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高熱隧道

Akira Yoshimura

User Review :5.0
(3)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101117034
ISBN 10 : 4101117039
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2010
Japan

Customer Reviews

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これぞ吉村文学の最高傑作の一角! 想像を...

投稿日:2021/04/17 (土)

これぞ吉村文学の最高傑作の一角! 想像を絶する自然の猛威と戦いながら黒部トンネルを開通させる男たちのドラマ。 最近のトンネル工事のイメージとは全く違うのでピンとこないかもしれないが、過去には映画化された名作。 吉村作品らしく、綿密なルポの上で淡々と写実的な情景描写をしているのでかえって自然の猛威や過酷な労働がリアルに伝わってくる。まさに吉村文学の王道といえる作品と云える。 内容的に時代遅れと感じるかもしれないが、「自然を克服」できるという人間の大きな勘違いを再認識するには最高の一冊。 人間は自然の中で「生かされている」という謙虚な認識があれば、「想定外」な原発事故は起きなかったのではないかと痛感した。

I.O.U さん | 北海道 | 不明

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昔はこんな危険な作業をさせられていたのか...

投稿日:2021/04/12 (月)

昔はこんな危険な作業をさせられていたのかと驚く内容。しかし、このような命懸けの仕事をした人びとがいたお陰で、日本が高度経済成長を成し遂げられたということか。今の日本ではこのような感覚はもはやないと気付かされた。

海尾水 さん | 神奈川県 | 不明

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黒部に行ってきました。それが、この小説を...

投稿日:2012/01/17 (火)

黒部に行ってきました。それが、この小説を読みたくなったわけです。本当にこんな事があったのか!と思わせる内容。黒部近くの宇奈月温泉に行った時、いいところだなーと思ったのだが、ダム建設時には犠牲者の遺体置き場になっていたそうな。そんな歴史も忘れてはならないと思った。

タケヒロ さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    小説なのだが、実態は限りなくノン・フィクションに近いものだと思われる。ここで取り上げられているのは昭和11年8月半ばに着工し、昭和15年11月21日に完工した黒部第3発電所建設工事である。300人を越える殉職者を出したとんでもない難工事である。とりわけタイトルにも選ばれた「高熱」すなわち、地熱と温泉水の噴出で坑道内は時に200℃にも達する高温の中での作業であったようだ。物語中での視点人物はキャリア組の藤平に置かれ、彼ら工事遂行者たちの苦悩が描かれるが、その背後には現場で命を落とした、もしくは常に命の危険⇒

  • ミカママ

    【読メ・ダム部】これだけの大事業が昭和の初期に完成したという偉業、それを見てきたかのように記す筆致。構想から完成まで10年かかったという、吉川さんの執念を感じる1冊。主人公は、設計を司る技師たちと計画を遂行する人足たち。我が息子も電力屋の端くれなので、技師の心情にははなんとなく寄り添えるのだが、現場で人足たちを突き動かす凄まじい原動力はなんだったんだろう。彼らによって今日の日本は造られたのだ。そして現代においても、例えばフクシマの原発の後始末などにおいて、同じような構造があるような気がしてならない。

  • 青乃108号

    黒部渓谷の荒ぶる大自然の猛威に、恐怖に怯えながらも立ち向かって行った男達の物語。軌道トンネルと水路トンネルの掘削に伴い発生する、摂氏160度という想像しがたい岩盤温度。絶えず放水で体を冷やしながらも20分しか掘削出来ない劣悪な作業環境。高温によるダイナマイトの誤爆で四散する人夫の肉体。その肉片をただひとり、抱くようにしてかき集める技師の姿。トンネルの開通、工事の完了にも感動はない。300名を越える犠牲者を出し、人間は大自然の前にはただ無力であった。読後大自然への畏れというものが静かに俺を満たすのを感じた。

  • やすらぎ

    立ち入るべきでない大雪の渓谷で越冬し、高熱断層の中心部へ突き進む。熱湯が降り注ぐ隧道、岩壁を崩すダイナマイトの自然発火に恐れおののく。そして起こってしまう数々の事故。それは避けられなかった。技術者と人夫、各々の苦悩も描く。現代ではあり得ない戦前の事情があり、多数の犠牲者が出ても止めることはできなかった。強大な力を持つ大自然に立ち向かった先人がいたからこそ、黒四ダムにつながり、雄大な黒部に立ち入ることが許されている。吉村昭の筆力は兎に角凄まじい。時代経過順に、黒部の山賊、高熱隧道、黒部の太陽と読み進めます。

  • みも

    岩盤温度160度。放出される冷却水を全身で浴び腰まで浸りながら、濛々と湯気が立ち上る薄暗い坑道を皮膚を爛れさせ掘り進む。高熱に起因するダイナマイトの自然爆発や、ホウ雪崩の未曽有の大惨事等により、全工区300名以上の犠牲者を出して尚、強硬に推し進められた国家事業。昭和11〜15年…戦争という巨大な怪物が蠢いた時代。人々は感情を抑圧し命の安売りをする。ただ著者は誰の側にも与せず、硬質な文体で冷酷なまでに事象のみを淡々と記す。それ故の圧倒的臨場感と客観性。図らずも僕の内奥からは命の尊厳と反戦の思いが沸き上がる。

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