

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クレンペラーの演奏をさらに良い録音で聴き...

投稿日:2020/12/04 (金)

クレンペラーの演奏をさらに良い録音で聴きたいと思うような人に最適の演奏かと思います。この曲、ために溜めてど迫力で聞かせる演奏が好まれがちですが、元々曲自体が派手なので、ギーレンのように冷静さを保った演奏の方が飽きが来ずに良いように思います。

ナナマイ さん | 不明 | 不明

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マーラーは自作に数多くの指示をスコアに記...

投稿日:2009/02/05 (木)

マーラーは自作に数多くの指示をスコアに記入しているのですが、この演奏はかなりスコアに忠実に従っています。オーケストレーションのバランスも然り。この演奏を基準にして他の復活の演奏と聴き比べれば、他の指揮者がどのようにスコアを解釈しているのかが、如実に分かります。最も模範的な演奏になっています。名盤名演奏という事ではないのですけどね。

生で聴かなければ さん | 大阪 | 不明

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「『復活』ってどんな曲?」「ヘイ、こんな...

投稿日:2007/12/28 (金)

「『復活』ってどんな曲?」「ヘイ、こんな曲ですよ」みたいな、教科書的『復活』だと思う。教科書的という言葉は、ゲイジュツの世界では決してホメ言葉ではないが、ことこの『復活』レヴェルの完成度の高い曲では、教科書的手堅さの中からも充分に曲自身の持つ感動が伝わってくる。

ヒューブーン さん | 静岡県 | 不明

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