Flowers of the Field -Vaughan-Williams, Butterworth, Finzi, Gurney : Wetton / London Mozart Players, City of London Choir

野に咲く花〜フィンジ：レクィエム・ダ・カメラ

これらの作品には、全て第一次世界大戦における大虐殺への悲しみが根底に流れています。４人の作曲家たちはそれぞれ、バターワース[1885-1916]のようにその戦いで命を落とすか、多大なる犠牲を払いながら後々の生涯を生きていくことになります。
　『シュロップシャーの若者』はバターワースの同名の歌曲集のエピローグとして構想された、人生のはなかさをそのまま閉じ込めたような美しい作品です。歌曲集の中の「最も美しい樹」のメロディが使われた郷愁溢れるメロディは涙を誘わずには入られません。
　フィンジ[1901-1956]はこの戦いで彼の最愛の教師アーネスト・ファーラーを失いました。無論彼はそれ以降も波乱万丈の生涯を送るのですが、当時彼は師だけでなく、最愛の家族も失うなど、人生観に大きな影響があったことは間違いありません。この室内レクィエムは恐ろしいまでの静けさに満ちています。未完成で終わった作品ですが、一度はP.トーマスの加筆版が演奏され、高く評価されました。ここではクリスチャン・アレクサンダーによる新版での演奏です。
　ガーニー[1890-1937]は戦場で吸い込んだ毒ガスにより健康を失い、その後半生を病院で送りました。この『トランペット』は人類の愚かさを告発する作品です。
　そしてヴォーン・ウィリアムズ[1872-1958]の『悲歌』は、彼の失われた友人のために書かれた作品であり、普段はそういう音楽を書かなかった彼が、晩年になって至った境地を表しているものです。合唱はほとんど言葉を発することなく、物語は語り手によって紡がれていきます。（NAXOS）

【収録情報】
1.　バターワース：管弦楽のための狂詩曲『シュロップシャーの若者』
2.　フィンジ：レクィエム・ダ・カメラ（C.アレクサンダーによる補筆完成版）
　前奏曲
　なんと静かな今宵のトウモロコシ畑
　男がひとり土くれをならし
　残されしもの

3.　ガーニー：トランペット（P.ランカスターによる管弦楽編）
4.　ヴォーン・ウィリアムズ：オックスフォードの悲歌

　ロデリック・ウィリアムズ（バリトン：2)
　ジェレミー・アイアンズ（語り：4）
　シティ・オブ・ロンドン・コーラス（2,4）
　ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
　ヒラリー・ディヴァン・ウェットン（指揮）

　録音時期：2014年7月11,12日
　録音場所：ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）
　世界初録音（2,3）