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神話と日本人の心 岩波現代文庫

Hayao Kawai

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784006003463
ISBN 10 : 4006003463
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2016
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

日本を代表する心理学者・河合隼雄が、ユング派分析家の資格取得論文のテーマとしたのは、日本神話であった。日本人の心理の深層に存在する日本神話の意味と魅力を、日本の読者向けにわかりやすく語る。太陽神アマテラスはなぜ女性なのか?ツクヨミの日本神話における役割とは?トリックスター、英雄など様々な顔を持つスサノヲとはいかなる神か?世界の神話・物語との比較の中で『古事記』『日本書紀』を読み解き、日本人独特の心性の深層にせまるとともに、現代社会の課題を探る。

目次 : 日の女神の輝く国/ 世界のはじまり/ 国生みの親/ 冥界探訪/ 三貴子の誕生/ アマテラスとスサノヲ/ 大女神の受難/ スサノヲの多面性/ オオクニヌシの国造り/ 国譲り/ 国の広がり/ 均衡とゆりもどし/ 日本神話の構造と課題

【著者紹介】
河合隼雄 : 1928年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。1962年よりユング研究所に留学、ユング派分析家の資格取得。京都大学教授、国際日本文化研究センター所長、文化庁長官を歴任。2007年7月逝去

河合俊雄 : 1957年奈良県生まれ。京都大学教育学研究科博士課程中退。チューリッヒ大学(Ph.D.)。ユング派分析家資格取得。現在、京都大学こころの未来研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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正にあとがきにもあるように、当「神話と日...

投稿日:2021/07/19 (月)

正にあとがきにもあるように、当「神話と日本人の心」は、自分自身の心のルーツを辿ろうとした時に、日本人としての心のルーツも併せて探ろうとすると考えるが、その大きなヒントを授けてくれる一冊だと思う。  「昔話と日本人の心」も体系だった内容であったが、「神話と日本人の心」は河合隼雄がユングの分析者資格取得のための論文であっただけに、更に体系立てられていると共に日本人の考え方の源を感じることができ、集大成と言える内容である。  改めてキリスト教文化圏における個人主義と自己の確立過程との違いを感じさせられた。それは自分の中にある曖昧さや決断することの良し悪しを周囲を意識する中で逡巡してしまう様な有り様にも気づかさせられるところであった。  自己の確立を求めようとし、しかし必ずしもそのことが絶対的に求められていることでもない社会性が自分の中に揺るぎない葛藤をもたらしていたのではないかとの、曖昧模糊としていたものが、今疑いが少し晴れたような思いをさせてもくれる内容でもある。  日本人の場合、明確な自己の確立を求めようとするほど、そのことを強く求めようとはしない暗黙の家族や社会の雰囲気 があるような気がする。しかも誰一人責任と決断を無理にリードしようとはしないのかもしれない。  そんな日本人には多数決と言う民主主義が似合っているのかもしれない。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とはよく言ったものだと思う。だからこそ平和を好み、平穏に取り繕おうとする国だから、日本は良い国であることは間違いない。  日本神話から日本人の考え方、心理を把握しようとすると、均衡・調和・恥の意識が認識されるが、グローバルな世界の中での主体性、決断力、責任感という課題を乗り越えるためには、日本神話の時代からの続いてきた日本文化あるいは日本人としての特性から大きく離れて飛躍できないことを考えると、現実的には持ち味としての均衡・調和に対する取り組みを活かすことが大切になるのではないだろうか。均衡・調和を重んじるということは民主的に物事を進められる能力であるとも言い換えられるし、具体的にはコミュニケーションや論議の中からその均衡・調和を実現して行くことが求められるのではないだろうか。  論議をすればするほど、結論がすぐ出るというものでもないが、その生みの苦しみの中から、主体性は磨かれていくのでは。  河合隼雄氏が述べているように、ヒルコをどう受け入れるのか、どう再帰させるのかの課題への対応ということだと思う。

brian さん | 滋賀県 | 不明

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