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ルーヴル美術館 ブランディングの百年 講談社選書メチエ

藤原貞朗

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065375020
ISBN 10 : 4065375029
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

◆人生に一度は《モナリザ》をルーヴルで見たい?!◆

なぜ、数ある美術館のなかで、ルーブルだけが特別なのか。
世界中の人が憧れ《モナリザ》や《サモトラケ島のニケ》《ミロのヴィーナス》をひと目見たいと願っている。

だが、かつては時代遅れのみっともない美術館として「ルーヴルは国の恥」「若者よ、ルーヴルに行くな」と言われたこともあった。
1793年、フランス大革命によって成立した第一共和制政府が王室コレクションを「略奪」して公開する場所として誕生したこの美術館は、その後、さまざまなコレクションを吸収して肥大化した挙げ句、近代化に乗り遅れた「カオスの迷宮」となり果てていたのである。
それが、いかにして世界中から憧れられる場所となったのか?

繰り返される国内紛争と政権交代に翻弄された苦難の時代を経て、現代アート、モードや漫画をも「古典」と成して飲み込み
文化国家フランスを荘厳する「偉大なるルーヴル」が生み出されるまでの百年を、戦略と欲望、政治と資本が渦巻く歴史として描き出す。

なぜ《ニケ像》だけが大階段の前に据えられているのか?
印象派が十年間だけ所蔵された顛末とは?
豊富な図版と多彩なエピソード満載、驚くべき発見と鋭い洞察に満ちた興奮の美術史!

【本書の内容】
序章 ルーヴル美術館の現在
第一章 ルーヴル美術館の歴史―─誕生から巨大化への長い道のり
第二章 コレクションと展示室の発展―─第三共和政前期(一八七〇―一九一四)
第三章 一九二〇年代、「迷宮」からの再出発
第四章 ルーヴル美術館の「ナショナリゼーション」―─近代化に隠された意味
第五章 ルーヴルの「顔」―─ブランド・イメージの創出と《サモトラケ島のニケ》の秘密
第六章 ルーヴル・マジック、もしくは古典の誘惑
第七章 幕間劇 空白の二十年(一九三九―五九年)と一九三〇年代の「忘却」
第八章 「世界一の美術館」の誕生―─《モナリザ》とともに
第九章 「ルーヴルへの回帰」―─グラン・ルーヴル計画
第十章 グローバル・ブランド「ルーヴル帝国」への「進化」
第十一章 「ルーヴル美術館展」の歴史―─学芸員による展覧会活動

【本書より】
ルーヴル美術館は、過去の作品を祀るだけの神殿であることを止め、芸術作品を「解体」し、「変容」させていった。展示空間の大改革を進めることによって、過去の作品を「眠り」から目覚めさせ、新しい「後世」の形象を与えていったのである。翼を広げた《ニケ像》は後世、すなわち未来に向かって飛び立ったのであり、それは、そのまま、みずから変容しようとしていたルーヴルの姿に重なっていたと言ってよいだろう。


《著者情報》
藤原 貞朗(フジハラ サダオ)
1967年、大阪府に生まれる。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程退学。リヨン第二大学第三課程、大阪大学大学院助手を経て、現在、茨城大学人文社会科学部教授。博士(文学)。専門は美学・美術史。主な著書に、『オリエンタリストの憂鬱 植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学』(めこん、渋沢・クローデル賞本賞、サントリー学芸賞)、『共和国の美術 フランス美術史編纂と保守/学芸員の時代』(名古屋大学出版会、吉田秀和賞)、共著書に『山下清と昭和の美術 「裸の大将」の神話を超えて』(名古屋大学出版会)、訳書に『潜在的イメージ』(ガンボーニ著、三元社)、『塹壕の戦争 1914─1918』(タルディ著、共和国)などがある。

【著者紹介】
藤原貞朗 : 1967年、大阪府に生まれる。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程退学。リヨン第二大学第三課程、大阪大学大学院助手を経て、茨城大学人文社会科学部教授。博士(文学)。専門は美学・美術史。主な著書に、『オリエンタリストの憂鬱 植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学』(めこん、渋沢・クローデル賞本賞、サントリー学芸賞)、『共和国の美術 フランス美術史編纂と保守/学芸員の時代』(名古屋大学出版会、吉田秀和賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    服でも車でも美術館でも、ブランドには神話が必要だ。ルーヴルを世界最高の美術館とする神話の構築に成功したからこそ、芸術の国フランスというイメージを確立できた。単なるコレクション収蔵の場から観光地としてPRするため「映え」重視の展示を採用し、モナリザなど著名作品を海外の展覧会に出品して世界の憧れとし、運営資金集めでも新しい方法を採用し財政基盤を確立させた。過去の名声や蓄積に安住せず常に進化を怠らない姿勢が、ブランドを劣化させず関心を惹きつけ続けた。老舗企業復活にも通じる戦略は、フランス外交の巧みさにも重なる。

  • taku

    “偉大”な美術館の歴史を、もっと知りたくなった私にぴったりな内容。新しいものを伝統の中に飲み込み、ブランド価値を創出してきた戦略。なるほど。広大で入場者数は世界一「美術のテーマパークや〜」、所蔵されている至宝の数々「西洋美術のドリームチームや〜」 フランスはルーブル美術館という看板商品を作り上げた。美術も人間活動の一部、政治や経済から切り離せない。維持と運営、スタッフや経費面も詳しく知りたいな。「ルーブル新ルネサンス」計画が発表された、動向を見守ろうか。

  • ganesha

    美学・美術史家によるルーヴル美術館の100年。ニケの右翼は左翼のレプリカということや、日テレと東芝との付き合いなど感心しつつ読了。30年代の展覧会のポスターが格好良かった。ニケも見てみたいけどキーファーの巨大油彩画が見たい。

  • Go Extreme

    政治・外交にも影響する文化国家機関 目に見えないブランド力創出プロセス 19世紀、パリの悪の巣窟からの脱却 市民の美術館からナポレオン美術館へ 過剰展示から一点鑑賞への大転換 突然現れたスター《サモトラケ島のニケ》 ルーヴル・ブランドの象徴ニケ像 三館体制によるパリ美術史の再編成 展示施設から世界的情報発信地へ 老舗が仕掛ける現代アート・モードとの連携 何もせずとも名声高まる「勝ち組」商法 「ルーヴルは売り物ではない」という魂の叫び 所蔵品全デジタル化とヴァーチャル美術館 鑑賞者によって完成される芸術

  • Koki Miyachi

    ルーブルが世界一の美術館といわれる地位を確立するまでの、1世紀にわたるブランディングのプロセスについて。具体的かつ明快に筆者の考えが示されていて、頷ける内容が多い。歴史、政治、美術界の潮流などを捉えながら、フランスの美術をどうしていくのかという大きな方向性が背後にあることが理解できた。こういう長期的視点を持てることが、フランスを世界有数の芸術の中心地たらしめているということなのだろう。大変興味深く読み応えがある評論。

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