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耽美的なネオクラシカル・ピアノ室内楽
ビトゥイーン・アス
ロベルト・グロモトカ、ヨナス・ハイン、他
【概要】
◆Berlin Classicsのネオ・クラシカル・レーベル「Neue Meister(ノイエ・マイスター)」からのリリース。ピアニストで作曲家のヨナス・ハインと、同じくピアニストで作曲家のロベルト・グロモトカの作品をピアノと弦楽(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)で演奏した耽美的な仕上がりのネオクラシカル・アルバム。
【作品】
◆冒頭の「始まりの場所」から内面を見つめる旅が始まり、最後にはベルリンの都市高速道路、アウトバーン100号線を描いた「A100」で現実世界に戻るという筋書きで、モリコーネ風の耽美からサティ、ミニマルまで盛り込んだ心地よい音楽が続きます。
【演奏】
◆ベルリンのネオクラシカル・シーンで活動するピアノ・デュオ、ヨナス・ハインとロベルト・グロモトカ、そしてチェロのフェリツィタス・コンラート、ヴァイオリンのガブリエーレ・キーナスト、ヴィオラのゼバスティアン・シュタインヒルバーによる演奏。
Neue Meister ・
Berlin Classics ・
Brilliant Classics ・
Piano Classics
演奏者情報
ロベルト・グロモトカ (ピアノ/写真左端)
ヨナス・ハイン (ピアノ/写真左から2人目)
ガブリエーレ・キーナスト (ヴァイオリン/写真右端)
フェリツィタス・コンラート (チェロ/写真右から2人目)
作品情報付きトラックリスト
LP [40'38]
Side A
1. 始まりの場所 [2'16]
室内楽演奏。曲はシンプルで抑制されたピアノのフレーズで開始。それは未知のものへの好奇心と、拒絶されることへの微かな恐れを含んだ問いかけのような旋律です。これに対し、グロモトカがアレンジした弦楽器(ヴァイオリンとチェロ)が応答するように重なり、ピアノの単旋律を温かい和声で包み込んでいきます。
即興的なセッションから生まれたような生々しさと、互いの音楽言語が瞬時に噛み合った瞬間の高揚感が、わずか2分16秒という短い尺の中に凝縮。キーナストのヴァイオリンは透明感のある高音で希望を示し、コンラートのチェロは深い低音で安心感を与えます。
2. 静かな涙 [3'14]
室内楽演奏。内省的な哀愁の世界。ハインが得意とする「音の減衰」への意識が顕著に表れ、一つの音が消え入る瞬間の静寂そのものが音楽の一部として扱われているかのようです。感情を過度にドラマチックに表現せず、淡々と抑制されたタッチで描くネオクラシカル特有の手法がとられており、それがかえって悲しみの深さを際立たせています。
3. 孤独な愚か者たち [4'10]
室内楽演奏。アルバム前半のひとつの山場。冒頭の孤独な単音から始まり、徐々に音数が増え、二人のピアノが複雑に絡み合っていきます。アルペッジョが繰り返される中、現代社会における人間関係の難しさや、誤解、すれ違いといった要素が音像化されているのかもしれません。
4. タイズ・アンド・シャローズ [3'13]
室内楽演奏。水に関連したイメージを喚起する曲。潮の満ち引き(Tides)は感情の揺れ動きや時間の循環を、浅瀬(Shallows)は透明性や、あるいは座礁の危険性を孕んだ脆さを象徴しています。オスティナートが多用され、低音部が寄せては返す波のような一定のリズムを刻み、高音部がその上を水面のように漂う旋律を演奏。水のような不定形さと、絶えず変化し続ける関係性のメタファーが込められているかのようです。
5. インタールードI [1'02]
ピアノ演奏。ひとつの断片的なアイデア、あるいは記憶のフラッシュバックのような性格を持つ間奏曲 。シンプルな旋律の繰り返しのみで構成され、聴き手に一息つく時間を与えます。
6. 言葉にできないこと [2'58]
ピアノ演奏。音数は極めて少なく、音と音の間の空白に重きが置かれており、ピアノの打鍵が極めて繊細にコントロールされ、ソフトな音のクラスター(塊)が、ペダルによって長く引き伸ばされ消えていきます。明確なメロディラインを歌い上げるのではなく、和音の移ろいによって感情の揺らぎ(不安、信頼、安らぎ)を表現。ハインは「時には沈黙がどんな言葉よりも多くを語る。その沈黙こそを、我々は音にしたかった」と語っています。
7. エントロピー [3'30]
室内楽演奏。「エントロピー」は、「無秩序の度合い」や「不可逆性」を意味する言葉。これまでの調和的な響きに対し、何らかの「乱れ」や「ズレ」が導入されていると考えられ、変拍子、不協和音などが用いられ、秩序から混沌への移行、あるいは複雑な模様の生成が描かれているのかもしれません。
Side B
8. 第三の動き [5'35]
室内楽演奏。モリコーネ風の旋律と、ミニマルで静的な要素が交錯する非常に美しい作品。
9. 平和の賛歌 [4'04]
室内楽演奏。前曲に続く落ち着いた曲調ですが、こちらは「痛みと絶望」と「希望の光」がない交ぜになったエレジーです。
10. インタールード II [1'31]
ピアノ&電子ピアノ演奏。2つ目の間奏曲で、役割としては前2曲の感情的な昂ぶりを鎮め、終盤のより軽やか、あるいは現実的な楽曲へと意識を切り替えるためのクッションとして機能。
11. ピアノに向かう友人たち [1'39]
ピアノ演奏。 これまでのシリアスで内省的なムードとは対照的に、気楽な雰囲気で、2人のピアニストの信頼関係が描かれます。
12. ブルーム [2'56]
室内楽演奏。蕾がゆっくりと開花(ブルーム)するように、シンプルなモチーフから始まり、徐々に音域が広がり、和声が豊かになる希望に満ちた曲。
13. A100 [4'25]
ピアノ&電子ピアノ演奏。タイトルの「A100」は、ベルリン市内を走る都市高速道路「アウトバーン100号線」に由来。「A100」は終わりのない環状線であり、都市の鼓動そのものでもあることから、アルバムの内面的な感情の旅を経て、現実の物理的な世界、騒音とスピードに満ちたベルリンの日常への帰還を意味するとも考えられます。高速道路を走る車の流れや、都市のノイズを模したような一定のパルス(拍動)や反復リズム、ミニマル・ミュージック的なオスティナートが特徴的で、感傷的な終わりではなく、動き続ける現実世界に戻るために音楽がフェードアウトしていくような、クールで現代的なエンディングとなっています。
ロベルト・グロモトカ(ピアノ)
ヨナス・ハイン(ピアノ)
ガブリエーレ・キーナスト(ヴァイオリン)
フェリツィタス・コンラート(チェロ)
ゼバスティアン・シュタインヒルバー(ヴィオラ)
トラックリスト
LP 40'38
Side A
1. 始まりの場所 [2'16]
2. 静かな涙 [3'14]
3. 孤独な愚か者たち [4'10]
4. タイズ・アンド・シャローズ [3'13]
5. インタールードI [1'02]
6. 言葉にできないこと [2'58]
7. エントロピー [3'30]
Side B
8. 第三の動き [5'35]
9. 平和の賛歌 [4'04]
10. インタールード II [1'31]
11. ピアノに向かう友人たち [1'39]
12. ブルーム [2'56]
13. A100 [4'25
ロベルト・グロモトカ(ピアノ)
ヨナス・ハイン(ピアノ)
ガブリエーレ・キーナスト(ヴァイオリン)
フェリツィタス・コンラート(チェロ)
ゼバスティアン・シュタインヒルバー(ヴィオラ)
Track list
1. Where We Begin 2'16
2. Silent Tears 3'14
3. The Lonely Fools 4'10
4. Tides and Shallows 3'13
5. Interlude I 1'02
6. The Unspoken 2'58
7. Entropy 3'30
8. Third Motion 5'35
9. Hymn for Peace 4'04
10. Interlude II 1'31
11. Amici Al Piano 1'39
12. Bloom 2'56
13. A100 4'25
Cello: Felicitas Conrad
Klavier: Robert Gromotka, Jonas Hain
Viola d’Amore: Sebastian Steinhilber
Violin: Gabriele Kienast