Alceste: G.jones / Geraint Jones O & Singers Flagstad R.jobin A.young

今なお比類ないフラグスタートの崇高な佇まい
グルック：『アルチェステ』全曲

1767年ウィーン原典版での演奏でイタリア語版。『オルフェオ』での成功を踏まえ、グルックのオペラ改革第２作として名高い『アルチェステ』。この録音は1956年にデッカによってセッション・レコーディングされたもので、主役に20世紀の生んだ偉大ソプラノ、フラグスタートを起用したことでもよく知られています。夫の王のために自らの命を差し出そうとする王妃の気高さにふさわしい彼女の歌唱の崇高な佇まいは、今聴いてみても比類のないものです。
　レコーディングがおこなわれた1956年といえばモノラル最後期。セッション録音では、すでに周波数レンジ、ダイナミックレンジともに鑑賞には十分なクオリティに達している時期だけに、今回のＣＤ化は大いに歓迎されるところです。
　なお、フラグスタートの『アルチェステ』にはほかに、1957年のコペンハーゲンでのライヴ録音（イタリア語）と、メトロポリタン歌劇場での1952年のライヴ録音（英語）がありますが、音質と歌のコンディションはこのデッカ盤がもっとも優れています。

【収録情報】
・グルック：歌劇『アルチェステ』全3幕 [172:56]
　キルステン・フラグスタート（S　アルチェステ）
　ラウル・ジョバン（T：アドメート）
　アレグザンダー・ヤング（T：エヴァンドロ）
　マリオン・ロエヴェ（S：イズメーネ）
　トマス・ヘムズリー（Br：大祭司／アポロ／死の神）
　ジョアン・クラーク（S：エウムーロ）
　ローズマリー・セイヤー（S：アスパージア）
　ジェイムズ・アトキンス（Br：預言者／神託の声）
　ジェレイント・ジョーンズ・シンガーズ＆管弦楽団
　ジェレイント・ジョーンズ（指揮）

　録音：1956年（モノラル）