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聖母の贈り物

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784336048165
ISBN 10 : 4336048169
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2007
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「孤独を求めなさい」という聖母の言葉を信じてアイルランド全土を彷徨する男を描く表題作ほか、圧倒的な描写力と抑制された語り口で、運命に抗えない人々の姿を鮮やかに映し出す珠玉の短篇、全12篇収録。

【著者紹介】
ウィリアム・トレヴァー : 1928年アイルランドのコーク州生まれ。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師・彫刻家・コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。65年、ホーソンデン賞を受賞した『同窓』で注目を集め、以後現在まで30冊を超える長篇小説と短篇集を発表し、数多くの賞を受賞している(The Children of Dynmouth(76年)、『フールズ・オブ・フォーチュン』(83年)、『フェリシアの旅』(94年)でホイットブレッド賞を受賞)。短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合わせた短篇全集(92年)はベストセラー。ジョイス、オコナー、ツルゲーネフ、チェーホフに連なる現代最高の短篇作家と称される。現在英国デヴォン州在住

栩木伸明 : 1958年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程単位取得退学。早稲田大学教授。専攻はW.B.イェイツ以降の現代アイルランド文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • buchipanda3

    アイルランド人作家の短編選集。12篇どれも情趣豊かな文章で丹念に人生模様が描かれ、物語を読む面白味を十二分に満喫できた。著者は観察者のごとく人間の内面を細やかに露わにする。それは誰もが抱えそうな利己的な一面で、それだけにその生々しさから読みながら心が掻き乱されてしまう。登場人物らは無垢なる"理想"と抜き差しならない"現実"とのジレンマに陥り悩む。それでも著者は彼ら彼女らが様々なことを背負って生きていく姿を描いた。その飄然としたタフさに人というものが感じられた。これはアイリッシュ・ウイスキーが欲しくなる。

  • kaoru

    名手トレヴァーの短編集。『アイルランド便り』には悲惨なジャガイモ飢饉とそれに眼を向けようとしない屋敷の当主、『マティルダのイングランド』では過去の美しい記憶の幻影に支配される女主人公が描かれるが、いずれも現実から遊離した人間が描かれるのは複雑なアイルランドの歴史あってのことだろう。福祉国家の欠陥を描いた『こわれた家庭』は私が初めて読んだトレヴァー作品。『丘を耕す独り身の男たち』はリアリズムに徹しているもののラストは神話のような様相を帯びるに至る。『雨上がり』は恋を失った女性に訪れる静かな気づきを描く。→

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    『トリッジ』の逆転劇は後味の悪いスッキリ感が味わえます。『ミス・エルヴィラ・トレムレット、享年18歳』では今まで知らなかった事実を知るって本当に残酷です。この小説では真実を告げる役目は亡霊ですが、生者の場合、即座に黙らせたくなったことを思い出しました。『アイルランド便り』の嫌さや『エルサレムにて死す』の幻滅の描写は鮮やか。そして特に素晴らしかったのは『マティルダのイングランド』。ヴァージニア・ウルフの『灯台』に似ていますが、過去に拘泥し過ぎたマティルダの冷酷さの犠牲のなったラルフィーが哀れ過ぎます・・・。

  • mii22.

    トレヴァー珠玉の短篇集。特別でない普通の人々の人生が淡々と、しかし深く心情をえぐりだすような細かで鮮やかな描写で語られる。どれもどちらかといえば苦々しい思い出のものが多いが、どこか郷愁を誘うような心に沁みる物語に惹き付けられる。特に二つの大戦を背景にしたある田園屋敷にまつわる年代記「マティルダのイングランド」が素晴らしかった。

  • シュシュ

    短編集。余韻が残る話が多く、すぐに次の話に移れなかった。読み終わってから心の中に静かに余韻が広がっていくのを待っていたいような気持ちになる。アイルランド便り、マティルダのイングランド、丘を耕す独り身の男たち、聖母の贈り物が特によかった。登場人物は思い通りにいかない部分を持っているのに、完全に不幸には見えない。つつましく生きている人たちへのトレヴァーの優しいまなざしを感じた。そして、読んでいると、自分もまた、つまらないことがあっても腐らないで生きていけるような気がしてくる。読んでよかった。

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