アウアーのレガシー/エフレム・ジンバリスト
歴史的な弦楽器奏者の録音復刻に特化した「Biddulph」レーベルが、あらたなシリーズをスタート。名教師として知られるアウアーの教え子たちの録音の復刻です。
レオポルト・アウアー[1845-1930]はハンガリーに生まれ、ヨーゼフ・ヨアヒムらに師事。時代を代表する名手のひとりとして名声を誇りました。後にサンクト・ペテルブルク音楽院とカーティス音楽院で教え、特にサンクト・ペテルブルク時代の門下生にハイフェッツ、ミルシテイン、エルマンらの名手を輩出して、教師としても圧倒的な名声を築きました。アウアーは門下生らを一つの型にはめることをしなかったので、ひとくちにアウアー門下と言っても演奏スタイルは多彩。このシリーズによって、その広がりがあらためて実感されることでしょう。
シリーズの最初に選ばれたのはエフレム・ジンバリスト[1889-1985]。12歳でサンクト・ペテルブルク音楽院に入学してアウアーに学び、卒業の際は音楽院長のグラズノフが「比較を絶した才能」と称えたそうです。アウアーはジンバリストの知性を特に評価していたそうですが、実際にその演奏は、情熱や感興が高まる瞬間でも曲のフォルムと品格を保っています。ボウイングのテクニックも見事で、レガートの息の長さ、スムーズさはため息もの。小品12曲とソナタ2曲を収めたこのアルバムは、彼の魅力を伝えてくれます。1922年以降、何度か来日し、カーティスでは江藤俊哉を熱心に指導したジンバリストだけに、日本にゆかりのある曲が2曲収録されているのは嬉しいところです。(輸入元情報)
【収録情報】
1. キュイ:万華鏡 Op.50〜第9番『オリエンタル』
2. アウリン:4つの水彩画〜第2番『フモレスク』
3. ジンバリスト:ヘブライの歌と踊り
4. サン=サーンス:白鳥
5. ショパン:子犬のワルツ 変ニ長調 Op.61-1
6. ジンバリスト:ポーランド舞曲
7. グリンカ:ひばり
8. サン=サーンス:『ノアの洪水』 Op.45〜前奏曲
9. グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』〜ペルシャの歌
10. ショパン:ワルツ 変ト長調 Op.70-1
11. 日本古謡/山田耕筰編:来るか来るか
12. ジンバリスト:日本の旋律によるインプロヴィゼーション
13. ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 Op.108
14. イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調『ヨーゼフ・シゲティに捧げる』
エフレム・ジンバリスト(ヴァイオリン)
サミュエル・ショツィノフ(ピアノ:1-5)
ビクター・オーケストラ(6)
フランシス・ムーア(ピアノ:7,8)
エマニュエル・ベイ(ピアノ:9-12)
ハリー・カウフマン(ピアノ:13)
録音/原盤:
1911年11月22日 Victor 64261(B 11295):1
1911年11月22日 Victor 64241(B 11297):2
1912年2月24日 Victor 64455(B 11609):3
1913年3月8日 Victor 64562(C 12974):4
1913年3月8日 Victor 64562(C 12974):5
1916年2月16日 Victor 64562(B 17172):6
1918年9月11日 Victor 74582(C 22235):7
1918年9月11日 Victor 64827(B 22256):8
1928年2月2日 Victor 1154(BVE 34445):9
1926年2月2日 Victor 1154(BVE 34446):10
1929年12月12日 Columbia 2110-D(W 149717):11
1929年12月12日 Columbia 2110-D(W 149718):12
1930年5月19日 Columbia 67786/88-D [set 140](W 98693/98):13
1939年10月27日 RCA-Victor 16194/95 [set M-669](CS 042851/54):14
復刻プロデューサー:Eric Wen
復刻エンジニア:Bryan Crimp(1-10)、David Hermann(11-14)
マスタリング:Dennis Patterson