SACD

[USED:Cond.A] Bruckner: Sinfonie Nr.4 Es-Dur `romantische`

Bruckner (1824-1896)

User Review :4.0
(6)

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:
帯付,SACD(ハイブリッド),ケースひび
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Item Details

Genre
Catalogue Number
BVCC34146
Label
Format
SACD

Product Description

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日本独自企画

ヴァント&ベルリン・フィル / ブルックナー:交響曲選集[1]
交響曲第4番『ロマンティック』

ヴァントの執念が実った『ロマンティック』
1998年度レコード・アカデミー大賞授賞盤

1995年にカルロス・クライバーの代役としてシューベルト・プログラムでベルリン・フィルに久しぶりに登場して絶賛を受け、その後亡くなるまでほぼ毎シーズン、ヴァントはこのオーケストラの指揮台に登場することになりました。この第4番『ロマンティック』は、ベルリン・フィルとのブルックナー録音としては第5番に次ぐ2曲目となったもの。当初は1997年6月に予定されていましたが、ヴァントの急病のために延期され(演奏会自体はクルト・ザンデルリンクが曲目を変更して代役に)、1998年1月に実現したもの。いわばヴァントの執念が実った壮絶な演奏で、『ロマンティック』というニックネームのつけられたこの交響曲の魅力を味わい尽くすことができます。1998年度レコード・アカデミー大賞を受賞し、ヴァントの日本での人気を決定付けた録音。(BMG JAPAN)

アントン・ブルックナー:
交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』[1878/80年稿](68:40)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ギュンター・ヴァント

録音:1998年1月30,31日、2月1日、ベルリン、フィルハーモニー[ライヴ]
プロデューサー:ゲラルド・ゲッツェ
エンジニアおよびマルチ・チャンネル・リミックス:クリスティアン・フェルトゲン
(ベルリン、シャローラン・スタジオ)

SACD Hybrid
CD 2.0ch./ SACD 2.0ch./ SACD 5.1ch.


ギュンター・ヴァント&ベルリン・フィル
ブルックナー:交響曲シリーズ
日本だけのSACD化!
BMGファンハウス&エソテリック共同企画

ヴァント最大の遺産のSACDハイブリッド化。究極の名演を究極のサウンドで堪能できる贅沢なシリーズです。
 巨匠ギュンター・ヴァント[1914−2002]最晩年の名声を決定付けた、1996年から2001年にかけて録音されたベルリン・フィルとの名盤、ブルックナーの交響曲第4番・第5番・第7番・第8番・第9番をSACDハイブリッド化。これらは長命だったヴァントの長い録音歴の中でも、演奏・録音のクオリティ双方が最も高いもので、発売以来累計15万枚以上のベストセラーとなっているほか、交響曲第4番は1998年度レコード・アカデミー大賞を、第9番は1999年のレコード・アカデミー賞(交響曲部門)を受賞しています。
 SACD化にあたっては、実際にこれらのライヴ収録を担当したベルリンのエンジニアで、その音作りに生前のヴァント自身も厚い信頼を寄せていたクリスティアン・フェルトゲン氏が、オリジナル・マルチ・マスターから自らマルチ・チャンネル用にリミックス[交響曲第5番のみマルチ・チャンネルなし]し、それを東京のソニー・マスタリング・スタジオで綿密にDSDマスタリング。ベルリンのフィルハーモニーで繰り広げられた究極のブルックナー演奏が、これまでにない生々しさと立体感で再現されています。
 2チャンネルおよびCD層部分も、オリジナルの2チャンネル・マスターから新たにマスタリングしており、既発売のCD(16ビット)を上回るクオリティを実現。
 オリジナル・マスターからのミキシングおよびDSD化の全ての工程において、ティアック・エソテリック社開発の超高精度ルビジウム・クロック・ジェネレイター(G-0S)と最高級オーディオ・ケーブルを使用。オリジナル・マスターに刻み込まれた音楽情報の全てをそのまま再現するとともに、コンサートホールの空気感までも醸し出すリアルで繊細なサウンド・クオリティを実現。SACDは定評ある日本のソニー・プレス。

【SACD化にあたってのノート】
クリスティアン・フェルトゲン[エンジニア]
 今回BMGファンハウスよりSACDハイブリッドとして発売される、ギュンター・ヴァント指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナーの交響曲5曲は、もともと16〜24トラックでマルチ収録されたものである。CDで発売するにあたっては、そこから2チャンネルにミックスダウンする必要があったわけだが、それでもマルチ収録した全てのトラックの音を使う必要はなかった。ヴァントは、リハーサルで丹念にオーケストラの各声部のバランスをコントロールし、本番の演奏会では彼の理想とする完璧なバランスを引き出していたからである。つまり、ヴァントのバランス作りを再現するには、メイン・マイク5本、木管用のマイク2本、そしてティンパニ用の近接マイク1本という計8本のマイクの音声を使えば基本的には事足りたわけで、マルチ・トラックによって後で微調整する必要などなかったわけである。ティンパニ用のマイクとて、ピアニッシモのパッセージでロールの粒立ちをよくするために部分的に使用したに過ぎない。弦や金管パート用の近接マイクが収録した音声はマルチ・トラックに録音されたわけであるが、どうしてもバランスの再調整が必要なごく少数の場合を除いては、使われることはなかった。
 これらの録音を行ったベルリンのフィルハーモニーは、音響的に「世界最高のホール」というわけではない。しかし、このホールの音響を熟知すれば、バランスのよい録音は比較的容易にできるようになる。しかしそのためには何らかの形で残響を付加しなければならないのである。聴衆が満杯の状態で、ブルックナーの交響曲のようなダイナミック・レンジの幅広い作品を録音する場合は、特に音量の大きなパッセージの場合に、このホールはややドライになりすぎる傾向があるのだ。それゆえ、ホールの残響を拾ったアンビエント・マイクの音声やデジタル・リヴァーブ(コンピューターで作られる人工的な残響)は適宜使用した。
 SACDの5.1マルチ・チャンネル用ミックスに当たっては、フロント・レフトとライト・チャンネルのバランスは基本的に2チャンネル用のそれを用い、フロント・センター・チャンネルには、それら2つのチャンネルを邪魔しないように、主にオーケストラの中央に位置する木管パートの音声を当てている。リア・チャンネルには、アンビエント・マイクが拾った残響成分をより多くミックスしている。それ以外にもイコライゼーション、ディレイなどを必要に応じてさまざまに使用している。もちろんSACDのマルチ・チャンネルのバランスをどうとるかに定則はないし、むしろ今でもさまざまな試行錯誤が続いているといっても過言ではない。今回スーパーヴァイザーのゲラルド・ゲッツェ氏と私が辿り着いたバランスは、コンサートでホールの1F中央に座ってオーケストラを聴く、というものではない。つまり「リア・チャンネルはほとんど残響成分のみ」という作り方ではないのである。私が目指したのは、オーケストラのメインの音イメージはフロントの3つのチャンネルから聴こえつつも、あらゆる方向からオーケストラの音が聴こえてくる、というバランスである。そのためリア・チャンネルにも直接音をミックスしているが、それは実際にお聴きになるみなさんが、リスニング・ルームの音響や条件に応じて、お好みのバランスに調整いただければ結構である。私は、1999年にバレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレとベートーヴェンの交響曲全曲をベルリンのナレーパ通りにある旧東ドイツの放送スタジオでテルデック・レーベルのためにマルチ収録した時から、このバランスを採用するようになった。
 最後に、一言機材のことについて記しておきたい。今回のミキシングの過程で使用したティアック・エソテリック社の機材は素晴らしいものだった。特にマスタークロック・ジェネレーターには完璧な信頼を置くことができた。使い勝手もよいし、一部の狂いもなく正確に作動する。デザインも非常に美しい。驚嘆すべきマシンである。この機会を与えてくださったティアック・エソテリック社とBMGファンハウスに感謝したい。

【プロフェッサー・ヴァントの耳に忠実に】
ゲラルト・ゲッツェ[スーパーヴァイザー]
 私はハンブルク北ドイツ放送の「首席トーンマイスター」として、プロフェッサー・ギュンター・ヴァントの晩年の約20年間にわたる録音−−演奏会の録音だけでなく、スタジオ・セッションにおいても――のプロデュースをてがけてきた。初めての出会いは、プロフェッサーが1981年9月、北ドイツ放送交響楽団の首席指揮者への就任が決定してからの初めてのハンブルクでの定期演奏会で、モーツァルトのセレナータ・ノットゥルナ、ストラヴィンスキーの「プルチネルラ」組曲、シューベルトの「ザ・グレイト」という3曲を指揮した時で、私は演奏会のライヴ収録を担当したのだった。最初の数年間は何人かのプロデューサーが分担してプロフェッサーの録音を担当したが、彼は私の仕事ぶりをとても気に入ってくださったので、1986年からは私が一手に録音を引き受けることになった。ハンブルク以外の場所、つまり今回SACDハイブリッドとして発売される、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との一連の録音でも、プロデュースを担当することになった。
 プロフェッサー・ヴァントとは、長年に渡って、録音や音の再生技術について、録音すると音色がどう変化するか、また再生音は原音にどこまで忠実なのか、などについて、話し合う機会が多々あった。実際の編集に際して、スタジオで作業に立ち会ってくださることも多かった。意外に思われるかもしれないが、彼は、録音技術に関心を抱き、その進歩を喜んでいた。録音再生技術が進歩することで、自分の解釈をより正確な音響で聴き手に届けることが出来るからである。最晩年の10年ほどは高齢ゆえに編集スタジオに自ら足を踏み入れることはほとんどなくなったのであるが。それゆえ、今回の本格的なSACDハイブリッド化に遡ること数年前に、われわれが試験的に作ってみたベルリン・フィルとのブルックナーの交響曲第8番のマルチ・チャンネルのミキシングを、プロフェッサーが実際にお聴きになることはなかった。
 プロフェッサー・ヴァントは、基本的には、自分が指揮台の上で聴くバランスを好んでいた。それでこそ、自分の作り出すオーケストラのバランスを判断できたからである。また演奏会のライヴ録音の場合(晩年はほとんど全てがそうだった)、聴衆が入ったことでドライになりがちなホールの音響を補うために、録音では残響を加えることを望んでおられた。
 ライヴ録音された演奏の場合、プロフェッサー・ヴァントは基本的に長いテイクを使うことを主張した。ベルリン・フィルや北ドイツ放送響の定期演奏会は同一プログラムで複数回演奏会が組まれていたため、我々はその全ての演奏を収録した。演奏会のあと、彼はその録音テープをスイスの自宅に持ち帰り、まず、録音された全ての演奏を丹念に聴く。そして、どの日の演奏がよいか(あるいはどの日はどの楽章がよいか)判断し、我々はその判断に基づいて、オーケストラにミスがあったり、ノイズがあったりする箇所を、他の日の演奏を使って修正するわけである。この作業に当たっては、プロフェッサー・ヴァントは、私の判断に全幅の信頼を置いていてくれた。
 こうした経験から、私はプロフェッサー・ヴァントが5.1チャンネルというマルチ音響再生技術に接したとしたら、どのようなバランスを聴きたかったか、手に取るように想像することが出来る。マエストロが常に聴きたいと願っていたのは、指揮台の上でオーケストラの音響に全身が包まれているという音のイメージだった。従来の2チャンネル・ステレオ再生ではそれを100%叶えることは出来なかったが、SACDやDVDのマルチ・チャンネルによって、家庭でも簡単にそれを再生することができるようになったのである。彼がこれを喜ばないはずはない。我々が今回のSACD化に当たって常に心がけたのは、「プロフェッサー・ヴァントの耳に忠実に」なのである。

Track List   

  • 01. Sinfonie Nr.4 Es-dur `romantische` (Wab 104) [2. Fassung 1878 / 1880] 1. Bewegt. Nicht Zu Schnell
  • 02. Sinfonie Nr.4 Es-dur `romantische` (Wab 104) [2. Fassung 1878 / 1880] 2. Andante Quasi Allegretto
  • 03. Sinfonie Nr.4 Es-dur `romantische` (Wab 104) [2. Fassung 1878 / 1880] 3. Scherzo: Bewegt; Trio: Nicht
  • 04. Sinfonie Nr.4 Es-dur `romantische` (Wab 104) [2. Fassung 1878 / 1880] 4. Finale: Bewegt. Doch Nicht Z

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晩年のBPOとのブルックナーシリーズで一躍...

投稿日:2014/06/07 (土)

晩年のBPOとのブルックナーシリーズで一躍脚光を浴びたヴァントなのだが、 今改めて聴きなおすと、5番・8番は良い。 しかし4・7・9はどうも腑に落ちない場所が多々ある。 ベルリンフィルの音がどうもすっきりしない。

abbadondon さん | 栃木県 | 不明

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ヴァントは所謂スター的大指揮者が相次いで...

投稿日:2012/10/04 (木)

ヴァントは所謂スター的大指揮者が相次いで亡くなってからややそのポジションを埋め合わせする様に持ち上げられた感のある晩年でありました。風采からそう派手々しい処がないのに相応しく地道にブルックナー交響曲演奏に対しては以前から積み上げて来た実績からも一家言を有するに到った事は明々白々であります。ブルックナー交響曲の中でもその「ロマンチック」というネイミングで難しい音楽から脱却した様なこの曲についてもヴァントは本盤以外にも多くの名盤(後述)を遺しています。さて、本盤は1998年BPOを振ってのヴァント86歳の時のハース版(ほんの一部ノヴァーク版らしいのですが小生などには分りません)を使ったライブ録音という事なのですが、このライブ録音は他でもよくある数日分の演奏会から楽章別に録っているので・・・スタジオ録音ならいざ知らずちょっと正直その時の演奏の勢いというか流れ感の微妙な違いが先入観的に邪魔をしました。演奏タイムとしては@19’09A15’58B11’14C21’50とマァ程々な時間でとりわけBPOの機能的な響きが方向性としてヴァントらしさと完全一致していたかは疑問です。第1楽章は森閑としたただならぬ雰囲気の序奏から後は微妙なテンポの変化はありますが基本的にはゆっくり余裕を見せつつ推移します。私はここでは管楽器のバランスの良さに耳を奪われました。滔々と流れ進みフィナーレのどっしり感もBPOならではの説得性があります。第2楽章はゆったりと優しく進みます・・・決して厳しくはないけれども最後の方の思い入れたっぷりした寂寥感は素敵です。第3楽章にも聞かれたのですが録音ポジションからなのか演奏そのものからなのかはわかりませんが割りと伴奏的な反復パッセージが単調に強調される処・・・勿論他の演奏ではそこまでは聞えない箇所・・・は気にはなりました。最終楽章で冒頭のホルン合奏からその後の弦の旋律は印象的で続いて「持って行き方」の上手さをヴァントは垣間見せ、じわじわコーダに向かって行く・・・もうこうなったらブルックナー独特の世界へ底なしです・・・そして踏みしめてあの第一テーマが徐々に膨らんでいく有様はクラシック音楽の醍醐味でしょう。ヴァントのスケール感あるアプローチが有無を言わせません。BPOならではの洗練さを塗した「ロマンチック」交響曲なのかもしれません。音質も高品質盤のメリットで精緻に隅々にまでクリアさが素晴らしいです。前述のヴァント指揮「ロマンチック」の他の演奏というのは1976年ケルン放送SO(タイム@17’28A15’41B10’36C20’20)、1990年NDRSO(同@18’00A15’19B10’55C21’26)、2001年NDRSO(同@20’26A16’56B11’58C23’41)、同年ミュンヘンPO(同@20’17A16’38B12’00C22’46)等であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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ブルックナーの11ある交響曲の中でも第4...

投稿日:2011/03/27 (日)

ブルックナーの11ある交響曲の中でも第4は、ブルックナーの交響曲の演奏が現在のようにごく普通に行われるようになる以前の時代から一貫して、最も人気があるポピュラリティを獲得した作品と言える。ブルックナーの交響曲全集を録音しなかった指揮者でも、この第4の録音だけを遺している例が多いのは特筆すべき事実であると言えるのではないか(ジュリーニなどを除く)。そして、そのようなブルックナー指揮者とは必ずしも言い難い指揮者による名演が数多く遺されているのも、この第4の特殊性と考えられる。例えば、ベーム&ウィーン・フィル盤(1973年)、ムーティ&ベルリン・フィル盤(1985年)などはその最たる例と言えるところである。近年では、初稿による名演も、インバルを皮切りとして、ケント・ナガノ、シモーネ・ヤングなどによって成し遂げられており、第4の演奏様式も今後大きく変化していく可能性があるのかもしれない。ただ、この第4は、いわゆるブルックナー指揮者と評される指揮者にとっては、なかなかに難物であるようで、ヨッフムなどは、二度にわたる全集を成し遂げているにもかかわらず、いずれの第4の演奏も、他の交響曲と比較すると必ずしも出来がいいとは言い難い。それは、朝比奈やヴァントにも当てはまるところであり、少なくとも1980年代までは、両雄ともに、第4には悪戦苦闘を繰り返していたと言えるだろう。しかしながら、この両雄も1990年代に入ってから、漸く素晴らしい名演を成し遂げるようになった。朝比奈の場合は、大阪フィルとの1993年盤(ポニーキャノン)と2000年盤(エクストン)盤が超名演であり、これにN響との2000年盤(フォンテック)、新日本フィルとの1992年盤(フォンテック)が続くという構図である。これに対して、ヴァントの場合は、本盤におさめられたベルリン・フィル盤(1998年)、ミュンヘン・フィル盤(2001年)、北ドイツ放送響とのラストレコーディング(2001年)の3点が同格の超名演と高く評価したい。本演奏におけるヴァントは、必ずしもインテンポに固執していない。第3楽章などにおけるテンポの変化など、これまでのヴァントには見られなかった表現であるが、それでいてブルックナーの本質を逸脱しないのは、ヴァントが最晩年になって漸く成し得た圧巻の至芸と言えるだろう。また、眼光紙背に徹した厳格なスコアリーディングを行っており、全体の造型はきわめて堅固ではあるが、細部に至るまで表現が緻密でニュアンスが豊かであり、どこをとっても深みのある音色に満たされているのが素晴らしい。金管楽器なども完璧に鳴りきっており、どんなに最強奏してもいささかも無機的には陥っていない。これは、ベルリン・フィルの卓越した技量によるところも大きいが、ヴァントによる圧倒的な統率力にも起因していると考えられる。第2楽章は、聖フローリアンを吹く一陣のそよ風のようにソフトに開始されるが、その筆舌には尽くし難い繊細さは崇高な高みに達している。その後は、ブルックナーならではの情感豊かな音楽が続いていくが、ヴァントはいささかも感傷的には決して陥らず、高踏的な美しさを保っているのが素晴らしい。いずれにしても、本演奏は、ヴァントが80代半ばにして漸く成し遂げることが出来た第4の至高の超名演であり、これぞまさしく大器晩成の最たるものと評価したい。録音も、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音であり、これは、通常CDである前述のミュンヘン・フィル盤やラストレコーディング盤に対して、大きなアドバンテージとなっていることも忘れてはならない。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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