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虔十公園林 / ざしきぼっこのはなし

Kenji Miyazawa

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784265071067
ISBN 10 : 4265071066
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2005
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ばかにされながらも虔十が育てた小さな杉林は子どもたちの遊び場になり、虔十の死後も彼らの故郷でありつづけた。方言の響きが味わいを深める、地方色豊かな2話を収録。小学1年生から楽しく読める宮沢賢治のお話。

【著者紹介】
宮沢賢治 : 1896年岩手県花巻市生まれ。盛岡高等農林学校卒業。1924年詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、1933年9月21日、病気のため三七歳の若さで亡くなる。数多くのこされた、すぐれた詩や童話が、没後、整理・出版され、いまもなお多くの人びとに読みつがれている

はたこうしろう : 1963年兵庫県西宮市生まれ。高槻市立冠小学校卒業。絵本、挿絵、装丁の仕事で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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知り合いが高尾山をぶち抜いてトンネルを作...

投稿日:2021/04/25 (日)

知り合いが高尾山をぶち抜いてトンネルを作る無謀な計画に反対する市民団体に縁があって、その会が『虔十の会』という会だった。森を守ろう、というとってもまともな思考の会に思えた。山をぶち抜いてトンネルなど作ったら自然はおかしなことになるのは見え見栄だ。そんな会の”虔十”というのは変わった名前だなあ、何のことだろうと思っていた。 調べてみたら宮沢賢治氏の作品の主人公の名だった。 あるときその本を手にとって見た。 児童向けの優しい本だったが、読むそばからポロポロと涙が落ちてきた。 今で言えば発達障害とでもいうのか、いつも馬鹿にされ黙ってもくもくと優しい心で暮らした虔十という少年が、初めて欲しがったのが杉の苗木。それを荒地を耕して植え、やがては人々が憩い遊ぶ素晴らしい森になるという話。 賢くて理詰めで損得勘定やら自分の理屈ばかり並べることもなく、もくもくと植えた苗がやがては人々を癒し喜ばれる森となる。 なんと象徴的な話だろうと思った。 なるほど件の市民団体が【虔十】の名を団体名にしたのはそういう深い思いがあったのか、と納得。 人は自然の恩恵から切り離されては生きてはいけない。 虔十は森が立派になるのを見届けず死んでしまったが、森の恩恵はその後もその土地が発展しても人々のやすらう場になったと言う。 宮沢賢治氏はすでにその簡単な短い作品の中に、現代社会を生きるわれわれへの愛に溢れるメッセージを残したように思えた。 この本の挿絵のちっちゃな虔十の絵もみていると素朴で涙が落ちる。 ここにはとっても大切な【心】があるような気がします。

izkeiske さん | 岡山県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • めしいらず

    無垢でいることで、いつもいつも物笑いの種にされる幼い虔十。だから懸命に笑わないフリをする。それでも彼の真っ直ぐな心は、偽りのお面を破って顔をのぞかせる。彼の植えた杉苗は大きくは育たなかったけれど、多くの人たちに自分たちの無垢で真っ直ぐだった頃を思い出させる種となる。はた目には短い薄倖な人生。でも、虔十にはいつでも包み込んでくれる家族、心底大事と思える居場所があったから、やっぱり幸せだったんじゃないかなぁ。

  • chiaki

    『虔十公園林』すごく良かった。虔十の清らかで穢れのない心のなんと美しい。欲はなく決して怒らない虔十の、唯一の欲と唯一の怒り、その力強い想いが心に沁み入り、私も唇を噛みしめる。変わり果てた故郷の姿の中に、変わらないものがあるということが、どれほどの安らぎを与えることか。虔十の意志を尊重し、守り続けてきたご両親もまた素晴らしい。心暖まる『ざしきぼっこ』にも癒やされました。ほんわかとしたはたこうしろうさんの挿し絵も作品に合っていて良かったです。

  • tokotoko

    ちょっぴり不思議な本でした。読んだ瞬間は、「?」とか「そうなんだ・・・。」って感じで、何も感想が湧いてきません。けれど、翌日になって、ふと!虔十さんって、実はスゴイ人だったんじゃない?!って思えてきて。それからは、虔十公園林についていっぱい調べ、ついに!近隣かはわかりませんが、ある小学校の石碑まで読んでしまいました。きっとね、本当に虔十さんがちゃんと称えられているかどうか、確かめたかったんだと思います。これからも、虔十さんの大好きだった子どもの笑い声、公園で響き続けますように。虔十さんまで届きますように。

  • bX

    杉苗を植えた虔十も、その虔十をいじめた平二もあっけなく死んでしまう。当時、子どもたちの死亡率というはまだまだ高かったのだろう、その小さな命のはかなさに涙する。そして主人公を失ったこの物語がそれで終わってしまうのではなく、その虔十の杉林は子どもたちの格好の遊び場であり続け、何十年も経て「虔十公園林」としてたくさんの人々に、自然の息吹とともに「ほんとうのさいわいがなんだかをおしえ」つづけたのだったと物語りは終わる。その主題は子ども向けというより、大切な何かを置き去りに日々生きてきた大人たちへの寓話なのだった。

  • ケ・セラ・セラ

    宮沢賢治の作品は沢山出版されていますが、こちらははたこうしろうさんの絵によって主人公の虔十がより温かく魅力的に描かれています。周りの子どもらにばかにされても、家族が優しいのがいい。方言の言い回しが読んでいて優しいですね。時が経っても変わらずそこにあるもの。心に沁みる作品。低学年から読めるように、総ルビ、下部に方言や難しい言葉の説明文付き。岩崎書店から出版されている宮沢賢治シリーズ。それぞれいろいろな方々が絵を手掛けていて、他も読んでみたくなりました。

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