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バロックの光と闇 講談社学術文庫

Shuji Takashina

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062924641
ISBN 10 : 4062924641
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2017
Japan

Content Description

「バロック」という言葉を目にして、何を思い浮かべるだろうか?
もともと「歪んだ真珠」、「いびつな真珠」を意味する形容詞として生まれた「バロック」という言葉は、「粗野な」、「劣った」、「価値の低い」というニュアンスを帯びて使われるようになった。しかし、その一方で、バッハに代表される「バロック音楽」や、サン・ピエトロ大聖堂前の広場に見られる列柱廊に代表される「バロック建築」など、雄大にして壮麗な作品群が「バロック」の名で呼ばれてもいる。
──では、「バロック」とはいったい何なのか?
パリのポンピドゥー・センターの建築から始まる本書は、西洋美術史研究の第一人者が、音楽や建築にとどまらず、美術、演劇、文学にまで及ぶ多彩な分野を、さまざまな時代にわたって縦横無尽に駆けめぐりながら、バロックの本質に迫っていく魅惑の旅の記録である。ジャンルとしての「バロック」でもなく、時代区分としての「バロック」でもなく、現代にまで至る全時代に見て取られるものとしての「バロック」を、無数の作品を渉猟しながら求めていった先には、現代こそバロックの時代である、という事実が浮かび上がる。
多数の図版を収録した原本に、さらに新たな図版を加えた決定版が登場!

目次

序 章 バロックと現代
第1章 歪んだ真珠──バロックとは何か
第2章 静謐な形態感覚──古典主義
第3章 不安の幻想と綺想の魅惑──マニエリスム
第4章 大衆教化のイメージ戦略──対抗宗教改革
第5章 真実追求の精神──自然主義
第6章 強烈な演出効果──光と闇
第7章 溢れ出るダイナミズム──装飾と動勢
第8章 二重構造の世界──写実性と超越性
第9章 肉体の悲哀と魂の歓喜──苦悩と法悦
第10章 貴族となった芸術家──宮廷絵画
第11章 新しいパトロンたち──市民絵画
第12章 拡大する空間意識──都市と建築
第13章 夢の祝祭世界──文学・音楽・演劇
第14章 生きる歓びの表現──ロココの美術
第15章 永遠のバロック──新古典派とロマン派

あとがき
学術文庫版へのあとがき

人名・作品名索引

【著者紹介】
高階秀爾 : 1932年生まれ。東京大学名誉教授、パリ第1大学名誉博士、日本藝術院会員。専門は、美術史・美術批評(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • チョコ

    バッハや、バロック音楽についてと思い読み始めたら、もっと壮大な歴史書だった。文化史からの視点のバロック。『歪んだ真珠』良いじゃない!各国の王様や富豪の商人の支えがあって今に残る名作ができている。全ては必然だな。また年を経て読んだら違う感想になりそう。

  • ロビン

    主として17世紀にヨーロッパで主流となったバロック様式について様々な角度から解説した一書。ダ・ヴィンチやラファエロに代表される「高貴な単純さと静謐な偉大さ」、間接照明のような静かな光をもつ古典主義に対して、カラヴァッジョやルーベンスらのバロックは奔放な激しさ、不安定なまでの複雑さ、ダイナミックな動き、強烈なスポットライトが生み出す劇的な明暗を特色とする。バロックの落とし子であるロココや、新古典主義とロマン主義におけるバロックの要素などにも言及されバロックの奥深さを学べる。社会的背景も詳しく解説されている。

  • 風に吹かれて

    『古典』、『バロック』、『ロマン』など芸術に関して一応の分類があり、もちろん、それらの芸術が生み出されたときにそう名付けられたのではなく、後世に、一応そう呼ぼうか、ということで命名されたものだけど、実のところ、どういうものが『古典』であり『バロック』であり、まして『新古典』なのか分からない私でしたが、この本で、よ〜く理解できました。さすが高階先生の著作です。絵画、彫刻、建築物など参照作を豊富に掲載していて、眺めるだけでも楽しい本。『バロック』が『いびつな真珠』という意味だとは驚きでした。

  • Akito Yoshiue

    流れがわかりやすくまとめられており、図版の説明も適切。教科書として非常にレベルが高い。

  • 古典主義との比較でバロック美術の特徴(ダイナミズム、スペクタクル性、自然主義《とその奥にあるもの》、スポットライト的明暗表現、等)を説明し、さらにその間に入るマニエリスム、果てはバロックの落し子たるロココやロマン主義(とそれに対する新古典主義)にまで話が及ぶ。つまりこれ一冊読めばざっと西洋の近代美術の歴史が概観できるという素晴らしい本。もちろん歴史的背景に関してもわかりやすい。図版も(白黒ながら)豊富。教科書的でありながら退屈さとは無縁の一冊。

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