Red Naked

東京都内を拠点として、ライブ／サイファー／ MC バトルへの参戦などを通して、徐々にそのスキルと知名度を勝ち取ってきた COMA-CHI 。 06 年にダメレコからリリースされた 1st アルバム『 DAY BEFORE BLUE 』は、いきなりのクオリティーの高さ、スキルが話題を呼び、リリースから 3 年近く経とうとしている今でも衰えることなく好セールスを記録している。

　そんな COMA-CHI が、自身主催のレーベル〈 24 区〉からの ユニット 「 JUNK BEAT TOKYO 」、アンダーグラウンド／メジャー分け隔ての無い様々な客演などを経て、ついにアルバム 『 RED NAKED 』 をリリース。 07 年以降、活動している JAZZY SPORT からのリリースである。参加アーティストの豪華さからも、いかに COMA-CHI という才能が注目を集めている存在かがわかるだろう。 RYMESTER から DJ JIN 、 JAZZY SPORT から MITSU THE BEATS 、 TETTORY BLK 、 Mika Arisaka 、 生音エレクトロダンスサウンド CRO-MAGNON のメンバーや、 COMA-CHI が初期衝動を受けた NITRO MICROPHONE UNDERGROUND の楽曲制作者 DJ WATARAI の名前まである！ メジャーからのリリースにありがちな妥協は一切なく、むしろ、メジャーで出来る事を可能な限りしたたかに活用 した作品である。

　これまで、日本の HIP HOP シーンが待ち望んだホンモノと呼べるフィメールラッパー。とんでもない勢いで登場したこのラッパーが繊細な言葉で描き出す、聴く者の心を打つリアルな日常と心の闇。自らの経験を軸に描かれたポジティブなメッセージ。暗い闇を通ってきたからこそ伝えられる未来への思い、希望、光。「あの頃立てた中指に、人差し指を足して peace out 」と言える、彼女こそが B-GIRL 。

　これまでの自身の活動と同様、フットワークの軽さも魅力的。 HIP HOP という枠を勝手に限定することなく、 90 年代 HIP HOP を基調としながらも、エレクトロ、 4 つ打ちダンスビートまで取り込む始末！ この大胆さは女性ならではなのか？ さらに、それを加速する出来事が！ なんとこのアルバムのラストにボートラとして収録されている「 B-GIRL イズム」は何を隠そう、日本語 HIP HOP 屈指の名曲、 RYMESTER 「 B-BOY イズム」の大胆リメイク・アンサーソング！ 肝すわり過ぎでしょう !!!

　とかく、 COMA-CHI のこれまでの活動のように、本当に面白い HIP HOP はアンダーグラウンドに埋もれがちな時代。こういうクロスオーバーな視点を持った新世代のアーティストこそが時代を変えていく事は間違いない！

　COMA-CHI の『 RED NAKED 』。このアルバムが、アンダーグラウンドシーンを押し上げる一手になるのではないだろうか？