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スネーク・ピープル ジグザグデモ、あるいは戦術の系譜

酒井隆史

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784903127378
ISBN 10 : 4903127370
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ジグれ!
舞え、ヘビのうねりを!

 フランスデモ、座り込み(へたり込み)、洗濯デモ、棺桶デモ、ピストンデモ、円陣デモ‥‥ かつてのデモは、驚くほど多種多様で、きわめて柔軟でもあった。しかも、状況をみて機転を利かせ、またたくまに、別のデモ形態へ移行したり元に戻ったり、バラけたりをしていた。
 いずれのデモも、さまざまな弾圧や妨害やいやがらせを受けるなかで、それらをすり抜けながらデモンストレーションをおこなうために、人びとが手探りで創りだしていった戦術である。

 人びとは、社会のありように危機感をもったとき、このままではやっていけないと思ったとき、ないがしろにされている自他の存在を可視化させたいとき、要求する集団の、存在の全重量をむきだしにあらわしてきたのだ。

 なかでも路上を蛇行〔だこう〕するジグザグデモは、デモンストレーションの華〔はな〕であり、労働者・失業者、老若男女・色とりどりの人びとを魅了した――だれもが、ヘビになって、うねっていたのである。

 このスネーク・ダンスは、その時の要求や場面に応じて、いろんな幅でうねり、ぐるぐるまわり、おそ足、かけ足で蛇行運動し、ふたたび個へとバラけていく集団行進である。それは、決められた形態を外側からかぶせられるのではなく、みずからの内側からリズムを変異させつつ、そのつどデモの形状を生成していく大衆運動なのである。

 しかし、この変幻自在な乱舞のあらわれは、大衆運動を上から指導したい勢力と制圧させたい勢力とから、大衆の愚かな「はみだし」や、「騒々しい」うさ晴らし、時代遅れとして見下され、やがて猛烈にバッシングされはじめる。さらには「迷惑行為」と見なされ、デモは、規制そして自主規制されていく。

 「そもそも、ジグザグデモ以上の創造物、そこにひそかに(身体に)投入された批判的知性の厚みに匹敵するような創造物が、日本の大衆運動史において、はたしてどれほどあるだろう。」(本書 249頁)

 このスネーク・ダンスの誕生から姿を消すまでの、戦前から安保闘争にいたる、蛇行の軌跡を追尾する。

 ジグれ! 舞え、ヘビのうねりを!
 路上はわれらのものであり、主人はわれわれなのである。

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 小鈴

    この本を読んで初めて知ったのだけど、1950-60年代に盛んに行われた安保闘争、組合運動のデモでは、6人で腕を組み隊列を作り、ジグザグに足早に歩くデモが多発した。それは蛇行デモ、ジグザグデモと呼ばれ、あの当時は誰もが知るデモ形態だった。写真多数掲載されているが本当に蛇のような隊列。その始まり、流行期、消失(蛇退治)を詳細に追う。当時の大衆は個人からヘビになり、政権や企業側を巻き込んだ。私たちはヘビだった時があったのだ!そしてヘビは退治され、ただの個人に戻り、孤立し社会変革や政治への関心を失った。

  • 檜田相一

    60年安保と三井三池闘争を頂点として、日本の運動史をジグザグデモという「戦術」から捉え直す。過去の運動とは違う、「新しい運動」が強調されがちな昨今だが、過去の戦術からなにを継承すべきかを考えよと筆者は訴える。60年安保では過激なものとして忌避され、法規制の強化によって勢いを失ったジグザグデモ。しかし、そのヘビのようなうねりは抑圧された労働者の自己解放の手段であった。労働者を描いた詩や特徴的な装丁など、唯一無二の著書だと思った。

  • Ryo Sogawa

    ジグザグデモを礼賛しながら1960年代くらいまでの日本の街頭デモの歴史について記した本。

  • takao

    ふむ

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