ブクステフーデ:スカンジナビアのカンタータ
ポール・ヒリアー/シアター・オブ・ヴォイセズ
オルガン音楽のイメージの強いブクステフーデですが、声楽作品はしっとり美しいものが多いのが特徴。この「スカンジナビアのカンタータ集」は、声楽作品に加え、有名オルガン曲2曲が収録された魅力的な構成となっています。
【ブクステフーデ】
北ドイツ・オルガン楽派を代表する作曲家として知られるディートリヒ・ブクステフーデ[1637/39-1707]は、デンマークの出身で、母国やスウェーデンを経てドイツで活躍し、リューベックで没しています。
ブクステフーデ研究が進み、作品紹介も多岐にわたるようになった現在では、オルガン曲以外にも数多くの作品が聴かれるようになってきましたが、それでも今回のアルバムのようなスウェーデン語テキストによるカンタータを含むアルバムは貴重です。しかもここでは、声楽曲のほかに、ブクステフーデの代表作としても名高いオルガン曲の傑作「パッサカリア ニ短調」と「前奏曲 ホ短調」も収められ、変化に富むアルバム構成となっているのが嬉しいところ。
【ポール・ヒリアー】
ヒリヤード・アンサンブルの創設者として有名なイギリスのバリトン歌手で指揮者のポール・ヒリアーは、1990年に「シアター・オブ・ヴォイセズ(ヴォイシズ)」を結成、21世紀に入ると北欧との絆が深まり、2001年、エストニア・フィルハーモニー室内合唱団の芸術監督兼首席指揮者に就任、翌2002年には、コペンハーゲン大学音楽学部の名誉教授に任ぜられています。
【高水準な演奏】
そうしてさらに深化したヒリアーの北欧音楽への共感を実際に音にするには、気心知れた仲間の力が必要だったようで、ここでは自身の創設した「シアター・オブ・ヴォイセズ」の中世から現代作品まで多彩な様式の音楽に柔軟に対応する希有な実力をフルに生かし、ピュアで美しい歌唱を聴かせています。このときのメンバーは、ソプラノがエルセ・トープとベンテ・ヴィスト、カウンターテナーがウィリアム・ピュアフォイ、テナーがアダム・リースとヨハン・リンデロート、バスがヤコブ・ブロホ・イェスペルセンの6人。伴奏はデンマークの古楽アンサンブル「TOVバンド」が受け持っています。
また、2曲含まれるオルガン曲は、デンマークの女流奏者でブクステフーデ経験も豊富な名手、ビーネ・ブリンドルフが演奏しています。(HMV)
【収録情報】
ブクステフーデ
・前奏曲 ホ短調 BuxWV142 [08:10]
ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
・舌もて語らしめよ BuxWV91 [07:23]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
・主は我らの神 BuxWV40 [05:39]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
・いざ、主を祝福せよ BuxWV23 [06:40]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
・イエスよ、あなたは私の声をきくだろう BuxWV8 [05:05]
エルセ・トープ(ソプラノ)
TOVバンド
・人々よ来れ、民人よ急げ BuxWV1 [06:07]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
・パッサカリア ニ短調 BuxWV161 [05:57]
ビーネ・ブリンドルフ(オルガン)
・ミサ・アラ・ブレヴィス-キリエ BuxWV114 [03:16]
・ミサ・アラ・ブレヴィス-グロリア BuxWV114 [05:29]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
・信頼する主、統べたまえ BuxWV18 [05:18]
シアター・オブ・ヴォイセズ
TOVバンド
ポール・ヒリアー(指揮)
録音時期:2010年2月11-14日
録音場所:ヘルシンゲル マリア教会
録音方式:デジタル(セッション)
Recorded in the DXD audio format (Digital eXtreme Definition), 352.8 kHz / 24bit, using 5 x DPA 4006TL, 2 x DPA 4015TL and 4 x Neumann U89, DAD AX24 converters/preamps and Pyramix DAW system