クライスラー・ファン大注目! ベル・テレフォン・アワー第2集も初出音源収録
1940年から1958年まで放送されたアメリカの人気ラジオ番組「ベル・テレフォン・アワー」。クラシック、ジャズ、ポップスのスターが出演し、聴取者は8百万人から9百万人に達したといいます。クライスラーも1944年から1950年にかけて出演しましたが、その演奏はごく一部を除いて録音として世に出ることはありませんでした。「Biddulph」は「個人所蔵の、望みうる最上のコンディションの素材」をもとに「ベル・テレフォン・アワー」でのクライスラーの演奏をCD3枚に復刻予定です。
クライスラーは1941年にニューヨークで交通事故に遭い、一時はステージ復帰も危ぶまれましたが、1943年にカムバック、「奇跡の復活」と呼ばれました。「ベル・テレフォン・アワー」の録音集は、その「奇跡の復活」直後から1950年の引退までのクライスラーの姿を伝える貴重なものです。
第2弾となる当CD、レーベルの資料によればトラック1,6,8,9はクライスラーによる同曲初録音とのこと。コレッリの『ラ・フォリア』は荘重な出だしがバロック舞曲というより葬送行進曲のよう。ヴァイオリン・パートの音も今日聴くものとは随所で大きな違いがあり、堂々たるカデンツァまで用意されてロマン派ヴィルトゥオーゾ・ピースに変貌しています。これはもう編曲というよりはクライスラーによる再創造と呼ぶべきでしょう。ラフマニノフの2曲はラフマニノフが亡くなった2年後の演奏で、親交があったクライスラーとしては特別な思いがあったのではないでしょうか。リムスキー=コルサコフの『ロシアの主題による幻想曲』も含めて、これら4曲にはクライスラー編曲の楽譜を使った他のヴァイオリニストたちによる録音がありますが、クライスラー自身の解釈を伝える録音の持つ意義は計り知れません。
最後に置かれたショーソンの『詩曲』はクライスラー72歳の時の演奏。独自のアゴーギクが彼の到達した解釈を伝えます(この曲のみ1994年に「Biddulph」から復刻されていました)。(輸入元情報)
【収録情報】
1. コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ第12番ニ短調『ラ・フォリア』
2. ドヴォルザーク:我が母の教え給いし歌 Op.55-4
3. ドヴォルザーク:ユモレスク Op.101-7
4. チャイコフスキー:ユモレスク Op.10-2
5. チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ〜弦楽四重奏曲第1番ニ長調 Op.11より
6. リムスキー=コルサコフ:ロシアの主題による幻想曲 Op.33
7. リムスキー=コルサコフ:太陽への讃歌〜歌劇『金鶏』より
8. 祈り〜ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18:第2楽章による
9. ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 Op.23-5
10. マスネ:タイスの瞑想曲〜歌劇『タイス』より
11. ネヴィン:ロザリオの祈り
12. アルベニス:タンゴ Op.165-2
13. ファリャ:ホタ〜7つのスペイン民謡より
14. ラヴェル:ハバネラ形式の小品
15. ショーソン:詩曲
編曲:
フリッツ・クライスラー(1-4,6-9,11,12)
パウル・コハンスキー(13)、ジョルジュ・カトリーヌ(14)
フリッツ・クライスラー(ヴァイオリン)
ベル・テレフォン・アワー・オーケストラ
ドナルド・ヴォーヒーズ(指揮)
録音時期:
1944年7月17日(12)、1945年2月19日(3,10)、1945年8月13日(6,8,9)、1945年12月31日(13,14)
1946年10月7日(1,2)、1946年12月16日(11)、1947年4月14日(4,5)、1948年1月19日(7,15)
録音方式:モノラル(ライヴ)
復刻プロデューサー:Eric Wen
マスタリング:Dennis Patterson