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正義の喪失 反時代的考察

長谷川三千子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784569578743
ISBN 10 : 4569578748
Format
Books
Release Date
January/2003
Japan

Content Description

戦後、われわれが失ったものは、「正義」だけではなかった。世界の動きを的確に把握する眼力を失ってしまったのである。「戦争」と「正義」という言葉に対する認識、そして国際貢献、グローバリズム化した経済、「男女雇用機会均等法」による男女平等…。本書は、われわれが安住する社会に満ちた欺瞞を鋭く暴く、超一級の文明論である。文庫化に際して第三章「われわれの正義はどこに?」を収録。

目次 : 第1章 正義の喪失/ 第2章 国際正義の罠―日本人にとつての湾岸戦争/ 第3章 われわれの正義はどこに?/ 第4章 難病としての外国交際―『文明論之概略』考/ 第5章 ボーダーレス・エコノミー批判/ 第6章 フェミニズムといふ病理

【著者紹介】
長谷川三千子 : 昭和21年、東京都生まれ。昭和44年、東京大学文学部哲学科卒業。昭和50年、同大学大学院博士課程修了。埼玉大学助教授を経て、現在、同大教授。専攻は哲学。平成9年度、和辻哲郎文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 軍縮地球市民shinshin

    経済の話以外は面白かった。長谷川氏の論考はどれも着眼点が独自で面白い。特にフェミニズム批判の最終章は秀逸。家庭内での主婦の労働をフェミニストはまったく認めないが、それはマルクス経済学の理論に立脚しているから。そこを長谷川氏は鋭く突いている。女性はずっと昔から家庭内で働いていた。外で働くのだけが労働ではないと。

  • うえ

    「もともと、多国籍軍の「正義」の基盤となつてゐる近代の国際法といふものは、かつてのローマ法の伝統の上に、ギリシャの法思想とキリスト教神学が一体となつてでき上つてきたものであつて、それが実質的にヨーロッパ以外の地域に適用されるやうになつてからも、そのヨーロッパ文化の伝統に根ざした構造は根本的にくつがへされることがなかつた。或るイラク高官も言ふやうに、国際法の定める正義が唯一の正義なのではない。イラクの言ふ「正義」の内容が、他のイスラーム諸国の考へる正義と一致するか否かはまた別のこととしても」

  • めっかち

     本自体20年前、論考は更にそれ以前のもの。然し、どうして今でも得られるものが少なくない。例えば長谷川先生のボーダーレスエコノミー批判。今のグローバリズム批判に照応するが、それらの遥か先を行っている。今の反グロの人たちの低レベルな新自由主義批判に比して、実に根底的に問題の本質を突く。やはりコロンブスまで遡らないとことの本質は解らないのだよね。

  • 脳疣沼

    著者の本は何冊か読んでいるが、やはり上手い。文章が上手いのか、話の運び方が上手いのか、とてもよくできた作品という感じがする。著者の意見に賛同はしないが、読んでいて痛快である。そういえば、著者は安倍首相の支持者だったはずだが、安倍内閣が女性の活躍する社会、もっと言えば一億総活躍を唱えていることに関して、どう思っているのだろうか?TPPなどで、よりグローバル化を推進しているのをどう思っているのだろうか?なかなか興味深いところだ。

  • MrO

    どれも同感である。特に「フェミニズムという病理」は、常々、なんで子育てという、人間にとって最も本質的で崇高な仕事を片手間にして、経済活動などというほとんどどうでもいいようなことをしたがるのだろうと思っていたので、わが意を得たりだった。人類は、そろそろ資本主義に替わる仕組みを考え出さないと、絶滅にむけてまっしぐらに進んでいる感じだ。原発一つとっても、人類に何万年もの負債を残すあの凶器を止められないだけで、明らかに間違っているということだ。

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