夢か幻か出会うことのない桃源郷か｡誰も知らず、誰も来ず、誰も聞かず、陶酔する海の碧さはまた赤く緑に帰る｡砂のお城は波に流された､そんなはかなく脆い危うさが綱渡りする鳥の鳴き声を旅立たせる｡霧の澄み渡る後ろ姿に溶けた声が､太陽も月も吸い込み淡く悲しく落ちてゆく気泡の渦となり､胸の中で無限の花となる｡

或る朝、白いカーテンがふわり宙を舞っていて開け放った窓いっぱいに芝草の青さが輝いていた...そんな夢うつつの光景をニュージーランドで体験したが、ハワイイでの作とされている本アルバムにも同じものを感じた。いやそれは違うよとひとによっては思うかも知れない、ともあれ噂ほどでもないアシッド・フォークの作品が多くを占めているなかでこれは間違いなく傑作のはず。

ﾊﾞｼｭﾃｨﾊﾞﾆﾔﾝの清楚可憐とｴﾘｶの妖気…ｗでﾊﾒﾊﾒ大王なまさに麻薬的なﾌｫｰｸ。ﾊﾜｲにはｷﾞｬﾋﾞｰﾊﾟﾋﾇｲもいりゃﾔﾎﾜもいることを想った。