NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ特別編/実験工房
1950年代に花開いた先鋭的、扇動的な芸術活動「実験工房」の音楽集
1951年から1957年までのおよそ6年間のみ存在した「実験工房」は、多彩な分野で活躍する最先端の芸術家たちが自発的に集結し、自らも前衛芸術を提唱した詩人、瀧口修造を後見人とした総合芸術グループです。彼らによって生み出された作品は、ダンス、演劇、バレエ、映画など多岐に渡りますが、とりわけ音楽の分野では、最先端の海外作品を紹介しながら、日本ならではの音楽を創り上げるなど活発な動きがありました。彼らによる作品群は当時の人々に大きな驚きをもたらしたことは間違いありません。
このアルバムには、中心的メンバーであったピアニスト園田高弘による1957年の演奏会の録音を中心に、独学で作曲を志しながらも「実験工房」に参加したことで独自の作風を確立した福島和夫の作品などを収録しています。この福島作品は、林リリ子と林光のデュオによる貴重な録音で、これまで聴くことのできた既存音源とは一線を画したものとして評価されることでしょう。そして、アルバムの核となる、園田の演奏する武満徹、佐藤慶次郎、湯浅譲二、鈴木博義の音楽は、当時彼らが強く影響を受けたであろうオリヴィエ・メシアンの音楽を一瞬彷彿させながらも、新しいものを模索しようともがく「先導者」たちの姿を浮き彫りにします。(NAXOS JAPAN)
【収録情報】
・武満徹:ピアノのための『二つのレント』 (1950)
・武満徹:ピアノのための『遮られない休息』瀧口修造の詩による (1952)(I.ゆっくりと悲しく、語りかけるように)
・佐藤慶次郎:ピアノのための『五つの短詩』 (1953-55)(I.レント/II.アンダンティーノ/III.メカニックに)
・佐藤慶次郎:ピアノのための『悼詩』 (1955/56)
・湯浅譲二:ピアノのための『内触覚的宇宙』 (1957)
・鈴木博義:二つのピアノ曲 (1952)(I.レント・アッサイ/II.オスティナート、アル・リゴレ・ディ・テンポ)
園田高弘(ピアノ)
録音時期:1957年7月9日/放送:1957年7月21日
・福島和夫:アルト・フルートとピアノのための『エカーグラ』(1957)(I.レント・ルバート/II.レント・ソステヌート/III.モデラート)
林リリ子(フルート)
林光(ピアノ)
録音時期:1959年6月12日/放送:1959年7月
・湯浅譲二:ピアノのための『プロジェクション・エセムプラスティク』 (1961)
一柳慧(ピアノ)
録音時期:1980年6月3日
録音場所:東京、イイノホール
「第3回 東京音楽芸術祭 日本の音楽家 5 一柳慧・高橋悠治デュオ・コンサート」
放送:1980年11月2日
仕様:HQCD (Hi Quality CD)
解説:川崎弘二
【NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ】
NHKの協力のもと、戦後の日本現代音楽の時代の空気が当時の演奏で甦る!
「NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ」は、戦後の日本音楽シーンを代表する邦人作曲家に焦点をあてたCDシリーズです。収録音源は全て、NHKラジオ番組「現代の音楽」で過去放送された番組のマスターテープから編集・リマスタリングを行い、マスターの再現性においてきわめて評価の高いHQCD(Hi Quality CD)でリリースします。NHKの協力の元、希少価値の極めて高い録音のアーカイブ化を実現しました。代表作の初演や未発売作品のライヴ録音を中心に収録。日本人の創りだした音楽が、作曲当時の時代の空気とともに今ここに甦ります。
【NHKラジオ番組「現代の音楽」について】
戦後間もない1947年のラジオ番組「日本の音楽」などを前身として、1957年より日本の現代音楽の有り様を今日まで伝えている番組。現在の放送時間は、毎週日曜18:00-18:50。柴田南雄、上浪渡、白石美雪、西村朗などが歴代の解説を務め、2009年からは猿谷紀郎が担当。邦人作曲家から海外の著名な作曲家まで、音楽祭や作曲賞本選会などのライヴ録音を中心に放送。(NAXOS JAPAN)