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ぼくらの戦争なんだぜ 朝日新書

高橋源一郎

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784022951571
ISBN 10 : 4022951575
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2022
Japan

Content Description

教科書を読む。「戦争小説」を読む。戦争詩を読む。すると、考えたこともなかった景色が見えてくる。人びとを戦争に駆り立てることばの正体が見えてくる。古いニッポンの教科書、世界の教科書を読み、戦争文学の極北『野火』、林芙美子の従軍記を読む。太宰治が作品の中に埋めこんだ、秘密のサインを読む。戦意高揚の国策詩集と、市井の兵士の手づくりの詩集、その超えられない断絶に橋をかける。「彼らの戦争」ではなく「ぼくらの戦争」にふれるために。

目次 : 第1章 戦争の教科書(ニッポンの教科書/ ドイツの教科書、フランスの教科書 ほか)/ 第2章 「大きなことば」と「小さなことば」(戦争と記憶、庶民の戦争/ 『この世界の片隅に』の語り方 ほか)/ 第3章 ほんとうの戦争の話をしよう(正しい戦争の描き方/ 彼らの戦争なんだぜ)/ 第4章 ぼくらの戦争なんだぜ(ごはんなんか食べてる場合じゃない/ 女たちも戦争に行った ほか)/ 第5章 「戦争小説家」太宰治(加害の国の作家/ ずっと戦争だった ほか)

【著者紹介】
高橋源一郎著 : 1951年生まれ。作家。明治学院大学名誉教授。横浜国立大学経済学部中退。88年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、2012年『さよならクリスファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom

    「ぼくらの戦争」ではなく「彼らの戦争」として戦争を捉えることに危機感を抱く著者。「大きな言葉」「大きな記憶」で語るのではなく、小さな言葉を大切にしようとする。文学こそが小さな言葉の代表であるとして、大岡昇平さん、向田邦子さん、太宰治さんなど、戦争を描いた多くの文学作品を読み解いてゆく。「「思想」で抵抗した人はアッサリ転向するが、「感覚」で抵抗した人は最後まで抵抗する」んだと言う。林芙美子さんの評価など納得しがたい記述も多いのだが、戦後生まれの著者の迷いを正直に語った言葉の数々は、訴える力を持っている。

  • アキ

    NHKラジオ「飛ぶ教室」を2020年から毎週聴き続け、知らなかった多くの書籍を手に取ることができた。この分厚い新書は、多くの本を紹介するスタイルをとっている。そのほとんどは番組で紹介されたものである。しかし紹介されていない本もある。ただ単に聞き逃してしまっただけなのかもしれないが、それは大岡昇平「野火」である。著者は九回以上読んだという。立ち上がって拍手したくなったと。著者のガイドに導かれて読んでみたい。本のタイトルは「ぼくたちの」戦争。戦時下と平和な時はそこで生活をするという点でつながっているのである。

  • rico

    戦争に関するさまざまな「言葉」と向き合い、戦争の実相を浮かび上がらせてる試み。高橋さんらしく、論はいきつ戻りつ進む。強く圧倒的な力を持つ「大きなことば」は、たとえ空辣で嘘にまみれていても、あらゆるものをねじ伏せる。「小さなことば」はひとたまりもなく蹴散らされる。でも、世界のあちこちにひそやかに生き続け、戦争の「ほんとうのこと」を伝え続ける。たとえば兵士たちが残した小さな詩のように。目をこらし、耳を澄ませ。その言葉を捜せ、受け止めよ。それが「ぼくらの戦争」と向かい合う第1歩だ。そう言われてるような気がする。

  • へくとぱすかる

    「小さな声」が「大きな声」にかき消されていくことにかかわって、本書は掘り下げる。多くの戦争文学が、残酷さや悲しさを描いているが、少数ながら、暴力をふるまうことを強制されたら、その時自分はどうするのかについて、その状況や苦悩を描いた作品がある。「二度とあってはならない」と言うのは簡単だが、気がついたら身動きがとれなくなっていた、というのが非常に恐ろしい。実は「前の」ときもそうだったのではないか? ラスト近く、昭和の戦争の経過について年表があるが、そのあとの言論弾圧の年表の方がずっとおそろしく、注目すべきだ。

  • fwhd8325

    戦争を知らないことが大半となった今、戦争とはどういうものなのか、様々なアプローチが試みられているように思います。高橋さんのこの著書もとても面白いアプローチだと感じました。教科書から戦時下の詩集、そして太宰治。ついこの間のことが彼方の歴史であると同時に海の向こうでは戦争が絶えない。今度ばかりはいつ巻き込まれるかもしれない恐怖も感じられる。だから、ぼくらはもっと意識しなければいけない。人は決して強くはない。

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