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中上健次短篇集 岩波文庫

道籏泰三

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003123010
ISBN 10 : 4003123018
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

闇と光、夢と現、死と生の煌めき。銀のわき立つ河が流れる。中上文学の世界。「十九歳の地図」から「ラプラタ綺譚」まで。

【著者紹介】
中上健次 : 戦後生まれで初めての芥川賞作家。1946‐1992(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    個人的な話だが、日本の作家で暴力じみた性欲を明け透けに描かれると戸惑いと拒否感が出ていた。しかし、この短編集はそれらの感情が表出する事が少なく、読めた。神話的な短編集。序盤の「隆男と美津子」から衝撃を受けた。罰当たりな事を商売とし、自堕落で語り手もその姿を軽蔑してもいた若い男女。だが、二人の突然の死を知らされ、彼は呆然とするのだ。「彼らと関係が唯一あった自分は冷笑していたが、本当に彼らを理解していたのか?」と。「喪失」とは自身の無理解を知り、当事者に問い掛けてももう返らない事を実感する事なのかもしれない。

  • かふ

    芙蓉が咲く時期になると中上健次が読みたくなる。中上健次の印象的な花「夏芙蓉」は、わざわざ「夏」と付けたところに意味があると思ったのは、夏はお盆の季節であり中上健次の献花(仏花)の意味がある。ここに収められている路地という出自は黒人のジャズのように薬物依存で命を失っていく若者の姿であり、路地という失われた土地を求めて中上健次が徘徊する犬の視線(小便で持ってマーキングする)の土地なのでありそこに現れる「かさぶたのマリア」や「オリュウノオバ」は母なる声であったのだ。

  • 海燕

    何年ぶりに中上健次を読んだだろう。時を経てもやはり中上健次だった。10の作品が執筆された時代順に配置されている。道籏泰三氏の解説がよい手引きで、中上の生涯と各作品との対応が、朧に見えてくる。かつて嵌まっていた頃は、枯木灘、千年の愉楽、日輪の翼など代表作を手当たり次第読んでいた。紀州、路地の若者らから発せられるエネルギーを感じるだけでよかった。今中上という一人の稀有な作家の生涯に着目すると、かつてと違う読み方ができそう。是非改めて秋幸たちの声を聞き、無軌道な生き方を追ってみたいが、その機会は訪れるだろうか?

  • ノブヲ

    冒頭に置かれた「隆男と美津子」は、ただ青臭いだけの安い三文小説かもしれない。しかしこの短篇集(岩波文庫)のはじまりにあえてそう装置してみせることで、あの大家中上健次もかつてはわたしたちと同じ地平に生きるごくありふれた文学青年だったことがまざまざと甦ってくる効果がある。またそのことで「旧套を脱する」ではないが、権威の予定調和を切り崩してもいる。大家・大小説家としての中上健次を知るには、その後の「楽土」や「重力の都」を読めば十分お釣りがくるだろう。

  • こうすけ

    中上健次短編集。長谷川和彦監督作『青春の殺人者』の原作となった『蛇淫』。母親のおぞましいほどの、息子への愛が気持ち悪くてよい。ほかに、『十九歳の地図』が言語化しがたい変な魅力。『楽土』は、家族に対するおそろしい暴力の描かれ方にゾッとする。いくつかほかの短編集も読んでみたけど、個人的には『水の女』が別格だったと思う。

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