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本陣殺人事件

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041304082
ISBN 10 : 4041304083
Format
Books
Publisher
Release Date
February/1997
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。アメリカから帰国した金田一耕助の、初登場の作品となる表題作ほか、「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」二編を収録。

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 戦後、作者が満を持して発表した「蝶々殺...

投稿日:2009/11/21 (土)

 戦後、作者が満を持して発表した「蝶々殺人事件」と並ぶ本格長編探偵小説の名作。  当時定説となっていた和風建築での密室殺人不可能説を真っ向からひっくり返した。  農村地帯を中心とする古い因習による婚儀等の舞台設定と殺人動機。雪を降らせる事により犯人逃亡の犯跡をかき消す事による密室現場の構築。水車、琴の弦、欄間、日本刀、琴爪等純和風による道具設定。  この一作により第一回探偵作家クラブ賞を受賞。  当時同時に発表した「蝶々殺人事件」と人気を二分し、坂口安吾を筆頭とする純文学系作家・批評家のミステリー愛好家は「蝶々殺人事件」を推し、江戸川乱歩を筆頭とする探偵小説作家・批評家は「本陣殺人事件」を推していたと記憶する。  探偵小説畑の批評家が推挙する探偵作家クラブ賞に「本陣殺人事件」を冠したのも頷ける話。  いずれにしても、このすぐ後に発表する「獄門島」と合わせ、アガサ・クリスティーに匹敵する世界的に優れた本格探偵小説作家であると批評され、それが当時の共通認識であったようである。

白塗りのサル さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 青乃108号

    日曜日なのに夜遅くまで仕事して帰って来た俺はすっかり疲れているにも関わらず、ここ数日夜な夜な読んでるこの本に取り憑かれ、今夜中の2時だがようやく読み終えて、頭が芯から疲労してるにも関わらずこうしてレビューを書いているのはとにもかくにも本作収録の三作品、特に「車井戸はなぜ軋る」の物語の濃密な禍々しさにトラウマ級の衝撃を受け、ああこれはきっと一生忘れられないなどと思いながらすっかり衰えた俺の記憶は全くあてに出来ないからであるのだが、眠いのにこうして書いていたら我ながら訳がわからなくなって兎に角、面白かった。

  • へくとぱすかる

    金田一初登場作品である「本陣」には、探偵小説界をふりかえった記述が多く、名作へのオマージュのようだ。ここ数日読んだ作品はすべて戦後に書かれ、地方の旧家の因習や封建的要素、社会の古い面を告発しているようにも読める。金田一を登場させるための設定がよかった。日記について書かれた内容は、作者が編集長だった出版社での経験を思わせる。「黒猫亭事件」は「本陣」に負けないすごい作品。冒頭の章がまるで読者への挑戦だし、何より金田一が作者に会いに行くというシーンが、虚実のあわいを行くおもしろさ。トリックと謎解きが優秀すぎ。

  • 夜間飛行

    トリックはまともに考えても解けないし、動機は特殊な感情から出たもの。つまり現代から見ると骨董扱いされても仕方ない…はずなのに、なお燦然たる輝きを失っていない。一つには本格ミステリ黎明期の作品であり、あらゆる可能性が詰まっているからだろう。しかしそれだけではない。この作品で重要な意味を持つ「家」中心の価値観は私の親世代にもまだ残っており、それが家の内外から崩れていく感覚は私にも実感できるのだ。旧家の暗がりにロジカルな空間を作りあげたこの作品は、戦後74年を経た今もなお古い日本への挽歌として心に響くのだろう。

  • こーた

    名探偵金田一耕助のデビュー戦。アメリカ帰りの若き青年探偵は、元麻薬常用者の推理小説マニアだ。挑むは欧米の作品を模した密室殺人。琴と日本刀、屏風を使ったトリックは、隙間や陰翳といった日本家屋の特性とよくマッチして、やはりミステリマニアの作者による、真の和製ミステリを創ってやろう、という気概と挑戦に充ちている。山陰の名家、三本指の男など、以降おなじみとなる金田一ワールドも満載。表題作ほか、のちの代表作の原型ともいうべき「車井戸はなぜ軋る」、やはりミステリの王道、顔のない屍体に挑む「黒猫亭事件」の二篇も良い。

  • nobby

    金田一耕助初登場作品にて横溝正史初読み。そのキャラや雰囲気はほぼ映像からのイメージだが、相乗効果あっての不気味さを楽しめる。機械的トリックが特徴な『本陣殺人事件』だが、案外コンパクトな描写に驚く。これは可能かの検証含め実現映像で見たい(笑)それにとどまらず、人物設定や琴へのこだわりなど伏線も細かく堪能できた。残り2編『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』も男女や名家ならではの妬み恨みを、一癖ありながら二転三転させられ面白い。どれも金田一がそれほど主役っぽくないのが意外!

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