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空白を満たしなさい 下 講談社文庫

Keiichiro Hirano

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062932899
ISBN 10 : 406293289X
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2015
Japan

Content Description

全国で生き返る「復生者」たち。その集会に参加した徹生は、自らの死についての衝撃的な真相を知る。すべての謎が解き明かされ、ようやく家族に訪れた幸福。しかし、彼にはやり残したことがあった…。生と死の狭間で「自分とは何か?」という根源的な問いを追究し、「分人」という思想が結実する感動長編。

【著者紹介】
平野啓一郎 : 1975年、愛知県生まれ。京都大学法学部卒業。’98年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した作品『日蝕』が巻頭掲載され、話題を呼ぶ。翌’99年、同作により第120回芥川賞を受賞。2002年、2500枚の長編『葬送』を刊行。’09年、『ドーン』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヴェネツィア

    下巻に入って、ゴッホの自画像の持つ意味も、そして主題もまた明らかになった。つまるところ、この作家特有の思想である「分人」を小説として描き出すことに主眼があったことになる。言っていることはわからないではないが、小説として語ることの意味においては、はなはだ疑問である。小説が小説として自立するには、その形式においてしか語り得ないものであるはずだ。ところが、本書では作家の思想が先行し、それを説得するためrに小説という形式が用いられているようだ。平野啓一郎氏の本は、これまでに何作か読んできたが、本書はお薦めしない。

  • おしゃべりメガネ

    作家さんにはこの人しかこういうの書けないだろうなという作品が少なからずあると思われ、平野さんの作品をそんなに読んでるワケではありませんが、やっぱりこの方もそうなんだろうなぁと感じました。下巻は上巻にてじっくりと築き上げた世界観をしっかりと固めていき、家族との絆、生きることの大切さなどを教典のように綴っていきます。そもそも本作は一体どういうジャンルなのか?なんて細かいコトは気にしてはいけない圧倒的な筆力を感じずにはいられません。世の中にはこういう作品を書けてしまう方もいるんだなぁと、ひたすら驚愕でした。

  • chantal(シャンタール)

    お釈迦様は人生とは生まれた落ちた時から「生老病死」の四苦を背負って生きる事だと、生きることは苦しみだと言うことを発見した。生まれたその日から、いつか死ぬ事は決まっている、その日までをどう生きるか?多くの人が考え悩みながら生きている事と思う。辛いばかりの人生もあるだろう、それでも人は生きなければいけないのか?家族のためにと頑張りすぎる人生が本当に報われるのか?なんだか色々な事を考えさせられたなあ。死んでしまえばただの「無」になるのか、生きた証を残せないのか、残す意味はあるのか・・難しいよね、生きるって。

  • ナマアタタカイカタタタキキ

    “分人主義”という概念は、私にとっても非常に納得のいくもので、日頃から沢山の人々と接する中で意識させられていたことを、きちんと言語化されたような感覚だった。その人を失うことは、同時にその人と接する際に表れる自分自身を失うことになる。けれど、肉体や精神の消滅がイコールその人の存在や影響の消滅、とも言い切れない。その辺の講釈があまりに先立っていて、途中で思想書であるかのように錯覚し、本筋の物語が教材か何かの挿話のようにさえ思えてきた。小説としてどうかと言われると…気づきはあっても、魂は震えない…そんな感じ。→

  • ゆいまある

    何も残らなかった。自殺する人は自分の別人格に殺されるという「分人」という概念を提唱しているが、精神科医として自殺未遂した人に日々接していると解離した人格が別の人格を殺そうとするケースは見当たらない。別人格は苦しい現実を生き延びるために生み出すものだからベクトルが逆である。死んだ人が生き返る理由も、そしてまた消えていく理由も明かされず、結局この分人概念がテーマらしい。解離と役割性格などをごっちゃにしているように見える。主人公と同じく平野も父を1歳で亡くしている。空白を埋めたいのは多分作者自身なのだろう。KU

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