Books

草の花

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101115016
ISBN 10 : 410111501X
Format
Books
Publisher
Release Date
January/1990
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノートに記したまま、純白の雪が地上をおおった冬の日に、自殺行為にも似た手術を受けて、帰らぬ人となった。まだ熟れきらぬ孤独な魂の愛と死を、透明な時間の中に昇華させた、青春の鎮魂歌である。

【著者紹介】
福永武彦 : 1918‐1979。福岡県に生れる。一高在学中から詩を創作する。東大仏文科卒。戦後、詩集『ある青春』、短編集『塔』、評論『ボオドレエルの世界』、10年の歳月を費やして完成した大作『風土』などを発表し注目された。以後、学習院大学で教鞭をとる傍ら、抒情性豊かな詩的世界の中に鋭い文学的主題を見据えた作品を発表した。1961(昭和36)年『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、’72年『死の島』で日本文学大賞を受賞。評論、随筆も世評高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • masa@レビューお休み中

    静謐でいて、鋭利な刃物のような危うさを孕んでいる。美しい文章に惑わされがちだが、単に美しい情景と純愛を説いた物語ではない。だからこそ、そこには真実と呼べるものが転がっているのではないだろうか。恋も愛も欲望も…。不自然までにドラマチックで、どこまでが現実で、どこまでが夢の出来事なのか判別がつかない。それは、もしかすると、この物語だけの話ではないのかもしれない。きっと、今自分に起きていることも、周囲で起きていることも同じなのだ。曖昧として、夢と現実の境目もわからない世界なのかもしれない。

  • とても純粋で繊細で美しい、だけど少年のような未熟さと一途さを感じさせる。そこが綺麗だから哀しい。汐見はまるでガラスのようだし、藤木はりんどうの花のよう。千枝子は可憐な蝶に思えた。これは「愛」だと思い込んだ「恋」なんだと思う。孤独や死、自己に対しても同様の痛みを感じた。それでも久しぶりに文学を読んだという満足感はとてもあった。そしてギリシャ人の信仰について触れた何でもないような会話が、僕にはなぜだかとても心に焼きついた。

  • neimu

    高校3年の誕生日に好きだった男の子にプレゼントしてもらった作品。しかし、純粋な孤独のくだりを読むと、恋愛は限りなくプラトニックがいいのかと思ってしまい、何もなく終わった切ない昔の記念の作品。表紙を見るだけで切なくなる。作家としては福永武彦の息子、池澤夏樹の方が成功しているのかもしれないが、私にとっては永遠の福永武彦がこの作品の中にいる。

  • きりこ

    死生観・宗教観など哲学的なテイストのある作品でした。忍を思慕する気持ちも純粋な魂という理想を求め過ぎてしまう汐見の精神性を忍は重荷に感じてしまったのではないだろうか。また互いに愛しながら完璧な愛の形を求めるがゆえ、千枝子と別れることになる汐見。千枝子が汐見を理解しようとする姿がひたむきで健気だったけれど、汐見のようなタイプと人とは幸せになれないと思う。文章はとても美しいけれど孤独過ぎる生き方は絶望的で受け入れがたい。汐見の人生の悲しさを思う。ただ作中のショパンのエピソードだけは心が温まって好き。続く→

  • ナマアタタカイカタタタキキ

    二つの愛は潔癖故に破れた。それは彼が夢想家だからではなく、その理智的な眼差しが、ぞっとするような深刻な孤独を一度捉えたきり、最後まで離さなかったからだ。それでも彼は自身の孤独を賭け、より愛することを止めない。そして研ぎ澄まされていく純潔な孤独はその愛を、肉体から逃れない限り成就しないほどの域まで昇華させる…これらを儚く美しい若き日の追憶として、その詩情を尊ぶことは容易いとは思う。しかし彼は結局、ただ独りで死んでいったのだ!その孤独に少しでも欠損があれば、免れたかもしれない。私なら、それでも愛するだろうか?

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items