ルドルフ・ルッツ/バッハ:カンタータ 第47集
ルドルフ・ルッツとバッハ財団管弦楽団によるカンタータ第47集。
第130番『主なる神よ、われらはみな汝をたたえん(herr gott, dich loben alle wir)』は1724年のミカエル祭のために書かれたカンタータ。ミカエル祭とは、大天使ミカエルと全ての天使を記念する9月29日のことで、ヨハネ黙示録から採られたテキストは、神の軍勢が蛇や竜に例えられた悪魔の軍勢と戦う場面を描いています。前面に押し出されているのは、神への賛美。冒頭の合唱は祝祭的な雰囲気を湛え、第3曲のバスのアリアではトランペットとティンパニが活躍、 英雄的な歌声を彩ります。独奏フルートを伴う第5曲のアリアは軽やかな舞曲のリズムに乗って祈りを歌う美しい曲。最後のコラールでもトランペットとティンパニが彩りを添えています。
第202番『いまぞ去れ、悲しみの影よ(Weichet nur, betrubte Schatten)』は『結婚カンタータ』と呼ばれるもの。成立年は不明で、バッハの知人の結婚式を祝うために作曲されたと考えられています。ソプラノ独唱と、オーボエ、弦楽器と通奏低音という小ぶりな編成で、第1曲こそ不安な雰囲気が漂いますが、その後は神々の力による愛の成就から結婚生活における教訓までが語られた喜ばしい雰囲気のカンタータです。
第77番『汝の主なる神を愛すべし(Du sollt Gott, deinen Herren, lieben)』は、バッハがトーマス・カントルに就任した最初の年である1723年の8月、三位一体節後第13日曜日に初演されたカンター タ。「神への愛、隣人への愛」をテーマとし、ルカ福音書の「善きサマリア人のたとえ」との関連があります。冒頭の合唱はイエスの愛の勧めが合唱のフーガで歌われ、簡潔なバスのレチタティーヴォが続き、2本のオーボエ伴奏によるソプラノのアリアでイエスへの愛が強く歌われます。第4曲のレチタティーヴォのテーマは人類愛。そして自身の愛の不完全さを告白するアルトのアリアが続きます。バッハの自筆譜には最後のコラールに歌詞がありません。ここではバッハ研究者マルティン・ペツォルト[1946-2015]の見解と同じく、ダーヴィト・デニッケが1637年に書いた讃美歌「主よ、あなたの戒めと掟」の第11節の歌詞を充てています。(輸入元情報)
【収録情報】
J.S.バッハ:
1. カンタータ第130番『主なる神よ、われらはみな汝をたたえん』 BWV.130
2. カンタータ第202番『いまぞ去れ、悲しみの影よ』(結婚カンタータ) BWV.202
3. カンタータ第77番『汝の主なる神を愛すべし』 BWV.77
シュテファニー・プフェッファー(ソプラノ:1)
リサ・ヴァイス(アルト:1)
パトリック・グラール(テノール:1)
ドミニク・ヴェルナー(バス:1)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ:2)
ミリアム・フォイアージンガー(ソプラノ:3)
ミヒャエラ・ゼーリンガー(アルト:3)
ラファエル・ヘーン(テノール:3)
ジョナサン・セルズ(バス:3)
バッハ財団合唱団
バッハ財団管弦楽団(古楽器使用)
ルドルフ・ルッツ(指揮、チェンバロ:2,3)
録音時期:2023年10月27日(1)、2017年6月30日(2)、2021年9月24日(3)
録音場所:スイス、Evangelischen Kirche Trogen AR, Einstein-Saal in St.Gallen, Olma-Halle 2.0 in St.Gallen
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)