Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• 里愛乍

  読了日：2018/02/04

  講演集なだけあって、シリーズ中もっとも読みやすかったと思います。特に歌や詩はわからぬものという件、ここはすごく腑に落ちました。例えば先日いつも遊んでくれる理系女子が牛乳パックの形について「完璧な美しさ」だと延々と述べてくれたけど、自分からしたらそれは単なる牛乳パックでしかない。日常で使うツールである言葉とは単語とは美しさを感じる点では確かに邪魔な物かもしれない。世の中はこんなに感動的なもので溢れているのに。数年前には分からなかった小林秀雄の言葉も、時が経てばこうして新たな発見に気付かせてくれるのです。

• 双海（ふたみ）

  読了日：2014/07/05

  戦後の混乱する思想界に衝撃を与えた「私の人生観」、柳田国男が目指した学問世界の意義を正確に読み解き、現代知識人の盲点を鋭くついた「信ずることと知ること」ほかの講演を収録、話し言葉による新しい批評表現の可能性を示した画期的な書。「知の巨人」の思索がたどり着いた到達点を示すシリーズ第三弾。（本書紹介より）

• マッキー

  読了日：2016/12/16

  小林秀雄の書く文章は相変わらず難しい。読むのにひどくエネルギーを使う。「歴史と文学」の章の歴史教育に関する記述が一番印象的だったがここに書かれていることを今の義務教育や高等教育でやるとなると困難を極めるだろうなと感じる。

• しき

  読了日：2022/12/25

  最初の「経験科学という場合の経験というものは、科学者の経験であって、私達の経験ではない」という言葉が好きで、よく使ってます。現代では知識が重視されていますが、個人の感覚は必ず存在するので、無視してはならないと思います。表現については、表現は時代によって異なり、ロマン主義では形式を破って「容易に人に語り難い意識や独白」をすることが求められていた。今の時代はどうだろう。世の中はホワイト化（良いことしか言えない）しているので、「内なるブラックな心をホワイト化する」ことが表現になるのだろう。

• 弥勒

  読了日：2015/12/07

  小林秀雄氏といふ人は、彼自身の言葉を持ちいれば「己の世界」といふ「狭い」「貧しく弱く不完全なものである」世界で、「その不完全なものからひと筋に工夫を凝ら」し、「生活に即して物を考へる唯一の道」つまり、「ものを本当に考へる道」を歩むだのでせう。「間違ひの一歩を踏み出す事」を覚悟して、講演をしたり、文章を綴つたりするときの彼の言葉に対するこのやうな真摯な姿勢が、文体に表れてをります。私が小林秀雄といふ人物に惹きつけられるのもそのせいかもしれません。

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