ベートーヴェンの頃まで続いた17世紀以来の伝統を、バロック金管の響きで実感
オペラや器楽曲など多くの音楽は、人々の好みに合わせて流行が移り変わり、バロックから古典派へ、ロマン派へと時代ごとに様相が変わってきました。しかし教会音楽には意外なまでに古い伝統が残り続け、19世紀にあってなおバロック初期の音楽伝統が息づいていたようです。その確かな礎がどのように築かれ継承されていったのか、ドイツ語圏に焦点を絞り、17世紀前後のさまざまな作曲家たちの作例を中心に検証するプログラムを提案するのは、古楽先進国ベルギーに集う名手集団インアルト。あえてプログラムの冒頭にベートーヴェンのトロンボーン四重奏のためのエクアーレを置き、これが教会旋法による伝統的な祈りの詩句の朗誦ときわめて親和性の高い旋律であったことを、楽聖に関する証言者としても知られるザイフリートの編曲を交え、17世紀音楽との関連で鮮やかに示します。
インアルトが得意としてきたバロック金管合奏の古雅な響きは、各パートの動きも明瞭な古楽歌唱によって説得力豊かに響く詩句をよりニュアンス豊かに聴かせ、ドイツ三大Sやブクステフーデのような比較的知られた作曲家の作品に限らず、全ての収録作品の魅力を最大限に引き出して聴きどころが尽きません。バッハのBWV.118ではリトゥース(高音金管楽器)のパートに、スライドを付けて半音階進行を可能にしたホルン「コルノ・ダ・ティラルシ」を使用(ソロ・アンサンブルとも名録音の多いアンネケ・スコットらの演奏)。バッハの時代を経てベートーヴェンの頃まで脈々と受け継がれてきたドイツ語圏の伝統の礎を、実例を通じて深く体感できる「RICERCAR」ならではの好企画です。(輸入元情報)
【収録情報】
1. ベートーヴェン[1770-1827]:エクアーレ第1番 WoO30-1/イグナーツ・フォン・ザイフリート[1776-1841]:私を憐れんでください〜ATTB、4トロンボーン
2. ベートーヴェン:エクアーレ第3番 WoO30-3/ザイフリート:私をもっと洗い清めてください〜ATTB、4トロンボーン
3. ハインリヒ・シュッツ[1585-1672]:おお、わが魂よ、なぜ打ちひしがれているのか SWV419〜SSATTB
4. ヨハン・ゲオルク・アーレ[1651-1706]:歓喜の歌〜SS、2ツィンク、3トロンボーン、テオルボ、オルガン
5. シュッツ:わが子アブサロム SWV269〜B、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
6. ザムエル・シャイト[1587-1654]:悲しみのパドゥアーナ SSWV42〜ヴァイオリン、ヴィオール、ツィンク、3トロンボーン、テオルボ、オルガン
7. ディートリヒ・ブクステフーデ[1637-1707]]:嘆きの歌 BuxWV76-2〜S、2ヴィオール、オルガン
8. マルティン・マイヤー[c.1642-1709/12]:ここに一日が終わり〜SA、8トロンボーン、テオルボ、オルガン
9. オルランドゥス・ラッスス[c.1530/32-1594]:輝く曙の光が〜SATTB、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
10. ベートーヴェン/ザイフリート:生きて憩いを得る者よ(原曲:エクアーレ第2番 WoO30-2)〜ATTB
11. ヨハン・フィリップ・クリーガー[1649-1725]:わたしはシャロンの薔薇〜SS、ヴァイオリン、テオルボ、オルガン
12. クリストフ・シュトラウス[c.1575/80-1631]:今日この日に〜ATT、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
13. J.S.バッハ[1685-1750]:おおイエス・キリスト、わが命の光 BWV.118〜SSATB、ツィンク、3トロンボーン、2コルノ・ダ・ティラルシ、オルガン
14. ヨハン・ヘルマン・シャイン[1586-1630]:おおイエス様、わたしのイエス様〜SS、トロンボーン、オルガン
15. ディートリヒ・ベッカー[1623-1679]:ヨハン・ヘルム氏の葬送と埋葬のための音楽〜SATB、ヴァイオリン、ヴィオラ、2バス・ヴァイオリン、ツィンク、3トロンボーン、テオルボ、オルガン
16. J.S.バッハ:われ心よりこがれ望む BWV.727〜ツィンク(ミュート・コルネット)、オルガン
17. シュッツ:汝の若き時よりの妻に喜びを抱け SWV453〜SSATTB、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
声楽:S(ソプラノ)、A(アルト=カウンターテナー)、T(テノール)、B(バス)
インアルト(古楽器&声楽アンサンブル)
ランベール・コルソン(ツィンク=木管コルネット、指揮)
録音時期:2021年9月
録音場所:ベルギー中南部ディナン県、ジェディンヌ聖母教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)