Comes Love

じっと見据える瞳がなんとも印象的なジャケットで、思わずこちらもずっと眺めたくなってしまいます。リサ・ロッティは音楽ファミリーに生まれ育ち、サックス奏者フランツ・ジャクソンのもとで歌を磨き、ヨーロッパ、南米、アジアに至る世界中のステージでパフォーマンスをしてきました。本作は、そんな彼女のキャリアと音楽性をフルに生かしたリーダー作となっています。

まず1曲目「Comes Love」から、聴く者を引き込む力を持つ声とキャラクターであることを誰もが認識できるでしょう。シカゴ・スタイルをルーツと明言するとおり、クラシック・スタイルのジャズを根底に持ちつつ、ノスタルジックながら現代感を持ち合わせているのがサウンドの特徴。

そして何といっても最大の魅力は彼女の歌唱。大人の女の香りを十分に持ちながらも、妖艶になりすぎず、チャーミングな魅力があり、過剰な色気やいやらしさは全く感じられません。基本的にハートウォームな質感ですが、時にはクールに。まるで女優が様々なヒロインを演じ分けてるかのようにも感じ取ることが出来ます。

曲はスタンダードを中心に、スイング、ブルース、ボッサなどで構成。ピアノ、サックス、ギターなど、バックのプレイもシンプルながら、さりげなくサウンドを牽引し、彼女の良さを最大限に引き出すものとなっています。

Lisa Roti : Vocals
Chris Carani : Acoustic Bass
John Harmon : Piano
Franz Jackson : Saxophone
Ton Theabo : Guitar
Martin Bany : Drums
Tom Washatka : Saxophone on 9
Gary Miller : Drums on 3, 7
Ryan Goldie : Guitar on 10