Tea For Two

よく“転がるピアニスト”だ。ウイントン・マルサリスが音楽監督を務める「Lincoln Center Jazz Orchsetra」のピアニストとして演奏を展開し、注目を浴びつつある若手、ミルウォーキー出身で録音時には22歳だろうか。一聴して判るように「ウイントン･ケリー直系」といっていい、“ころころ転がる”フレーズが横溢するケリーファン喝采のピアニストである。もちろん、現代のジャズシーンで活躍するだけにそうした研鑽の結果をこれから自己の個性の熟成へ向けていくに違いないが、とにかくスイングさせてくれるし、ファンキー・フィーリングが持ち味の演奏には、聴くものをひきつけるものを持っている。
2005年夏8月におこなわれた本録音では、エリック・リードのグループで活躍するデヴィッド・ウォン、さらに、そのウォンとのコンビでの活躍に機会も多いピート・ヴァン・ノストランドは、一番注目なのはアーロン・パークスのトリオへの参加だろう。アンダ−グレイテッドながら熱心なマンハッタンジャズ･フリークの間で密かな人気を呼ぶパークスのトリオへの参加はノストランドの実力の証明だろう。ここでもリズムに応じた当意即妙な演奏を聴かせてくれる。
多くのジャズピアニストが（1000人はいるといわれる）ひしめき合うマンハッタン。ビル・シャーラップに続いて、「ヴィーナス・レコード」からの正統派ピアノが登場した。

Dan Nimmer(p) David Wong(b) Pete Van Nostrand(ds) : Recorded At The Studio,NYC.,On August 22,2005