(This HMV Review is for new items and is only for reference. Novelty will NOT be available for used items despite mentioned bellow.)
フェノメナル・ヴェンゲーロフ!
EMIの名盤3枚をお買得価格でボックス化!
1974年にロシアに生まれたマキシム・ヴェンゲーロフは、早くから才能を発揮、名教師ザハール・ブロンの薫陶を受けたのちに世界的な演奏活動を展開、1727年製の愛器ストラディヴァリウス「クロイツェル」を駆使して数々のコンサートやレコーディングで高い評価を獲得していましたが、2007年に肩の故障に見舞われ、現在は指揮者・指導者として活躍しています。
今回、EMIから登場するセットは、2001年〜2005年にかけてレコーディングされたもので、ヴェンゲーロフの音楽が奥行きを増し、その魅力にいっそう磨きがかかっていた時期のものにあたります。
Disc1のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はヴェンゲーロフ初の録音となったもので、音楽の師とも父とも慕っているというロストロポーヴィチ[1927-2007]とともに作品を研究するうち、期が熟したと見たロストロポーヴィチの強い要請で2005年にレコーディングが実現したもの。第1楽章と第3楽章のカデンツァを自ら作曲するなど意気込みも充分、27分20秒をかけてじっくりと練り上げた第1楽章(長大なことで有名なムター/カラヤン盤が26分31秒)でも、線の太い音色と息の長い張り詰めた表現力の持ち主ヴェンゲーロフは弛緩とは無縁で、少しの隙もみせていないあたりはさすが。同時録音された「ロマンス」も詩情豊かな演奏です。
余白には、イアン・ブラウンのピアノ伴奏で2004年にレコーディングされたクライスラーの「愛の悲しみ」と「愛の喜び」を収録しています。
Disc2のラロ:スペイン交響曲とサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、およびラヴェルのツィガーヌの3曲は、2003年にレコーディングされたもので、ヴェンゲーロフを代表する名演として有名な存在。強烈なヴィルトゥオジティを放射するヴァイオリンと、それを絶妙にサポートするパッパーノ指揮するフィルハーモニア管弦楽団の迫力満点の演奏の相性は抜群。ヴァイオリン協奏曲鑑賞の醍醐味のひとつでもある掛け合いの面白さも満喫させてくれます。
余白には、イアン・ブラウンのピアノ伴奏で2004年にレコーディングされたヴィエニャフスキの「スケルツォ・タランテラ」を収録しています。
Disc3は、ヴェンゲーロフが、ユニークな弦楽アンサンブル「ヴィルトゥオージ」と共演した小品アルバムで、国内盤発売時のタイトルは「ヴェンゲーロフ&スーパーストリングスの仲間たち」。
ロシア出身イスラエル在住の10人のヴァイオリニストで構成されるこのアンサンブルは、ヴァイオリン合奏の美しく輝くサウンドをたっぷり楽しませてくれるもので、ゆったりとロマンティックな陶酔が魅力的なラフマニノフの「ヴォカリーズ」から、きわめてアグレッシヴでノリの良いモンティの「チャルダーシュ」に至るまで、幅広い表現力を洗練されたスタイルによって見事に示してくれています。ピアノ伴奏は同じくロシア出身イスラエル在住のヴァグ・パピアンが担当。2001年、ウィーンのムジークフェラインにおけるライヴ・レコーディングで、ヴェンゲーロフ絶頂期の実演でのポテンシャルを確認できる意味でも興味深いアルバムといえます。(HMV)
【収録情報】
Disc1
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
・ベートーヴェン:ロマンス第1番ト長調作品40
・ベートーヴェン:ロマンス第2番ヘ長調作品50
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
ロンドン交響楽団
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)
・クライスラー:『愛の悲しみ』
・クライスラー:『愛の喜び』
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
イアン・ブラウン(ピアノ)
Disc2
・ラロ:『スペイン交響曲』ニ短調作品21
・サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調作品61
・ラヴェル:『ツィガーヌ』
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
フィルハーモニア管弦楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
・ヴィエニャフスキ:『スケルツォ・タランテラ』作品16
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
イアン・ブラウン(ピアノ)
Disc3
・ラフマニノフ:『ヴォカリーズ』作品34の14
・ポンセ:『エストレリータ』
・ブラームス:ハンガリー舞曲第7番イ長調
・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調
・ブラームス:ハンガリー舞曲第5番ト短調
・ノヴァチェク:『無窮動』作品5の4
・ドヴォルザーク:『ユーモレスク』変ロ長調作品101の7
・チャイコフスキー:『なつかしい土地の思い出』作品42(3曲)
・シューベルト:『アヴェ・マリア』D.839
・バッジーニ:『妖精の踊り』
・ハチャトゥリアン:『剣の舞』
・マスネ:『タイスの瞑想曲』
・モンティ:『チャルダーシュ』
マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)
ヴァグ・パピアン(ピアノ)
ヴィルトゥオージ
アンナ・ダシェフスキー(ヴァイオリン)
リタ・ボブロヴィチ(ヴァイオリン)
エヴァ・イフラモフ(ヴァイオリン)
ジナイダ・ロディジン(ヴァイオリン)
ルチア・ノヴォヴェスキー(ヴァイオリン)
アリーネ・ヤノヴィツキー(ヴァイオリン)
エフゲニー・チェスキス(ヴァイオリン)
イリア・チチュコヴィチ(ヴァイオリン)
エフゲニー・ヴォスコボイニコフ(ヴァイオリン)
アレクサンドル・グルヴィチ(ヴァイオリン)
ミハイル・パルコモフスキー(指揮)