Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• cochou

  読了日：2021/12/12

  辻邦生は随分昔から知っていたが読んだのは初めて。3年ほど前に学習院大学で展示があった気がする。 ユリアヌスだけでなく登場人物のほとんどが過酷な人生を送り死んでいく。ゾッとするほど残酷なシーンも格調高い文体で淡々と綴られてゆく。ユリアヌスがキリスト教徒を心底嫌う態度につられて自分もキリスト教が嫌になるが、かといってユリアヌスが心酔するローマの伝統宗教ももはや力を失っている。 血で血を洗う闘争の中でも裁判や論争が一定の力を持つところもドラマチックで面白い。

• Βουλγαροκτόνος

  読了日：2022/03/27

  大部の著作が1冊にまとまっており、『背教者ユリアヌス』としても比較的最近にまとめられたものなので、おすすめ。本文だけでなく、辻先生が本作品について書いたエッセイなども再録されているのが素晴らしい。キリスト教とローマ多神教の間の対立で悩むユリアヌスを、現代のイデオロギー間対立に射影して考えてみると、色々と考えさせられることがあり、70年代の作品とは思えない鮮やかさ。ユリアヌスと同時代人であるAmmianus Marcellinusの『歴史 Res Gestae』を読みたくなった。

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