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橇・豚群・渦巻ける烏の群(仮)講談社文芸文庫

黒島伝治

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062903561
ISBN 10 : 4062903563
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2017
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

昭和初期に隆盛したプロレタリア文学運動の潮流の中で、写真的な文章と複眼的想像力による傑作短篇を立て続けに発表して一躍脚光を浴びながらも、肺病による喀血から郷里・小豆島での療養生活を余儀なくされた黒島伝治。官憲の横暴に対する農民の知恵がドラマを生む「豚群」、戦争の悲惨さと裏腹の滑稽な現実を鮮やかに描いた「橇」、「渦巻ける烏の群」など時代を超えた輝きを放つ代表作集。

【著者紹介】
黒島伝治 : 1898・12・12〜1943・10・17。小説家。香川県小豆島生まれ。地元の醤油会社に勤めた後、上京。1919年早稲田大学高等予科に入学するも、同年に徴兵されてシベリア出兵にも従軍、22年兵役免除まで日記をつける。25年同郷の壷井繁治の尽力で小説を発表し始め、翌年日本プロレタリア芸術連盟の「文芸戦線」同人となる。27年には労農芸術家連盟の創立に参加、30年文戦打倒同盟を経て日本プロレタリア作家同盟に合流。作品には伏せ字も多く、30年刊行の『パルチザン・ウォルコフ』、『武装せる市街』は発禁に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 燃えつきた棒

    黒島伝治のことを教えてくれた荒川洋治さんに感謝したい。彼の評論やNHKラジオ第2の『カルチャーラジオ 文学の世界 荒川洋治の“新しい読書の世界”「昭和・戦前の小説」』に出会わなかったら、たぶん僕は黒島もこの短篇集も知らずに終わったのではないか?/ 『盂蘭盆前後』:農村に生きる人々の喜びと悲しみを鮮やかに形象化している。景気の浮沈に巻き込まれて絶望しつつも、いつの日かそれさえも乗り越えて行く人々の姿にはどこか希望さえ感じられる。/

  • のり

    処女作「電報」は、農村の貧しい農家の息子が優秀なのに周囲の目から逃れられなかった両親のためにその進学が絶たれる話。同じく〈農村もの〉である「二銭銅貨」「豚群」(ともに『文芸戦線』(1924年創刊)初出)も、前者が二銭安い緒を幼い息子に与えたために事故死させた両親の悲哀を描き、後者は役人の目を逃れるために豚を放し、裏切り者に翻弄されるも最後はやりおおせる農家の青年を描く。「豚群」は黒島伝治の作品には珍しく滑稽味もあり、救われる結末である。(→)

  • 塩崎ツトム

    読んでいてひたすら胸の当たり、心臓あたりをギュウッと締め付けられる小説が並ぶ。弱者は強者にひたすら搾取され、時間と蓄財も、すべて奪われて、富めるものはさらに狂暴に貧しき者を搾取していく。弱者は泣けない。泣いたところで明日も搾取され、子や孫も搾取される。地獄では涙も枯れる。作中で泣くのは不慮の事故で息子を亡くすおっ母だけである。だれも弱者の悲しみを知らない。そして弱者は己の悲しみを知らないどころか、怒りの矛先すら誤る。

  • 刳森伸一

    農村の貧しい人々やシベリアに出兵した人々を写実的に描く。プロレタリア文学ということだが、実際には弱き者に寄り添ったリアリズム文学といった感じ。収録作に外れはなく、いずれも高水準だが、ラストが壮絶な「渦巻ける烏の群」が特にいい。

  • isbm

    ★★★

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