“ブラームスを歌わせる”と称されたドイツの名指揮者によるコマンド録音を集大成
CD17枚組限定ボックス・セット
第二次世界大戦後アメリカで活動したユダヤ系ドイツ人指揮者、ウィリアム・スタインバーグ[1899-1978]がコマンド・クラシックスに行った録音が初めてまとめて発売されます。CD17枚組ボックス・セット。限定盤。
スタインバーグは出生地のケルンでオットー・クレンペラーのアシスタントになり、その後クレンペラーが去ってから首席指揮者となりました。1936年にドイツを離れ、ブロニスワフ・フーベルマンらと共にパレスチナ交響楽団(後のイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団)を結成し、指揮者を務めました。スタインバーグはそこでアルトゥーロ・トスカニーニに見出され、アメリカでピッツバーグ交響楽団と出会い、圧倒的なキャリアをスタートさせました。そしてこの楽団をその時代の最も興味深い楽団のひとつにしました。
セットにはベートーヴェンとブラームスの交響曲ツィクルスのほか、シューベルト、ワーグナー、ブルックナー、チャイコフスキーなどの作品がピッツバーグ交響楽団との演奏で収録されています。録音はすべてアメリカ、ペンシルバニア州ピッツバーグにある有名なソルジャーズ&セイラーズ・メモリアル・ホールで行われました。オリジナル・マスターテープからリマスタリングされ、11枚のアルバムが初CD化となります。
48ページのブックレットにはRichard Evidonによる新規エッセーを掲載(欧文)。オリジナル・ジャケット仕様。
「何よりもスタインバーグは彼のブラームスを歌わせる」〜ニューヨーク・タイムズ紙
※録音全集と謳っている商品の中にも、稀に音源が漏れているものもございますこと、予めご了承ください。(輸入元情報)
【スタインバーグ】
50年代キャピトルでの一連の録音や、コマンド・レーベルのブルックナー7番、DGのホルスト『惑星』、ケルン放送響との放送音源発掘などで知られる名指揮者、ウィリアム・スタインバーグは、1899年、ケルンの出身で、幼少から楽才を発揮、ピアノとヴァイオリン、作曲を学び、13歳のときに、ローマ詩人オヴィディウスの『変身譚』に基づく合唱と管弦楽のための作品を書き上げて指揮、初演するという天才で、ドイツでの名前はハンス・ヴィルヘルム・シュタインベルクでした。
その後、ケルン音楽院でピアノをクララ・シューマンの弟子に、指揮をアーベントロートに師事したスタインバーグは優秀な成績で卒業、ケルン歌劇場のオーケストラに第2ヴァイオリン奏者として入団するのですが、ここで当時の首席指揮者、クレンペラーにボウイングの面で怒りを買い、解任されることになってしまいます。しかし、クレンペラーは解任したスタインバーグを今度は自分のアシスタントとして雇い、3年後の1924年には自身の代役としてアレヴィの『ジュイーヴ』で指揮者デビューを飾らせることとなります。
その翌年、かつてクレンペラーがマーラーの推薦で指揮者を務めたプラハのドイツ歌劇場の音楽監督となり、1929年にはフランクフルト歌劇場の音楽監督に就任、シェーンベルクの『今日から明日まで』の初演などもおこなっています。しかし1933年には、ナチによってポストを追われ、その後、準備期間を経た1936年、フーベルマンと共にパレスチナ交響楽団設立という大任を果たしています。
設立後ほどなくして、パレスチナ交響楽団を訪れたトスカーニーニは、スタインバーグの指揮を大いに気に入り、自身のアシスタントとしてアメリカに招き、1938年から1940年までのあいだ、NBC交響楽団を数多く指揮させることになります。以後、ニューヨーク・フィルやサンフランシスコ歌劇場での指揮を経て、1945年、バッファロー・フィルの音楽監督に就任、1952年には、ピッツバーグ交響楽団の音楽監督となり、1976年までの四半世紀に渡って良好な関係を築きあげ、途中、1958年から60年にかけてロンドン・フィル、1969年から72年にかけてはボストン交響楽団の首席指揮者も兼任するなどして、退任から2年後の1978年、ニューヨークで生涯を終えています。(HMV)
【収録情報】
Disc1
ベートーヴェン:
1. 交響曲第1番ハ長調 Op.21
2. 交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
録音時期:1964年4月(1)、1963年4月、5月(2)
Disc2
ベートーヴェン:
1. 交響曲第2番ニ長調 Op.36
2. 交響曲第4番変ロ長調 Op.60
3. 『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
録音時期:1964年4月(1)、1962年4月、5月(2,3)
Disc3
ベートーヴェン:
1. 交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
2. 交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
録音時期:1965年6月
Disc4
ベートーヴェン:
1. 交響曲第7番イ長調 Op.92
2. 交響曲第8番ヘ長調 Op.93
録音時期:1962年4月、5月(1)、1966年4月(2)
Disc5
● ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
エラ・リー(ソプラノ)
ジョアンナ・サイモン(メゾ・ソプラノ)
リチャード・ニーズ(テノール)
トーマス・ポール(バス)
ピッツバーグ・メンデルスゾーン合唱団
録音時期:1966年4月
Disc6
● ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
録音時期:1961年11月
Disc7
ブラームス:
1. 交響曲第2番ニ長調 Op.73
2. 交響曲第3番ヘ長調 Op.90
録音時期:1961年5月(1)、1962年4月、5月(2)
Disc8
ブラームス:
1. 交響曲第4番ホ短調 Op.98
2. 悲劇的序曲 ニ短調 Op.81
録音時期:1965年6月(1)、1962年4月、5月(2)
Disc9
ブルックナー:
1. 交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)
2. 序曲ト短調
ワーグナー:
3. 『ファウスト』序曲
録音時期:1968年4月(1,2)、1963年5月(3)
Disc10
コープランド:
1. バレエ組曲『ビリー・ザ・キッド』
2. バレエ組曲『アパラチアの春』
ガーシュウィン:
3. パリのアメリカ人
録音時期:1967年5月、6月
Disc11
1. ガーシュウィン:交響的絵画『ポーギーとベス』(R.R.ベネット編)
2. フレデリック・ロウ:交響的絵画『マイ・フェア・レディ』(R.R.ベネット編)
3. リチャード・ロジャース:交響的絵画『サウンド・オブ・ミュージック』(R.R.ベネット編)
録音時期:1967年5月、6月(1)、1968年4月(2,3)
Disc12
● ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op.27
録音時期:1961年5月
Disc13
シューベルト:
1. 交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』
2. 交響曲第3番ニ長調 D.200
録音時期:1962年4月、5月
Disc14
1. ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1947年版)
2. ショスタコーヴィチ:交響曲第1番ヘ短調 Op.10
録音時期:1966年4月(1)、1968年4月(2)/
Disc15
チャイコフスキー:
1. 交響曲第4番ヘ短調 Op.36
2. バレエ組曲『くるみ割り人形』 Op.71a
録音時期:1963年4月、5月(1)、1964年4月(2)
Disc16
1. ヴェルディ:弦楽四重奏曲ホ短調(スタインバーグによる管弦楽編)
2. ベルリオーズ:ハンガリー行進曲(ファウストの劫罰 Op.24より)
3. ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーソ 変ニ長調 Op.66
4. ビゼー:『子供の遊び』(小組曲)より第4曲:二重奏(小さな旦那様、小さな奥様)
5. ビゼー:『子供の遊び』(小組曲)より第5曲:ギャロップ(舞踏会)
6. サン=サーンス:フランス軍隊行進曲(アルジェリア組曲 Op.60より第4曲)
7. ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
8. J.シュトラウス2世:常動曲 Op.257
9. J.シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ Op.214
録音時期:1964年4月(1)、1967年5月(5-9)
Disc17
ワーグナー:
1. 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への前奏曲
2. 『ローエングリン』より第3幕への前奏曲
3. 『さまよえるオランダ人』序曲
4. 『リエンツィ』序曲
5. 『ワルキューレ』より『ワルキューレの騎行』
6. 『ワルキューレ』より『魔の炎の音楽』
7. 『ラインの黄金』より『ヴァルハラ城への神々の入城』
8. 『神々の黄昏』より『夜明けとジークフリートのラインへの旅』
9. 『神々の黄昏』より『ジークフリートの死と葬送行進曲』
録音時期:1963年5月(1-4)、1961年11月(5-9)
ピッツバーグ交響楽団
ウィリアム・スタインバーグ(指揮)
録音場所:ピッツバーグ、ソルジャーズ&セイラーズ・メモリアル・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)