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爪と目 新潮文庫

藤野可織

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101202716
ISBN 10 : 4101202710
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2015
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

あるとき、母が死んだ。そして父はあなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて―三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか…。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させるホラー。芥川賞受賞作。

【著者紹介】
藤野可織 : 1980(昭和55)年京都市生れ。同志社大学大学院美学および芸術学専攻博士課程前期修了。2006(平成18)年、「いやしい鳥」で文學界新人賞受賞。’13年「爪と目」で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ゴンゾウ@新潮部

    たくさんの方のレビューにあるように書き出しの一文から引きずりこまれて最後まで一気に読み切ってしまった。母親の不審死の直後に不倫相手と父親が結婚してしまう。その継母を3歳児の私の目が観察する。実母の死、父親の浮気、継母の不倫。本来見えないものが私の目を通して淡々と明かされる。何が起こるわけではないがこの物言わぬ目に追われる得体の知れないぞくぞく感は何なのだろう。

  • hit4papa

    不倫の末に妻の座を手に入れた女性が、継子の視点から縷々、語られていきます。母親ではない<あなた>の日常が、<わたし>の幼い目から、赤裸々にされていくわけですが、主体から見えない部分まで<わたし>の語りに表れてくるのは、違和感がつきまといます。長じた<わたし>が過去を振り返る中で、出来事を再構築したと考えるべきなのでしょうか。純文学ホラーなる冠で注目された本作品。終始心の奥底が見えなかった<わたし>だけに、ラストの展開は衝撃的です。鬱屈した気分が晴れやかになる暗い欲求を自身の中に見出してしまいました。

  • 眠る山猫屋

    ホラーで芥川賞?興味深い。という事で読んでみた。う〜む合わない、特に表題作。人称で惑乱させられ、世界観も受け入れづらい。三歳の娘わたし≠ゥら見た新しい母親あたし≠ニの関係性の話なのだが、ディスコミュニケーションしていて母子が噛み合わない世界に放り出される感覚が苦手。作者の狙いなんでしょうが。『しょう子さんが忘れていること』と『ちびっこ広場』は興味深く読めた。日常とも(暗転した)非日常とも受け取れる終幕、こちらは嫌いじゃない。

  • dr2006

    あなたはなぜ目がシバシバするの?わたしはなぜ爪を噛まなくちゃいけないの?そんな躊躇なき質問が、鋭い短剣で神経の裏側を撫でまわすかのような文筆によって描写される。目を動かすのも、爪を伸ばすのも自分だ。爪と目の間にはそれぞれが近づくことを拒む意思がありそれもまた自分だ。ハードコンタクトレンズはホコリと乾燥に弱いのは知っている。あぁ、これが芥川賞受賞作かと目を閉じた。

  • fukumasagami

    「それよりもさあ、三歳なのに、何も言われなくても食後には自分できちんと歯を磨くんだって、子ども。ほんとしつけが行き届いているよねえ。いいお母さんだったんだねえ」あなたの母親は、一瞬あなたを憎んだ。そしてこれまでに、何度も娘に何度も娘に激しい憎しみを抱いた瞬間があったことを思い出した。あなたがティッシュの箱を差し出し、あなたの母親は鼻をかんだ。せめて、負け惜しみを言いたかった。「あなたはいつも他人事みたいに、そうやって、いつも自分だけ傷つかないのよね」

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