Hawaii To Calcutta: A Tribute To Tau Moe

インディアン・スライド・ギターの名手がハワイ音楽に挑む！

　2005年の初インタナショナル作『カルカッタ・スライドギター』に始まり、10年以上に渡ってライス・レコードがその作品を国内配給してきたインディアン・スライド・ギターの現役最高峰、デバシシュ・バタチャルヤが２年振りに新作をリリースします。今回は『ハワイ・トゥ・カルカッタ』というタイトルが示す通り、なんとハワイ音楽に挑戦した意欲作となりました。
　デバシシュ・バタチャルヤは幼い頃からインディアン・スライド・ギターの神童として話題を呼び、21歳でスライドギター奏者として初めてインドの大統領から賞を授与されました。その後、ジョン・マクラフリン率いるシャクティにも参加、40歳の若さで名人の称号である「パンディット」の名を与えられ名実ともにトップ・アーティストとして認められています。2008年の『カルカッタ年代記』ではグラミー賞ノミネイト、その年には日本でマヨネーズのＣＭにその音楽が採用され、さらに2011年には日本公演も成功させました。マクラフリンやジェリー・ダグラスをゲストに迎えた『ビヨンド・ザ・ラーガスフィア』、ラーガに取り組み原点回帰を試みた『フロム・ダスク・ティル・ドーン』と、近年増々意欲的な作品を作り上げています。
　ハワイ・サモア島出身のタウ・モエは1920年代にロイヤル・ハワイアン・ホテルの専属ハワイアン・スティール・ギター奏者として活動を始め、後にタウ・モエ・ファミリーのリーダーとしてコロンビアやラウンダーに録音を残してきました。1989年にはデバシシュ・バタチャルヤとも共演したボブ・ブロズマンとの共演作もリリースしています。タウ・モエ・ファミリーは世界各地で公演を行い、ハワイ音楽の魅力を世界中に伝える役割を果たしましたが、その中でインドのカルカッタに長く滞在した期間があり、現地の音楽家達と交流を重ねていました。
　デバシシュが最初に手にした楽器が３才の時のハワイアン・スティール・ギターで、その後ついたギターの先生がタウ・モエから手解きを受けていたそうで、つまりデバシシュはタウの孫弟子にあたります。2004年に行ったハワイ公演の際にデバシシュはタウの元を訪ね、95歳の大師匠に会うことが出来ました。そしてその会見を待っていたかのように、同年にタウは亡くなっています。
　そしてデバシシュがハワイ音楽に初めて取り組んだのが本作。ハワイやタウ・モエをイメージした自作も収録していますが、「アロハ・オエ」や「ハワイアン・ウォー・チャント」「ウア・リケ・ア・リケ」といった有名なハワイの曲にも取り組んでいます。ハワイ音楽とインド音楽の融合というのは少し不思議な印象を受けるかもしれませんが、ハワイアン・ギターのルーツはインドの古楽器ゴッドヴァーディアムだったという説もあり、その歴史には浅からぬ関係性があります。
　名手が挑んだ新境地。インド音楽ファンもハワイ音楽ファンも、是非ご期待ください。

（メーカー・インフォメーションより）