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クライストと公共圏の時代 世論・革命・デモクラシー

西尾宇広

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784409241684
ISBN 10 : 4409241680
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

公共圏への羨望と警戒――集合的な〈声〉の力と暴力

フランス革命とナポレオン戦争の衝撃に劇震する世紀転換期、文芸的公共圏への参画は政治的公共圏への接続をも含意していた。文学市場が拡大するこの時代に、あえて大衆に追従しなかった作家は何を残そうとしたのか――クライストが描くデモクラシーの両義性と知られざる革命的文脈を掘り起こす。

本書の試みは、次のように定式化することができるだろう。すなわちそれは、一八世紀末以来の文学市場の拡大に伴い、社会が発する集合的な声としての「世論」が獲得した巨大な力と、それが物理的な力へと転化した「革命」という事件、さらに、その制度的ないし思想的内実としての「デモクラシー」という、一九世紀初頭に現実化の機会を与えられた新たな社会構想の是非をめぐって、クライストが――おそらくはときに現実の受容者をも意識しながら――テクスト上で展開した試行錯誤の痕跡を、同時代の言説編成との連関のなかで跡づける作業にほかならない。(「序章」より)

◎目次
序章 クライストと公共圏の時代 

第I部 虚構と現実あるいは文学と政治
第一章 裁きの劇場――『壊れ甕』あるいは政治的演劇の自己理解
第二章 重層的な革命――『壊れ甕』あるいは文学の地政学
第三章 デモクラシーの文法―― 『オーストリア諸国家の救出について』あるいは「民主的な様相」

第II部 〈君主〉と〈民衆〉の詩的公式 
第四章 民衆の輪郭(一)――『ロベール・ギスカール』あるいは不在の君主
第五章 民衆の輪郭(二)――『ヘルマンの戦い』あるいは友人たちのデモクラシー
第六章 機械仕掛けの国父――『ホンブルク公子』あるいはマキァヴェリアン・モーメント

第III部 世論の(暴)力
第七章 震災とデモクラシー――『チリの地震』における「声」の政治的射程
第八章 公共圏の「脆い仕組み」――『ミヒャエル・コールハース』における「世論」の表象
第九章 ファマとメルクリウス――『ベルリン夕刊新聞』あるいは嘘と真実のジャーナリズム

終 章 誤報と自殺

【著者紹介】
西尾宇広 : 1985年、愛知県出身。京都大学文学部および同文学研究科でドイツ文学を学ぶ。京都大学文学研究科博士後期課程を出たのち、2015年に『クライストと公共圏の時代―世論・革命・デモクラシー』で京都大学博士号(文学)を取得。現在、慶應義塾大学文学部准教授。専門はハインリヒ・フォン・クライストのほか、近代ドイツ語圏文学と文化史・文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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