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沈黙の町で 朝日文庫

Hideo Okuda

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784022648051
ISBN 10 : 4022648058
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2016
Japan

Content Description

北関東のある町で、中学二年生の名倉祐一が転落死した。事故か、自殺か、それとも…?やがて祐一が同級生からいじめを受けていたことが明らかになり、家族、学校、警察を巻き込んださざ波が町を包む…。地方都市の精神風土に迫る衝撃の問題作。

【著者紹介】
奥田英朗 : 1959年生まれ。作家。プランナー、コピーライターなどを経て、97年に『ウランバーナの森』でデビュー、創作活動に入る。2002年に『邪魔』で大藪春彦賞、04年に『空中ブランコ』で直木賞、07年に『家日和』で柴田錬三郎賞、09年に『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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小さな町の中学校で、男子生徒が転落死した...

投稿日:2018/12/12 (水)

小さな町の中学校で、男子生徒が転落死した。その生徒はいじめを受けていたことが判明。この転落は事故か事件かー。 いじめ首謀者とされた4人の生徒たち、その親、被害者側の家族、学校、警察、検察、弁護士、そして聞き取り調査をされるその他大勢の生徒たち。多くの視点から描かれる群像劇であり、さらに事件後と事件前の様子が自然に時間軸を行き来しながら描かれるので、読み手がどのように事件をとらえるのか、誰に感情移入するのかが都度変わっていく。 中学生は鳥の群れのようなもので、みんなが飛ぶ方向に考えもなくついていく、という文言が出てくるが、中学生のみならず、読み手もページが進むにつれて同じように大勢に流れていきそうになる。あえて言うなら「この子だったらいじめられてもしょうがないな」とすら思わせる描き方、そしてそのように感じることへの嫌悪や反省も含めてこの作品ができあがっていると思うし、大きな悪がない(小さな悪はたくさんある)中で大きな事件が起きてしまう不幸について、人はどこまで責任を負えるのか、負うべきなのかということも考えさせられる。 奥田英朗さんの軽やかな筆致なのでとても読みやすく、それが事件に対する関係者の温度差も見事に描き出しいていた。読み進むのを止められない作品。

yupi さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 🐾Yoko Omoto🐾

    この物語に出てくる登場人物は、平凡な日常を送るどこにでもいるような普通の人たちだ。だがそんな当たり前の日常が、イジメを受けていたと思われる一人の少年の死によって激変する。物語は事件に対して通りいっぺんに誰が悪いということを断じるのではなく、関係者それぞれの視点からの心情を丁寧に描くことで、事件の背景や原因を掘り下げたものとなっている。事件の当事者たち、親、教師、警察、報道、全ての人物たちが、自分の置かれた立場によって被害者にも加害者にも変化し、重いテーマながら見事な群像劇に仕上がっている。→(続)

  • イアン

    ★★★★★★★★★☆いじめを扱った奥田英朗の長編。閑静な地方都市で男子中学生の転落死体が発見される。背中に残された無数の傷痕により、警察は未必の故意による殺人を疑うが…。遺族や加害者家族だけでなく、警察・教師・記者など総勢9名の視点から「その日何があったのか」を浮かび上がらせていく。いじめ問題や少年法にも切り込んだ社会派としての側面もあり、600ページ弱の長編ながら読み終えるのが勿体ないと思わせるほど惹き込まれた。最初は平衡を保っていた心の天秤が徐々に加害少年側へ傾いていく。その筆力はただただ圧巻だった。

  • AICHAN

    図書館本。イジメに題材をとった作品。奥田英朗の作品では『町長選挙』や伊良部先生シリーズなど主に笑えるものを読んできたが、これは大真面目な作品。同じ作家の作品とは思えなかった。この作家のポテンシャルの高さを感じた。中学校で死亡事件が起こる。警察の取り調べが始まる。イジメをやっていたと思われる4人が逮捕・児童相談所送りになり、間もなく釈放・保護解除になる。事件は終わったかに思えた。そこからがこの作家の本領。これ以上は書くまい。映画化して小中学生たちに見せてあげてほしい。手本的な日本語なので指定図書にしてもいい

  • アッシュ姉

    一人の中学生の転落死をめぐり、小さな町に広がる大きな波紋。死の原因を追究する捜査の過程で、浮かび上がってきたいじめの問題。子供たちは沈黙し、大人たちは翻弄される。生徒、親、教師、警察、記者など、さまざまな視点で進む群像劇で、著者は中立の立場で誰に肩入れすることもなく、丹念に描いている。話し手が変わるたびに、読み手の私は揺れ動き、いろいろな角度から考えさせられた。普通に暮らしていた人々が、ある日突然事件の関係者となって取り乱し、本来の人間性が剥き出しになっていく様子が生々しい。(コメントへ続く→)

  • ヨーコ・オクダ

    中学校にある銀杏の木の下の側溝にはまった「ちゃま夫」の死体。自殺か事故か殺人か。学校、警察、同級生、親、検察、弁護士…それぞれの立場からの考察、判断、対応。とりあえず、ちゃま夫はおぼこ過ぎ。同級生たちは、年相応におぼこい。学校側の大人たちは、世間の大人に比べると若干おぼこい。そんな印象を受けた。で、奥田センセはご丁寧に、その他の社会の大人たちの浅はかな点、そうせざるを得ない言い訳も描いてくれている。「いじめ」自体を考えるより、根本的な部分でありながらも、大きい枠組みで考えるように諭されている気がした。

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