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松本清張の女たち

酒井順子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784103985112
ISBN 10 : 4103985119
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2025
Japan

Content Description

衰えぬ人気の陰に「女」あり。新たな切り口で読み解く「令和の松本清張」。雑誌の個性に合わせて作品を書き分けた松本清張が、アウェイの女性誌で書いた小説群に着目。そこに登場する女性主人公たちを、お嬢さん探偵、黒と白の「オールドミス」、母の不貞、不倫の機会均等といったキーワードを軸に考察し、昭和に生きた女たちの変遷を映し出すと同時に、読者の欲望に応え続けた作家の内面に迫る。

【著者紹介】
酒井順子 : 1966年東京生まれ。高校時代より雑誌「オリーブ」に寄稿し、大学卒業後、広告会社勤務を経てエッセイ執筆に専念。日本の女の生き方・考え方をテーマに据え、2003年に刊行した『負け犬の遠吠え』はベストセラーとなり、講談社エッセイ賞・婦人公論文芸賞を受賞。30代以上・未婚・子のいない女性を指す「負け犬」は流行語にもなった。古典作品にまつわる著書も数多く、『枕草子』の現代語訳も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ

    映画やドラマの影響か清張作品に登場する女は悪女のイメージが強いが、実際は理不尽な運命に抗う女だった。犯罪に巻き込まれた良家の子女が真相を探ったり、思いがけず転落し被害者や加害者にもなってしまう。金や自由や性の欲望を満たしたいと願い、女を低く見る時代に男と伍して生きようと知恵を絞り、時には暴走し取り返しのつかない結果を招く。女の美しさだけでなく黒い部分を描き出したからこそ、清張ミステリは読者に支持され令和の世までも読み継がれたのだ。繰り返し映像化されるのも、黒い女を演じる女優が飛躍する契機になるからだろう。

  • nonpono

    20代から読んでいたし米倉涼子のドラマも見ていたが昨年、再放送で西村晃、名取裕子、山崎努の「けものみち」を見て、男と女の業、いらやしさにびっくりした。松本清張、明治42年生まれ。太宰治と同じ年にまた、びっくり。「清張が書こうとしたのは、物語のきっかけとなるのが殺人であれ不倫であれ、その裏側にある心の闇だった。」だから、作品が古びらなく、今でもドラマ化されるのだろうか。市原悦子の「家政婦が見た!」の第1回目の原作が清張だとは知らなかった。そして、「天城越え」の少年の動機にまた驚く。酒井順子の筆が走っていく。

  • じいじ

    このタイトルを見て頭に浮かんだのは、「清張のお母さんと奥さんは、どんな人なんだろう?」でした。読み終えて、酒井順子はかなり清張の小説が好きで、読みこんでいるのが見て取れます。なぜ清張小説が、没後もこうして人気が高いのか? 専業作家としてのスタートは46歳で遅咲きである。でも、著作は1000を超えてる由、清張作品にハズレがないのだが、とてもすべては読めないだろう。酒井さんによると、清張はかなりの「負けず嫌い」とのこと。【母と妻と松本清張】の項目では『火の記憶』『波の塔』『突風』などは読んでみたい小説です。

  • ぐうぐう

    社会派推理というジャンルを切り拓いた松本清張だが、作品を読み進めていくと、意外と読者サービス旺盛な作家だったのだなと気付かされた。酒井順子『松本清張の女たち』を読んで、改めてそのことに気付かされる。女性誌に連載するにあたって、他の媒体では書き難かった内容を書こうとする清張は、と同時に掲載誌の読者層である女性達にいかに喜んでもらうかを意識して小説を書いている(「女性自身」と「婦人公論」で内容を書き分けていることでも、それは明らか)。(つづく)

  • おかむら

    社会派推理小説の分野を切り拓いた昭和の大人気作家松本清張。本は読んだことなくても度々映画やドラマになってるのでなんかよく知ってるイメージ。その膨大な小説群に登場する女性キャラクターに着目して考察した酒井順子の労作! いつもの軽めのエッセイとは違う、こちらも腰を据えて読まないといけないガチ評論です。気鋭の女性史研究者の新書のよう、しかもこっちの方が断然面白かったわー! 不適切な昭和がバンバン出てくる。そして令和の今も不適切な女性観が心の中に残ってる私たちの姿も映し出す素晴らしい評論。←褒めすぎか。

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