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江戸の学びと思想家たち 岩波新書

辻本雅史

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004319030
ISBN 10 : 400431903X
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

長い戦乱をへて平和がもたらされた近世とは、世代から世代へと“知”を文字によって学び伝えてゆく時代の到来であり、そうした「教育社会」こそが、個性豊かな思想家を生みだした。朱子学から、山崎闇斎、伊藤仁斎、荻生徂徠、貝原益軒、心学、そして国学まで、“学び”と“メディア”の視点から広くみわたす江戸思想史入門。

目次 : 序章 知のつくられかた/ 第1章 「教育社会」の成立と儒学の学び/ 第2章 明代朱子学と山崎闇斎―四書学の受容から体認自得へ/ 第3章 伊藤仁斎と荻生徂徠―読書・看書・会読/ 第4章 貝原益軒のメディア戦略―商業出版と読者/ 第5章 石田梅岩と石門心学―声の復権/ 第6章 本居宣長と平田篤胤―国学における文字と声/ 終章 江戸の学びとその行方―幕末から明治へ

【著者紹介】
辻本雅史 : 1949年、愛媛県生まれ。1978年、京都大学大学院教育学研究科博士課程退学。文学博士(大阪大学)。京都大学、国立台湾大学、中部大学の各教授を経て、中部大学フェロー、京都大学名誉教授、中部大学名誉教授。専攻は日本思想史、教育史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    統一された教科書を使って学校で学ぶのではない時代、知識や思想はどのように伝えられ広がったのか。平和な世で識字率が高まった江戸期に生まれた思想と、それが全国に広まっていく状況を解き明かしていく。一方的な講義だけの闇斎から著作も始めた仁斎、政治ブレーンになった徂徠と著作一本槍の益軒を経て、人に聞かせる講釈の工夫や組織化で世間に知られた心学や国学に至るまで素読という共通の基礎教養を前提に「知を伝達するノウハウ」が変遷する過程はメディア論的にも興味深い。学校教育が行き詰まる今日、改めて振り返る価値はあると思える。

  • 肉尊

    EdTechをさらに進化させた全世代型教育メタバース開発プロジェクト(仮)の一環として、江戸時代の学びの「型」は非常に参考になる。四書五経の類いの素読は、後に教育勅語へ、戦後は英語教科書や日本国憲法前文など姿を変えて受け継がれてきた。知を身体化つまり肌感覚として身につけるためには、主体的に課題に取り組み、試行錯誤のうえ自ら気付くことが大切なのだろう。本書を読んで感じたのは、石田梅岩の心学は、よしもと新喜劇に通じてるのでは!?学びたい人々のニーズに応えられる知の空間を創造してみるのも楽しそうだ。

  • ころこ

    明治維新の成功には江戸時代の学問がある。それらの系譜を辿る本として読んだ。半分当たって、半分予想と異なることが書いてあった。著者は近代の知のメディアは出版であり、図書館の蔵書数はその象徴性を誇っていたが、ネットをはじめとした情報技術の発展が近代の知の終焉を加速させ、教育現場に混乱をもたらしているという。「インターネットは、知の〈外部化〉を極度に進めているようにみえる。知は、人の主体(身体)を離れて、ネット空間に乱雑にあふれている。〈知の身体化〉を疎外すること流れは止まらない。」とした上で、「人は生きていく

  • 崩紫サロメ

    <知のつくりかた/つくられかた>の変容を扱う。本書が中心として扱う江戸時代は漢文素読による「知の身体化」の時代であった。それは明治第一世代にも引き継がれ、欧米文化の受容にも影響した。しかし、近代学校教育の普及に伴い、この身体性は失われていく。丸暗記という行為は現代においては否定されがちであるが、本書で扱われる江戸・明治の知の巨人たちが丸暗記を「己を空しくする体験」として受け止め、知を身体化してきた。現代の学びのあり方について考えさせられるところの多い書である。

  • おおにし

    (読書会課題本)江戸時代の民衆は寺子屋(手習い塾)で何を習ったのか。@書き読み(書くことから始める)A書礼(時候挨拶から冠婚葬祭の文例)B政治文書(請願者など)職業的文書(領収書、証書など)の書式C道徳規範など、方言が通じなくても書面は全国どこでも通用したという高度な文字教育が識字率の高い国民を作った。また、武士の儒学教育での漢籍素読によるテキストの身体化が西洋思想の導入に貢献。中江兆民はルソーを漢文翻訳した。漢文素読の代替となる教育メディアを持たないまま、日本人の知的レベルは低下し続けている?

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