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ISBN 10 : 4065399645
Content Description
清涼飲料水の広告の少女はいつもドラマティックな青春を謳歌しているし、
「推し」はファンの期待した筋書きどおりに振る舞うし、
就活面接では挫折経験を「美談」として語らねばならない。
「私は端的にこう思う。何かがおかしい、と。」(p.4)
「物語」が過剰に要求される現代社会で、
「人生とはかくあるべきだ」という押しつけに抗う――。
新進気鋭の美学者による「次世代の哲学」。
わたしたちは何のために哲学するのか。
それは、もっと世界に出会うため、もっと広々とした場所に行くため、
もっと可能性にめまいをおぼえるためなのかもしれない。
難波さんは、考えれば考えるほど、自由になっていくみたいだ。
――永井玲衣
ずっと、アイデンティンティを見つけなければと思っていた。
でも、アイデンティティという名の物語に囚われていただけだったのかもしれない。
難波さんの本はそんな僕に「世界を見くびるな。そこから出てこい!」と語りかけてくれる。
――田村正資
***
人々はあまりにも強い物語の引力に引き寄せられて、もはや物語に支配されつつあるのではないか、と私は危惧し始めた。
だから、私はこれから、物語に対抗したいと思う。
何かしらの物語が私たちの幸福を奪うのだとしたら、もはやそんな物語は廃棄されるべきだろう。
私はよき物語を愛している。それゆえ、物語を批判したいと思う。
愛するということは、支配されるわけでもなく、支配するわけでもなく、独特のバランスのなかで惹かれ合い、反発し合うことなのだと考えている。
‥‥
第一部の「物語篇」では、物語化の持つ魔力と危うさを論じていく。
第二部の「探究篇」では、物語の危険を避け、物語を相対化できるような思考を「遊び」を手がかりに探索していこう。
その中で、改めて物語との向き合い方がみえてくるはずだ。
物語化批判、そして、遊びの哲学を始めよう。
――「序章 人生は『物語』ではない」
〇 誤解を生む「自分語り」(第1章 物語批判の哲学)
〇「感情的だ!」という批判をする人こそ、実はもっとも「感情的」(同上)
〇 アイデンティティは服のように「着替えられる」(同上)
〇 人生を「攻略」しようとする人が陥る「視野狭窄」(第2章 ゲーム批判の哲学)
〇 なぜ人は「考察」と「陰謀論」にハマってしまうのか(第3章 パズル批判の哲学)
〇 真のギャンブラーが欲しいのは「お金」ではない(第4章 ギャンブル批判の哲学)
〇 残酷だけど創造的な「おもちゃ的生き方」(第5章 おもちゃ批判の哲学)
‥‥ほか
【著者紹介】
難波優輝 : 1994年、兵庫県生まれ。神戸大学大学院人文学研究科博士前期課程修了。美学者、会社員。立命館大学衣笠総合研究機構ゲーム研究センター客員研究員、慶應義塾大学サイエンスフィクション研究開発・実装センター訪問研究員。専門は分析美学とポピュラーカルチャーの哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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