このCDは音量をかなり上げて聞かないとだめな一枚です。音量をあげれば全部の楽器の音が聞こえるので、問題無いと言おうと思えば言えるでしょう。ところで演奏ですが、これは、ジム・ペッパーの「サックス奏者としての力量」を良くも悪くも露呈しているんではないかと思います。サウンド全体は、楽しい感じ。バラエティーにも富んでいる。アルバート・アイラー風なもの、デューイ・レッドマン風なかけ声、トラディショナルなバラード、ウィッチ・タイトなどなど。

非常にピアノの音が綺麗に響くのが印象的。とても聞き易く、とっつき易いアルバムです。ただ、ジム・ペッパーのソロはそんなに長くない。もっと長く吹いてほしい気もします。けれども、彼のソロのフレーズは興味深い。「ロリンズを意識しているのかも?」と思って聴いたりしました。彼はコルトレーン的なフレーズで長年吹いていましたが、ここでは確かに大きな変化が認められます。注目は、やはり、3曲目。Chantの部分です。まるで、神主さんの節回しみたいなところがあり、ものすごく興味深かったです。

これは非常に楽しいアルバムです! ジム・ペッパーが、テナー・サックス・ソロを取っている時間は長くないですけれども、それも気になりません。一曲の中で、そしてアルバムを通して、メリハリが利いています。