Apetecible

アライン･ペレスは、スペイン･ジャズ･シーンで活躍するキューバ人ベーシストで、かのチューチョ･ヴァルデスやイサーク・デルガードといったサルサ〜ラテンジャズのフラッグ･アーティストや､晩年のセリア･クルースなどをサポート｡現在拠点とするスペインでは､フラメンコ〜ジャズを中心とした幅広いフィールドで名を連ねるセッション･マンとして知られています｡リーダー作は､2002年に1st、2006年に2nd作を発表｡スペイン･ジャズの好レーベル「AYVA」からリリースされた2ndは､イラケレ､インテクティーヴォといったキューバン･ジャズ界の面々をフィーチュアしたハイブリッド･ラテン･ジャズで特に好評を博しました｡

そんなアラインの進化を収めた注目の3rdアルバムがこちら｡前作とはうって変わり､ゴリゴリのラテン･ジャズからさらに一皮剥け、サルサ、ソン、チャチャチャ、ボレロ等をモチーフに､アーバン･ソースとポップ･フレーズを以ってアップデートさせた､キューバン＆スパニッシュ･タッチのオリジナル･サウンドを展開｡全編に渡り作詞作曲を手掛けたのも然ることながら、自身でクールなボーカルをとってのトラックも含む意欲作。旧知の友で､音楽的にも良き理解者でもあるキューバン･ジャズ･ピアノの実力者オスマニー･パレーデスが核となるアンサンブルは、洗練されたジャズ･マナーとパーカッシヴなステレオ･タイプ､ポップ･メソッド､そしてクラシックの音像までを取り込んだ､アラインが目指すスパニッシュ･グルーヴへの斬新なアプローチを見事に表現｡そんなアラインの類稀な才能を認めるパコ･デ･ルシア(g)､さらにはラテン･ジャズの重鎮ジェリー･ゴンザレス(tp)もゲスト参加｡
ラテン/スパニッシュ･ジャズの「今」を全身で感じ取ることのできるクオリティの高いアルバムとして､ラテン/ジャズ双方のファンにレコメンド｡